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20.帰路

朝が来た。


ドワコは目を覚ます。何か固いところで寝ていたような気がする・・・。

周りを確認するとドワコはベットから落ちて寝ていたようだ。むくりと起き上がりエリーとシアの様子を見る。


エリーがシアの胸に顔をうずめた状態で二人とも寝ている。エリーは幸せそうな顔をしている。


「なんてうらやま・・・げふんげふん。けしからん。」


エリーのほっぺを軽くつつくとニヘラ~とニヤニヤした顔になる。ちょっと楽しくなってきた。つつき過ぎたようでエリーが目を覚ました。


「おはよー。ほっぺたが痛い気がする。」


「おはよう。二人とも早いね。」


エリーが動いたのでそれにつられてシアも目を覚ました。

朝食を済ませ、会計を済ませて宿を出る。


出たところで護衛の冒険者3人が待っていた。


「おはようございます。道中よろしくお願いします。」


「任されてください。無事に村まで送り届けます。」


代表してジャックが挨拶を交わし、全員で荷物を馬車にのせていく。


「それじゃ出発しましょう」


シアが馬を操り馬車が動き出した。城下町内は安全なので全員馬車に乗っている。門を抜けしばらく草原が続く。


「あんなに大きかった城下町が小さく見えますね」


エリーがつぶやく。


「ほんとうだ。かなり離れたね」


ドワコが肯定する。


そんな感じでのんびりとした感じで馬車は進んでゆく。1日目が終わりコンテナハウスを出して今日の寝床を準備する。食事を終え、見張りの人を残し部屋に入り就寝する。4日間3人で川の字になって寝ていたので人肌が恋しくなった。一人で寝るのってこんなに寂しかったんだと思うドワコであった。


2日目、3日目と順調に進み、馬車はアリーナ村まで戻って来た。


「初めての旅行だったので楽しかったよ。また一緒に行けると良いね。」


エリーが感想を言う。


「わたし、お店の準備が出来たら城下町の方へ引っ越すんだ。ドワコさんとはまた会うと思うけど色々とありがとね。それと護衛を引き受けてくれてありがとうございました。無事に戻って来ることが出来ました。」


護衛をしてくれたジャックとポールとスミスにお礼を言って報酬を渡す。


「ありがとよ」


「またな」


「また護衛任務がある時は教えてくれな」


そう言って3人と別れた。同じ冒険者だからまたどこかで会うだろう。


工房前まで馬車で移動し、ドワコとエリーの荷物を降ろす。


「それじゃ馬車を返しに行かないといけないからまたね~」


「またね~」


シアとも別れた。


「10日間工房お休みしていたから明日から忙しくなるよ。がんばろうね。」


「はい。また明日来ますね。」


エリーとも別れた。

久々の我が家だ、今晩からまた一人の生活に戻る。



翌朝、エリーが工房に出勤してきた。


「ドワコさんおはようございます。昨日までの疲れとか出てませんか?」


「大丈夫だよ。体だけは頑丈だから。エリーは大丈夫?」


「んー。ちょっと疲れが残ってるかもだけど大丈夫だよ。」


「それじゃ無理しない程度にね。今日もお仕事頑張りましょう」


10日間工房が開いていなかったので朝からかなりの注文が入った。エリーが注文を受けてドワコが製造をする。休む間もなく流れ作業で仕事をしていった。


「今日中に全部さばけませんでしたね」


「残りは明日かな」


大量の注文を抱え忙しい日が3日ほど過ぎていった。そして翌日。


「昨日のうちに納品終わらせたし、今日は通常営業に戻るかな?」


「そうだと良いけどね」


いつものゆっくりとした時間に戻った工房でドワコとエリーはお茶を飲んでいた。


「ドワコさんこの場所でこのまま工房続けてくれるよね?」


突然エリーが聞いてきた。


「そのつもりだけど」


「この前お城に呼び出されたときに何か言われたんじゃないかってすごく気になっていて・・・」


「話した通りお手伝いをすることになっただけだよ」


「遠いところにドワコさんが行ってしまうような気がして」


「これからお城でお手伝いがある時は工房をお休みすることになるけど、大丈夫だよ。」


「わかった。ドワコさんの言う事信じる。」


その様な話をしている時に城から使いが来た。


「ドワコ様。聖女様からのお呼び出しです。明日の早朝、馬車がこちらに参りますので準備の方をよろしくお願いします。」


「承知しました」


用件だけ伝え城からの使いが帰っていった。


「こんな話をしている時にごめんね。明日からしばらく工房お休みしないといけなくなりました。」


今日は特に注文を受けなかったので特にすることは無い。そういう時は素材集めに行くが今日は行く気が起きない。エリーと残りの時間をのんびりと過ごした。


翌朝、城より迎えの馬車が来た。改装して多少まともになった外見だが、建物には不釣り合いな豪華な馬車が工房前に止まっている。


「お迎えに上がりました」


中からメイドが出てきて馬車の方へ案内する。ドワコはそれに従い馬車に乗り込んだ。「しばらくのあいだ お休みします」と工房前に看板を出した工房を後に馬車は走り出した。


馬車には御者とメイドとドワコの3人が乗っている。護衛には馬に騎乗した騎士が2人付いている。先日乗った馬車よりはるかに移動速度が速い。これが性能の差と言う物なのかもしれない。夕方には城下町の方に到着した。


「それでは明日に備えてごゆっくりとお休みください」


とメイドが言い残し馬車と護衛は去っていった。


「ちょっと。この先どうすればいいの?」


ドワコの別邸前に置き去りにされた状態で困惑する。とりあえず自分の家なので中に入ることにする。

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