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14.回復魔法

あれから数日経ち、聖女様御一行は城下町へと帰っていった。正確に言えば町ではなく城の方ですが・・・。


聖女様は結局一日だけ村人の診察をして残りの日は神殿から出てこなかったらしい。何か目的があったとは思うけど謎が多いです。また会いましょうみたいな言い方だったので少し気になってはいるが、気持ちを切り替えて行くしかないようです。


先日、神殿で治療の順番待ちをしている時に製作可能なものについて雑談していたが、今まで取引のなかったお店などから問い合わせや注文があった。さりげなく営業をしてみた効果があったようだ。と言っても種類はそれなりにあるが同じものを大量にではなく少量なので製作もすぐに終わると思う。今日はエリーと一緒にその製作を行っている。ここに来て工房が少し手狭になってきた。製作した物を置くスペースがなくなってきた。今までは納品先が少なかったのでアイテムボックスに納品先ごとにまとめて突っ込んでいたが厳しくなってきた。ゲーム内では課金することで最大255個までアイテムボックスが増やすことが出来たが無課金プレイヤーだったのでアイテムボックスの上限が20個となっている。他の人はアイテムボックスが使えないようなので20個でも十分すぎるくらい役に立っている。収納スペースの確保として土地はまだあるので増築で対応になりそうだ。


工房でエリーと一緒にお昼ご飯を食べて昼休憩をしている時にそれは起こった。


「ドワコさん忙しいところすみません。ダンジョン内で魔物に襲われて大怪我をした冒険者がいます。助けていただけませんか?今こちらに怪我人を乗せた荷馬車が向かっています。お願いします。」


かなり急いだ様子で工房に駆け込んできた。面識がない冒険者だが困っている人を拒む理由もない。


「わかりました。助けられるかどうかわかりませんが・・・。」


「ありがとうございます」


隣でその話を聞いていたエリーが良くわかっていないような感じで聞いてきた。


「ドワコさんってお医者様なんですか?」


「いいえ。医学と知識なんて無いですよ。回復魔法が少し使えるので村外れのダンジョンで怪我をした冒険者を治療したくらいですね。」


「強くて、物作りをだけでも凄いと思っていたのに魔法も使えるんですか?」


すごい人を見るような尊敬な目で見つめれる。あかん。その目は反則や。

そうこうしているうちに荷馬車が工房前に到着する。左腕が無くなり色々な所から出血し瀕死の重傷になっている若い男の冒険者が荷台に寝かされている。これはひどい。エリーはあまりの惨状に両手で目を抑えている。けが人のそばに行きドワコは魔法書を取り出した。正直なところ、欠損した腕まで回復させる自信はない。やるしかないので出来るだけ回復のイメージを膨らませる。


「ヒール」


怪我人が強い光に包まれる。光が消えて怪我が何事も無かったように回復する。欠損した腕も元通りだ。何とか回復に成功したようだ。


「ドワコさんすごーい。本当に回復させちゃった。」


自分の事のようにエリーが喜んでいる。怪我をした冒険者にもお礼を言われて謝礼を支払いたいと申し出たがお断りをした。人助けをするために回復魔法を使用したのであってお金儲けとしてはやりたくないという気持ちがあったからだ。伝令に来た冒険者と荷馬車も帰って行き工房には静寂が戻った。


「それじゃ少し休憩してから午後の作業に入ろうか?」


「はい」


そう言いながら工房の中に入っていった。




この光景を少し離れた所から見ていた人物がいた。


「中級魔法のハイヒールに匹敵する回復力を持つ下級魔法のヒールですか。やはり光属性の魔法が使えるようですね。ドワーフが魔法を使えることには驚きましたがこれは興味深いです。」


そう呟きながら観察を続けるために物陰に姿を消した。



午後からは武器と防具の店・・・の娘であるシアが工房に来ていた。あとから知ったのだが店の名前が「武器と防具の店」だそうだ。


「ドワコさんのおかげでお店が繁盛して城下町に支店を作らないかって話が出てるんだよ」


と話を切り出してきた。


「すごいですね。そうすると工房も忙しくなるのかな?」


「頑張って武器と防具を作らなきゃですね」


ドワコとエリーの二人はが流通量が増えて生産が忙しくなりそうだと考えた。


「結局のところうちは販売するだけなので良いのだけど・・・城下町で商売できるかはドワコさんの工房の生産能力次第なんだよね。お店ができても売る物なかったら商売にならないし。」


「ある程度は増産できると思うけど、あまり多すぎると無理かも。城下町って行ったことが無いのでどれくらいの規模があって需要がどの程度あるのかもわからないし。」


「それじゃ今度、城下町に行ってみましょうか?馬車を借りれば3日くらいで行けるよ。」


「城下町に行くんだ。私も行きたーい。お母さんに聞いてくる」


と言って工房を飛び出し家に帰っていった。工房から近い場所にエリーの家はあるのですぐに戻って来る。


「ドワコさんがいるなら大丈夫だろうから行っていいって」


魔物とか森で普通に出てくるような世界なのに大丈夫なのか?と正直思ってしまう。


「それじゃ決定ね。馬車と護衛の冒険者を手配するから出発は3日後かな。往復で10日くらいの行程になるから準備よろしくね。」


城下町に行くことが決定してしまった。


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