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賢者になったドワーフ娘(仮)  作者: いりよしながせ
賢者になったドワーフ娘
128/128

128.エピローグ

ドワコが天界へ帰ったとされる日から4年と少々が経過した。


レオは5歳になった。人間で言うと15歳くらいになる。もう成人も間近である。すでに成長は止まったようで見た目は10歳くらいの少年のような感じだ。金髪で美形、母親同様に思わず抱きしめたくなるような可愛らしさを備えている。


「メル、いつものを頼む。」


「はい、少しお待ちくださいね。」


エルフのメルディスは上半身の着衣を緩め胸をさらけ出した。そしてその胸にレオは吸い付いた。


「メルのを飲まないと一日が始まらないからな」


そう言ってレオは朝の日課となっているエルフ乳を吸った。成人が間近だと言うのに未だに乳離れが出来ていないレオだった。


「今日もありがとう。美味しかったよ。」


そう言ってレオはメルディスの唇を奪った。


「もう、坊ちゃまったら。」


満更でもない様子のメルディスを抱きしめて満足した後でレオは仕事に向かう事にした。



レオは領主代行を行っていたデマリーゼから厳しい指導を受け、先日やっとで合格を貰い執務を一人で行えるようになった。


「レオ様、ここの計算間違っていますね。」


「あっ、本当だ・・・すみません。」


デマリーゼから間違いの指摘を受けてしまうレオであった。本当の意味での独り立ちをするのにはもう少し時間がいるかもしれない。


「デマリーゼは結婚とかしないの?」


ふと、レオはデマリーゼに聞いた。すでにベラとケイトは結婚してこの領地を離れている。カーレッタは妹のジョレッタの補佐をするためにこの地を離れ、王子の治める領地で仕事をしている。


「わたくしは結婚するつもりなどありませんわ。この身はすべてあなたのお母様に捧げたつもりでいますから。」


デマリーゼは少し顔を赤くして言った。すでに30歳目前なのだが、まだまだ乙女であった。


「レオ様、書類の方はこの辺りで切り上げて砦内の視察をお願いしますわ。それと午後からはマルティ城で会議がありますので忘れないようにしてくださいね。」


「はーい」


「返事は、はいですよ。」


執務室を後にしてレオは砦の外にある護衛隊の基地へ向かった。



基地では兵士たちが訓練に励んでいる。


「おまえら、気合が入っとらんぞ!」


鬼の形相で訓練の指導をしている教官の元で新入りの兵士たちが訓練をしている。


「俺がお前たちのようなひよっこの時にはな、鬼教官ドワコが俺たちの骨の数本を折ったり、腕や足の1本取れるくらいの死ぬかと思うような激しい訓練を行った物だ。それに比べて今の訓練など生ぬるい位だぞ!」


伝説なって護衛隊内で語られる厳しい訓練。その訓練を受けた者たちの戦闘能力は護衛隊内では、ずば抜けて高い。その者たちは今では教官や隊長などそれなりの地位について領のために働いている。


「訓練ご苦労様」


レオが教官に声をかけた。


「これは領主様。お疲れ様です。」


教官は敬礼をしてレオの方を向いた。それに合わせ訓練をしていた兵士たちも手を止めてレオに敬礼をした。


「訓練の邪魔をするつもりはなかったけれど・・・ごめんね。続けてください。」


そう言うと訓練をしていた兵士たちは訓練に戻った。


「前から気になっていたけど、骨を容赦なく折ったり手や足をもぎ取られたりって本当の事なの?今はいないみたいだけど、その教官ってどんな人?」


レオが前から気になっていた事を教官に聞いた。どう考えても本当の話に聞こえないのだ。骨折なら治るかも知れないが、手や足をもぎ取られたと言われているが該当する者は全員手と足が付いている。そこが不可解なのだ。


「そうですね・・・。私がまだここが辺境の砦だった頃に派遣されて、いつものように訓練していたら当時の隊長が訓練の様子を見に来て、指導してあげると言って訓練が始まったんですよ。その訓練と言うのが言われているような内容だったんですよ。」


教官は懐かしそうに当時の話をした。


「でも手や足をもぎ取られたって言う話ですけど、皆さん手も足も付いてますよね。」


「それはですね、当時の隊長と言うのが領主様のお母様でして・・・死ぬ寸前まで訓練させられて限界になると回復魔法で無理やり回復させられるんですよ。それを永遠と繰り返されて・・・地獄のような訓練でした。」


カカ様はこの国では聖女として国のために働いていたらしい、当時の回復魔法の使い手としては国内では右に出る者はいなかったらしい。


「なるほど・・・謎が解けました。」


教官と別れ、基地の建物の方へ向かった。向かう途中では魔動機を搭載した各兵器の点検整備をする光景を見ることが出来た。そして指令室の方へ向かった。


「ご苦労様。何か異常とはありませんでしたか?」


指令室にはカレンとライモンドが仕事をしていた。


「これは領主様、いらっしゃいませ。」


カレンがレオに気が付き立ち上がり敬礼をした。それに気が付いたライモンドも合わせて敬礼を行った。


「はっ、今の所、異常はありません。」


実はカレンとライモンドの2人は結婚して夫婦で護衛隊の総括を行っている。カレンが総司令でライモンドが副指令だ。


「お腹が大きくなってきたね。来月でしたっけ?」


レオがカレンに聞いた。


「はい、おかげさまで来月出産予定です。少しの間お休みさせていただきますけど、すぐに復帰して業務には極力支障が出ないようにします。ドワコ様が立派な保育施設を作ってくれましたので子供がいても安心して働けます。他の土地ではこのような施設は無いので本当に助かります。」


カレンが答えた。廃墟だった土地を再生させた上で福利厚生など領民の事を考え施設を建設したカカ様の偉業に驚かされるばかりだ。これは領地について勉強すればするほど思い知らされるとこになった。



レオは護衛隊の基地を後にして工房へと向かった。

そこではドワミが魔動機関係の製作を行っていた。


「レオ、ちょうどいい所に来た。手伝って。」


「うっ、間が悪かった。」


レオは正直製作は苦手だ。材料をチマチマ揃えるのが面倒くさい。


「つべこべ言わず手伝う!」


そう言ってレオは材料運びを手伝わされた。


「ドワミさんは凄いよね。魔動機を開発してこんなに領地を発展させたんだから。」


「魔動機の開発?私じゃないよ?」


「え?」


「これ開発したのドワコだよ?私は頼まれたから製造を行っているだけ。本当はこれはレオの仕事だよ?」


「これカカ様が開発したの?初めて聞いた。この場所知っているのはドワミさんだけだからそう思ってた。」


「と言う訳でいつでも引継ぎできるよ?」


「いや、しばらくの間はドワミさんにお願いします。」


レオは手伝いを終えた後、逃げるように工房から立ち去った。



午後からは城で会議がある為に移動しなければならない。


「それではお気を付けて行ってらっしゃいませ」


執事のセバスチャンが深々と頭を下げ見送った。同行者はメルディスとメイドのジェーンとジェシーだ。そのままジョディ村の中央駅に行き魔動鉄道で城下町へ向かう。駅で聖女のアオリアと合流する予定だ。アオリアはジョディ村の神殿を拠点として活動をしている。城下町の神殿へのお誘いもあったようだが断っているようだ。


「こんにちはレオ様」


駅に着いたところで聖女のアオリアが挨拶をしてきた。


「聖女様に様付けで呼ばせるなんて、おそれ多い事ですのでレオとお呼びください。」


レオは何度か同じことを言ったがアオリアは聞き入れてくれず、様付けで呼んでくる。同じ上級貴族でも領主よりも聖女の方が身分はずっと上になる。


「いいのですよ。私が崇拝する女神様のお子様なわけですから様を付けて当然ですよ。」


当たり前のようにアオリアは言った。

4人は同じ車両に乗り城下町を目指し移動を開始した。と言っても1時間程度で城下町に到着し、城下町の駅からは用意した馬車で城に向かった。


控室ではジェーンとジェシーがレオの服を着替えさせている。


「エリーさんなら一瞬で着替えさせちゃうのになあ」


「ジェシー、無い物ねだりはしないの。」


ジェシーが言った事にジェーンが注意をした。


「エリーさんと言う人はそんなにすごいの?」


レオが聞いた。


「そうですね。あの脱がせ技は神業です。気が付かない間に服を脱がされ、さらにいつの間にか別の服が着せられている。私も何度脱がされた事やら・・・。」


メルディスは体をクネクネして、顔を赤くして言った。エリーさんは名前は何度か出ているので知っているが、顔がわからない。物心がつく前には一緒にいたようだが全く覚えていない。同じくカカ様も顔も良く覚えていない。優しかったのだけは微かだが覚えている気がする。


「坊ちゃまお着替え終わりました」


ジェーンがレオに告げた。


「ご苦労様。それじゃ会議に行ってくるよ。」


「「行ってらっしゃいませ」」


ジェーンとジェシーに告げてメルディスを連れて会場へと向かった。メルディスは元々は乳母なのだが、今では時々違う関係になるが、基本的に秘書と魔法の師匠だ。カカ様より託された魔法書を使い日々魔法の練習を積んでいる。魔法書は天界の言葉で書かれていて読める者が誰もいない、だが、下級魔法に関しては名前を言うだけで発動することが分かった。だが、中級、上級についてはメルディスと日々研究を行っている最中だ。



会議の会場は席順が決まっている。中央に王族、それから離れていくごとに身分が落ちていく。レオは領主と言う事で真ん中より少し後ろ寄りの席となる。レオの後ろにはメルディスが控えている。

徐々に席が埋まっていき、聖女のアオリアが王族の席の隣に座り、王様、王妃様、王子様、そして王子の妃であるジョレッタ、その隣にはその娘が退屈そうに座っていた。レオの所によく遊びに来たばーばが実は王妃だと知り凍り付いてしまったのは懐かしい話だ。王妃は誰にもわからないようにレオに手を振った。レオも他の人に気が付かれないように気を付けて手を振り返した。


そしてレオの向かい側には同じ領主のジムともう一人北の北の港町を任された面識のない領主、いつもは空席なのだが、隣には緑髪の自治領を収める若い女性が座っている。


「初めましてレオ様。わたくしサンドラ自治領を任されているサンドラと言います。あなたのお母様には大変お世話になりました。改めてよろしくお願いしますね。」


「そうですか。こちらこそよろしくお願いします。」


サンドラの笑顔にドキッとさせられたが後ろから鋭い視線を感じたのでレオは姿勢を正した。


「後ろに控えれおられるメルディスさんとは同じ奴隷仲間だったんですよ。クスクス。」


レオには理解できない言葉を言って、笑いながらサンドラはメルディスに視線を向けた。それに気が付いたメルディスはプイッとそっぽを向いた。どうやら2人は知り合いらしいと言う事はわかった。


会議は近況の報告が主な内容で、本国も含め順調に運営が行われているようだった。会議も終わり解散となった。いつもならこの後、社交界が行われるのが多いのだが、前回から日が経っていない為、今回は開催されないようだ。



「それでは坊ちゃま、控室に戻って次の場所へ行く準備をしましょう。」


メルディスに言われレオは控室に戻った。そして手早く準備を済ませ城下町にある魔動鉄道の駅へと向かった。駅にはアオリア、サンドラが待っていた。


「せっかくなのでご一緒しますわ」


「同じくお供させていただきますね」


2人ともそれなりの地位の者なのだが、護衛もつけずに来ている。レオには一応メルディスが護衛役で付いている。車両に乗り込み一行はアリーナの村に向かった。


ドワコ領から城下町までの魔動鉄道が開通した後、建設が始まり現在ではアリーナ村を経由し北の港町まで魔動鉄道で繋がっている。そのため城下町からアリーナ村までは1時間半程度で移動できるようになった。


「アリーナ村の温泉施設ですか・・・懐かしいですね。このメンバーで行ったのは5年ぶりくらいでしょうか。」


アオリアが言った。


「そうですね。あの時はご主人様も一緒でしたね。」


サンドラも懐かしそうに言った。


「私もご一緒させていただいたのを懐かしく思います」


ジェシーも遠い目をしていった。


「どうせクジ運悪いですから・・・」


「ですよねぇ」


メルディスとジェーンが不機嫌そうに言った。

レオは完全に蚊帳の外になっていた。


温泉施設に到着し、アオリア、サンドラ、ジェーン、ジェシーは早速、温泉に入るために大浴場へと向かった。今回の目的はメルディスの提案で日頃の疲れを癒すため温泉に行くになった。レオも少し楽しみな事があるので即答でOKを出した。メルディスがアオリアを誘い、アオリアがこのメンバーならと移動する前にサンドラに声をかけたようだ。


「それじゃ坊ちゃま私たちも行きましょうか?」


「ひゃい」


メルディスの誘いにレオは緊張気味に返事をした。



貸切風呂にレオとメルディスは入っている。もちろん2人共服は着ていない。レオはエルフ乳を吸いながらメルディスに抱き付いている。


「坊ちゃまったら、まだまだ甘えん坊さんなんですね。」


メルディスがレオの頭を撫でながら言った。


「ひゃん、揉まないでください。」


レオはメルディスの胸を揉んだ。揉むたびに先端からは白い液体が噴き出した。


「いっぱい出るね。でもそろそろ終わりなのかな?」


「どうなんでしょう?坊ちゃまが望まれる間はこのまま出ると良いのですが・・・」


こればかりは当の本人であるメルディスにもわからない。

2人の時間を楽しみながらゆっくりと時間が流れていった。



その後は皆で未成年(この世界では16歳で成人)のレオを除いた全員は遅くまでお酒を沢山飲んだために、昼前になっても誰も起きる気配がしない。早くから目を覚まし、暇を持て余していたレオは散歩に出かける事にした。


温泉施設を出て少し歩くとボロボロの家があった。そこには立て看板が掲げてありこのように書かれていた。


「女神ドワコの家」


女神として降臨して間もない頃はアリーナ村で暮らしていたと聞いたことがある。どうやらその時暮らしていた家がこのボロ屋のようだ。


「カカ様こんな所に住んでたのか」


中も見学できるようになっていたが、普通の家だった。元々は工房として村の為に色々な製造を行っていたと建物内の案内看板には書かれていた。


それから少し進み村から出て森を散策する事にした。


「都会的な建物に囲まれた生活も良いけど、たまには森の空気を吸うのも良いかも知れない。」


新鮮な空気を取り込み、気分をリフレッシュさせてみた。



「キャー、誰か助けて!」


森の奥の方から悲鳴が聞こえた。レオは慌ててその声のする方へと駆け寄った。山菜の入った籠を持つ女性がオオネズミに襲われかけていた。持ち物からすると森へ山菜取りをしていた所で魔物に遭遇したのだろう。


「安心してください。今助けます。」


そう言ってレオは女性とオオネズミの間に入った。そして素早く魔法書をアイテムボックスから取り出し、風属性の下級魔法「ウィンド」を唱えオオネズミを吹き飛ばした。驚いたオオネズミは森の奥へと逃げていった。(レオは母親の能力を一部引き継いでいるようで10個まで持てるアイテムボックスを使用する事が出来る)


「ありがとうございます。おかげで助かりました。趣味で山菜取りに来るのですけど、村から近い所で魔物に襲われるなんて・・・あれ?なんか前にもこのような事があったような・・・。」


女性はお礼を言った後で何かを言おうとして考え込んだ。


「えっと、お怪我はありませんでしたか?」


「はい、大丈夫です。助けていただいたお礼がしたいので、私の家に来ていただけませんか?」


レオは初めて女性の家にお誘いを受けた。少しドキドキしてきた。そしてその時初めて女性の顔を見た。何か運命的な物をレオは感じた。そして何か懐かしい気持ちになった。


「それじゃ少しだけお邪魔させてもらおうかな?僕はレオよろしくね。」


レオは返事をした。


「私はエリー。この先のアリーナ村に住んでいるの。よろしくねレオさん。」

最後までお読みいただきありがとうございました。


勢いで執筆したところが多く、色々と読みにくい点、判り辛い点などあったと思います。改めて自分の文才の無さに凹んでしまいました。それっぽい終わらせ方をしましたが、続きを書くかは未定です。


次回作(すでにフライングして書き始めていますが・・・)もよろしくお願いします。

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