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賢者になったドワーフ娘(仮)  作者: いりよしながせ
賢者になったドワーフ娘
118/128

118.肝試し

戦勝会が終わり、ドワコとエリーは久しぶりにドワコの家に向かった。


先にジェーンとジェシーが準備に戻っている。


「「「お帰りなさいませお嬢様」」」


家に戻るとジェーンとジェシーが出迎えてくれた。それと執事のセバスチャンも同様に迎えてくれた。


「なんか久しぶりに我が家に戻ったって感じです」


ドワコが以前ここに住んでいた頃を思い出した。もちろんここにいるメンバーも同様だった。

この建物は4階建てで1階部分は店舗スペースとなっているが、今は空き店舗となっている。2階、3階がドワコの居住スペースで4階が使用人の部屋となっている。


リビングに行くとメルディス、サンドラ、メロディの3人が待っていた。


「「「お帰りなさいませ、ご主人様(ドワコ様)。」」」


「メロディさん今日はお疲れ様。大変だったね。」


「貴族の人がいっぱい挨拶に来て大変だったですよ。元々は下っ端のシスターなので荷が重すぎますよ。」


疲れた様子でメロディが答えた。


「サンドラも色々大変だったね。疲れが出てない?」


「大丈夫です。領地も取り返すことが出来ましたし、これからやる事がいっぱいです。」


「そうだね。自治権を認めさせているから、これからは領主みたいな扱いになるのかな?」


「そうなるようです」


奪われた領地を取り戻り、これから復興させていかなければならない。責任は大きい。ドワコとサンドラが話をした。


「私も連れて行ってほしかったですよー」


「優秀な人材を残しておかないと領地の方も大変だからね。十分役目も果たしてくれたようだし、ありがとう。」


ドワコはメルディスの労をねぎらった。


「それじゃ今日はここで1泊して、明日はドワコさんの晴れの舞台です・・・とその前にですね。少し肝試ししてみませんか?」


エリーが突然変な提案をしてきた。


「こんな街中にそんなスポットあったっけ?」


ドワコが言った。


「実はとっておきの物があるんですよ。少し危ない所なので非戦闘員の方の参加は不可ですよ。」


ジェーンとジェシーがこの時点で除外された。


「「えーーー」」


2人は残念そうにした。


「セバスチャンは戦えるの?」


「執事たるもの多少の武術は心得ておりますぞ」


ドワコの問いかけに自信満々にセバスチャンは答えた。


「あのー私はどうなんでしょう?」


メロディーが恐る恐るエリーに尋ねた。


「もちろん数に入ってますよ。回復要員は大事ですから。」


「やっぱり・・・」


エリーに即答された。


「それじゃ行きましょう。とりあえずこれに着替えてから1階の店舗に行きますよ。」


そう言ってエリーも含め肝試しに出かける全員はシアの店で売っている安い服に着替えさせられ、エリーを先頭に皆が付いて行った。1階に降りてエリーが物置として使っていた部屋の中に入って行った。


「たしか・・・ここだったかな。ドワコさん、この壁壊してもらえますか?」


「え?」


エリーが何の変哲もない壁を指さし壊すように指示をした。


「壊してください」


「はい」


そう言ってドワコは鉄のハンマーを取り出し壁を粉砕した。そうすると中から隠し通路が現れた。


「こんな所に隠し通路が・・・全然気が付かなかった」


ドワコは驚いた。


「それじゃ進みますよ。ライトの魔法お願いできますか?」


光属性の下級魔法であるライトをドワコは唱えた。すると辺りが明るくなり良く見えるようになった。

少し進むと下に降りる階段があった。エリーはそのまま降りていったため皆が続いた。さらにもう1回降りると魔物が出始め、何度か戦闘を行った。


「この奥かな?ボス部屋になるので皆さん心を引きしめてくださいね」


エリーが皆に伝えてボス部屋と言う場所に入って行った。


「えっと・・・これは?」


部屋の中にはヌルヌルしたゼリー状の物体が動いていた。


「これはスライムと言う魔物で・・・このように攻撃を受けると・・・」


そう言ってエリーがスライムの攻撃を受けた。


「体にダメージは無いのっですが、このように服が溶けちゃいます。」


服を溶かされ素っ裸になったエリーが言った。続いてスライムはセバスチャンに襲い掛かった。


「あれ~ぇ」


セバスチャンも服を溶かされた。その後、メルディス、メロディ、サンドラ、ドワコと服を溶かされてしまった。


「セバスチャンさんも中々お元気そうで・・・」


エリーが意地悪そうな顔をしてからかった。


「いや、これは目のやり場に困りますな。」


メロディは嬉しそうな顔をしてまじまじとセバスチャンを見ていた。


「これはご立派な・・・」


「エリーそれでこれどうするの?」


「倒しちゃってください。たぶん素手でも勝てますよ。」


エリーに言われドワコが素手でスライムを殴った。


「うりゃ」


ポンと爆発したようにスライムがはじけ飛び魔石と瓶に入った何かの液体が落ちていた。


「この素材が欲しかったんです。ドワコさん持っていてくれますか?」


「はいよ」


「それじゃ、用事も終わった事ですし、肝試しは終わりですね。家に戻りましょう。」


結局服を溶かされに来ただけのような気がするように感じた一行だった。


「「おかえりな・・・」」


ジェーンとジェシーは固まった。戻った全員が服を着ていなかったためだ。セバスチャンはまだ元気なようだ。隠すことをせず堂々としている姿はまさに漢であった。


「まだまだ若い者には負けませんぞ!」


ジェーンとジェシーも気になるようでチラチラとセバスチャンを見ているようだった。

とりあえず着替えを済ませてリビングに皆が集まった。


「肝試しどうでした?」


「まあ普段できない体験をしたと言う事では勉強になったような・・・」


「楽しかったですよ?」


「結局何だったのかな」


エリーの問いかけにそれぞれが感想を述べた。

そしてエリーが少しまじめな顔になり、話し出した。


「明日の会議で正式にサンドラ自治領(仮)が成立するはずです。そうするとサンドラさんはドワコ領から離れ、新たな土地で領主として領民の為に尽くさないといけなくなります。サンドラ隊はそちらに移譲しますので領地の警護などにお役立てください。あと、ドワコ領に難民としてやって来た方の一部はササランドへ帰ると思いますので、受け入れの方もお願いしますね。」


「はい、わかりました。ドワコ様を始め皆様には、なんとお礼を言ったら良いのか・・・ありがとうございます。それとお世話になりました。」


ペコリと皆の前でサンドラはお辞儀をした。


「それでドワコさん、うちの部隊が占領した土地はどうしますか?一応領地としての所有権は主張できますけど。おそらく明日その事で王様から質問が来ると思います。」


「うちも人手不足だからね・・・本国で何とかしてもらおうかな」


「わかりました。それじゃその方向で話を進めますね。そうすると、王子様とジョレッタさんが当面は治める事になるでしょう。それと北部の諸国連合だった所は今後の取り扱いについて諸国連合と話し合いがあるはずなので、方針決定はそれ以降かな。」


明日の打ち合わせをしたのちに、それぞれの部屋に行き寝る事にした。

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