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116.凱旋

ドワコとエリーは宿屋に戻って来た。


冒険者ギルドで夕食を食べたはずだったが、ドワコは自分が何を食べたか覚えていなかった。


「ドワコさん。そんなに気にしなくても大丈夫ですよぅ。上級貴族は子育てとかは乳母に一任してしまうので、その後はそんなに心配はいりませんよ?」


「えっ・・・でも・・・本当にお腹の中にいるのかな?」


動揺しているドワコにエリーが気休めの声をかけた。


「エリーはこの後どうなるか判っているんだよね?」


「知ってますよ。私はドワコさんの事なら何でもわかりますから。でも今はその事も大事ですけど、先にやる事が山積みですよぉ。それが片付いてからお話しますね。それじゃシャワー浴びちゃいましょう。」


エリーがドワコの服を脱がせてエリーも自分の服を脱ぎ2人はシャワー室へ入った。


「さすがに2人入ると狭いですね」


エリーがドワコの体を丁寧に洗いながら言った。


「ドワーフって人間よりも妊娠期間が短いみたいなので、ほらお腹が少し膨らんでるのがわかりますよぉ。」


そう言ってエリーがドワコのお腹を撫でた。


「言われて見ると少し膨らんでいるような気が・・・」


「でも、この子の父親は誰にも言ってはいけませんよ?争いの火種になってしまいます。ミダイヤ帝国のようにならないためにも、これは大事な事です。」


エリーがまじめな顔になり強い口調で言った。


「わかってるよ。・・・って誰の子かもわかってるんだね・・・。」


「私はドワコさんの事なら何でもわかりますからぁ」


そう言ってエリーはドワコにキスをした。ドワコも流されてエリーとシャワー室でイチャイチャした。



「狭いシャワー室より早くベッドに移動しておくべきだったかも」


楽しんでいる最中、エリーが目を回して倒れてしまった。少し激しくし過ぎたようだ。ドワコは同じベッドに入りエリーの様子を見ている。もちろん2人共まだ服を着ていない。


「お兄ちゃん・・・もう少しだからね・・・もう少しだから・・・」


エリーがうなされるように口にしていた。


「エリーって兄弟いたのかな?」


そのまま毛布をかぶりドワコも寝る事にした。



翌朝、目を覚ますとエリーがいた。お互い裸のままでそのまま寝てしまっていた。エリーも起きていたようでドワコの方をじっと見つめていた。


「おはよう、ドワコさん。」


「おはよう、エリー。」


2人はおはようのキスをしてそのままイチャイチャモードに突入した。


「ドワコさん激しくし過ぎですよぅ」


「エリーもそのまま言葉返すよ」


2人共汗だくになっていたのでシャワーを浴びてから身支度を整える。そしてフロントに向かった。


「すみません、今日で宿を引き払いますので手続きをお願いします。」


「おや?もういいのかい?」


「残った日数分は返金不要ですので」


「おっ、それはすまんね。またのご利用お待ちしています。」


エリーとフロントにいたおじさんと話をしてチェックアウトの手続きをした。


「それでは5人を迎えに行きましょう」


エリーが言って5人の滞在先である宿へと向かった。



「おはようございます。皆さんお揃いのようですね。」


宿に着き、エリーが5人の前で言った。


「「「「「おはようございます」」」」」


5人が声をそろえて挨拶をした。


「それではこれからの事を少し説明しますね。一応、今この国が置かれている状況はわかりますよね?」


エリーが5人に聞いた。


「このミダイヤ帝国が戦争で劣勢に立たされていると迄は聞いたが、その先はわかりません。」


代表して裕太が答えた。


「えっと、戦争は休戦によって終結しました。まあこの国がこの城下町を除いてすべて占領されたと言う事で、どちらが勝利したかはわかりますよね?そして、私たちはあちら側の陣営であるマルティ王国の者です。あなた達5人はマルティ王国へ移動してもらいます。」


「「「「「え?」」」」」


助けてもらったと思っていた人が実は、敵側の陣営だったことを知り5人は動揺する。


「もしかして俺たちの知っている技術が欲しくて連れて行くのか?」


裕太が言った。


「あっ、それは無いですよ?特に技術支援をしてもらおうとかは全く考えていませんから。なぜ必要ないかは、行けばわかると思いますけど。」


「どうして我々5人を保護したのかもわからない。理由を知りたい。」


「今話しても良いですけど、その時ではないようです。あなた達のいた世界に戻すことはお約束しましたから、また後日、お話しすると言う事で納得してもらえませんか?」


「わかった。その時になったら聞かせてくれ。」


納得はしていないようだが、裕太が言った。


「それじゃ、そろそろ迎えが来る頃なので移動の準備してもらえますか?」


エリーが言った。

少し経ち、1台の魔動装甲輸送車が宿の前に到着した。


「着いたみたいなので移動しましょう」


エリーが案内してドワコとエリーと5人は宿の外に出た。


「うわぁ。見たまんまで装甲車だな。」


珍しいを物見るかのように魔動装甲輸送車の周りをぐるぐる回って岡本直樹が言った。


「確かミリタリー関係が好きでしたよね?これは魔動装甲輸送車と言って、兵員の輸送任務や物資の輸送、または装甲を生かした戦闘任務と幅広く活躍できるようにと開発された物です。」


エリーが直樹に説明をした。


「それじゃ今日のうちに皆と合流しないといけないので先を急ぎますよ。」


エリーが皆に搭乗をするよう促す。全員が乗り込み魔動装甲輸送車は合流地点へと向かった。



合流地点にはドワコ領の第3護衛隊、第4護衛隊、そしてマルティ王国の第二騎士団と平民の兵が集結していた。


ドワコ達の乗る魔動装甲輸送車が到着し、ドワコとエリーが降りた。


「皆さん、お疲れ様です。任務は無事に終わり、ミダイヤ帝国との休戦協定も調印しました。我々の勝利です。」


ドワコが皆に報告をすると大きな歓声が上がった。本当に勝利を喜んでいるようだった。


「それでは第二騎士団の方には占領した土地の管理を引き継ぎますので、よろしくお願いします」


エリーが第二騎士団の隊長に引継ぎを行う。


「はい、引き受けました。この後の事はお任せください。」


そう言って隊長は第二騎士団と平民兵を率いて占領した土地の守備の為に各地へ向かった。


「ケイト、カーレッタもお疲れ様。それではマルティ城を経由してドワコ領へ戻りましょう。」


「「はい」」


ドワコがケイトとカーレッタに声をかけてドワコ領護衛隊はマルティ城を目指し移動を開始した。


ドワコ領護衛隊がマルティ城下町に到着し多数の住民が出迎えに来ていた。沿道にいる人たちに手を振りながら車列はマルティ城へ入って行った。そして報告の為、ドワコとエリーは謁見の間へと案内された。


謁見の間には王様を始め、王妃様、王子様、そして筆頭宮廷魔導士のジョレッタを始め幹部クラスの者が集まっていた。


「よく無事に戻ってまいられた。そしてミダイヤ帝国との戦闘を経て、我が国に有利な条件で休戦協定を結べたことに感謝する。改めて礼を言うぞ。」


「勿体ないお言葉でございます」


王様の感謝の言葉にドワコは答えた。


「では、この後、祝勝会の席を設けた。皆で存分と楽しもうではないか。」


皆で祝いたかったようで報告はすぐに終わり、そのまま祝勝会へと移行した。

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