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108.ミダイヤ城下町

城下町に入ったドワコとエリーは街並みに驚く。道路脇には街灯があり、夜の照明に使用しているようだ。道路も舗装されており、以前ドワコ領でも一時期採用していた馬車鉄道が走っている。街並みも何処か懐かしい雰囲気を出しているように感じる。


「今まで見た街と違って明らかに文明レベルが違うな」


「ドワコさんの作った街ほどじゃないですよ?あれを見た後では全然驚きませんよ。」


「まあそれは比較対象にならないから」


街を行き交う馬車を見ると、しっかりと車輪には緩衝装置が組み込まれている。これも今までドワコ領以外では見た事無い物だ。あと、街を警備している兵士は銃を装備している。銃はドワコが戦場で確認した単発式の物だ。食事をするために近くの店に入ると、若干金額は高めだったが、種類の多さに驚かされた。また、提供される物もドワコが知っている料理や飲み物に近い物だった。適当に頼んでみたが、思った通りの味付けがされていた。


「これはどういう事かな」


余りにも違和感を感じすぎる街にドワコが思った事を口にした。


「薄々わかってるんじゃないですか?あっこれ甘くておいしい。」


エリーが幸せそうな顔をしてメロンソーダっぽい飲み物をストローで吸いながら言った。


やはり気になるのは、昨日見た1BOXカーだ。もしそれに乗っていた者たちが、この城下町で技術供与していれば納得がいく。



ドワコとエリーは拠点となる宿屋を探す。


「ここにしましょう」


エリーが決めた宿に2人は入る。建物の前に行くと自動でドアが開いた。


「自動ドアまである」


足元を見ると重さを検知するセンサーが置かれていた。


「なるほど、ここに立つと重さを検知して自動でドアが開くようになってるんだね。」


「私は仕組みまでは詳しくわからないですよ・・・」


ドワコがエリーに言ったが、興味無さそうに受け流した。


「いらっしゃいませ。お泊まりですか?」


「はい、しばらく滞在したいのですが、大丈夫でしょうか?」


「何日ぐらいご利用でしょうか?」


宿の受付で聞かれたが、ドワコは正直どれくらい滞在するか予想もつかない。


「とりあえず1カ月でお願いします」


エリーが言った。そして1か月分の宿代を先払いし、鍵を渡された。各部屋のドアは頑丈な扉が使われており、セキュリティーも高そうに見える。建物の木材ではなくコンクリートのような物が使われている。


部屋に入ると、シャワー室も設けてありお湯も出るようになっていた。


「これは凄いね。シャワーまで完備されている。」


ドワコはシャワーよりも湯船に浸かる派だ。その為ドワコ領のお風呂は湯船が置いてあり、シャワーだけと言う設備は無い。ベットに座ると程よい弾力が心地よい。


「照明は電気かな?」


天井には裸電球のような物が取り付けられていて、壁にはスイッチがある。ドワコがスイッチを操作すると天井に付けられた電球が光った。間違いなく電気が使用されている。


これが普通の宿にあると言う事は、城下町では電気が使用できるのかもしれない。

エリーはあまり驚いた表情を見せていないが、部屋の設備の色々な所を面白がって触っている。


部屋を確保したところで、ドワコとエリーは情報収取の為に冒険者ギルドへ向かった。


「結構大きいね」


オサーン公国の冒険者ギルドと同等かそれ以上の大きさがある。受付カウンターも1つではなく3ヵ所あり、依頼の取得や報告などの為に沢山の冒険者が待っているようだ。依頼の書かれた紙が貼られているボードを見ると、色々な依頼があった。茶色の紙で書かれた銅ランクを対象としたものは主に素材の取集系が多い気がする。灰色の紙に書かれた銀ランクの依頼は討伐系と半々くらいの割合と護衛任務、傭兵の募集などがあった。そして黄色の紙で書かれた金ランク向けの依頼は・・・。大型の魔物の退治や、貴族の護衛などがあった。


「ドワコさん、面白い依頼見つけましたよ。」


エリーがドワコに声をかける。


「えっと・・・なになに?西側国境に現れた青白の服を着たオレンジ髪の少女の姿をした悪魔の討伐?報酬は大金貨100枚?大金貨100枚と言えば1億か、すごいなぁ、報酬からして相当な強さなのかな?」


「ドワコさん、よく特徴を見てください。」


エリーに言われドワコは依頼内容を読み直した。


「西側国境といえばマルティ王国から見れば東側国境だよね?青白の服を着たオレンジ髪の少女・・・。あっ。」


ドワコは自分が討伐対象になっていると気が付くと顔を青ざめた。


「今は髪の色が違うので誰も気が付きませんよ。まあいくら来ても負けないとは思いますけど。」


「とりあえず依頼も見たし、隣で夕食でも食べて帰ろうか?」


「そうですね」


ドワコとエリーは併設されている飲食スペースへ行き、適当な席に座った。


「ご注文はどうしましょう?」


給仕の女性が注文を取りに来た。

メニューを見たドワコは見覚えのある名前があったのでそれを頼んだ。エリーは別の物を頼んだ。


「えっとそれと・・・ビールも」


メニューの飲み物の所にビールの文字があった。興味を惹かれドワコは一緒に注文をしようとした。


「だめですよ。お酒は飲んじゃいけません。」


エリーに止められた。久しく飲んでなかったので飲みたい気持ちはあったが、エリーはまだ成人していないようだし、目の前で飲むのは良くないよね。たまには飲みたい気分だったのだが仕方がない。


この日はギルドの様子を見に来ただけだったので食事を終えた2人は宿へ戻った。

そしてシャワーを浴びて2人は同じベッドで寝る事にした。


「ドワコさーん」


エリーが抱き付いてきた。ドワコもお返しにエリーに抱き付いた。


「もうっ、くすぐったいですよぉ。」


いつものイチャ付きをした後で2人は眠る事にした。

眠りについた後、ドワコはなんとなく変な時間に目が覚めてしまった。


寝ているエリーを見ると可愛い寝顔をしている。思わずドワコはエリーの唇にキスをしてしまった。


(しまった。可愛さのあまりついついやってしまった。エリーは寝ているよね?)


ドワコがエリーの顔を恐る恐る見てみると・・・目がひらいていた。


「ぐはぁ」


ドワコは変な声を上げてしまった。


「我慢できなくなったんですか?ドワコさんいけないんだぁ・・・捕まっちゃいますよぉ・・・なんてね。ここにはそんな法律無いから大丈夫ですよぅ。」


そう言って今度はエリーがドワコにキスをした。


「本当はずっと待ってたんですよぉ。やっと手を出してくれましたね。」


その後2人は明け方までイチャイチャして過ごした。



「ドワコさん、昨夜はお楽しみでしたね?」


朝起きた時にエリーが言った。


「エリーもお楽しみでしたね」


言い返してみた。


「ちょっと寝不足です・・・」


ドワコとエリーはおはようのキスをして出かける支度をした。

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