平和に暮らせるってこと?
「ん……あれ、私、寝てたの」
「はい、おはようございます、マスター。街、見えてますけど、行きますか?」
「……うん。お腹空いたし、行く」
……なんか、ほんとに、食べて、寝てを繰り返してるだけで、子供みたいだけど、私はそう言った。
実際、まだ、15歳だし。
「分かりました」
すると、セナはそう頷いて、セナが見えてるって言う街に向かってくれた。……私にはまだ見えないから、多分、だけど。
「あ、セナ、そういえばなんだけど、魔物の討伐って、まだ、だよね?」
私は一応、そう聞いた。
寝てたから分かんないけど、いくらセナでも、寝てる私を抱えたまま、討伐できるとは思えないから。
「いえ、もう終わってますよ?」
「え……ほ、ほんとに?」
「はい」
……まぁ、セナだから、でいいか。うん。私のセナは凄い。
私はセナがそんな嘘をつくとは思えなかったから、無理やり、自分を納得させた。
そうしていると、私にも、街が見えてきた。
「セナ、下ろしてくれる?」
「嫌です」
私はそんなセナの言葉を聞いて、諦めた。
もう、痛くないと言って、下ろしてもらおうとも考えたけど、やめた。だって、また、セナに嘘をつくのが嫌だったから。
それに、セナは私のことを心配してくれてるんだから。
そうしていると、街の門に着いた。
……恥ずかしい、けど、身分証、渡さないと。
そう思って、私はセナの腕の中から、門番の人にいつも通り、身分証を渡した。
「ん? 隣の国から来たのか」
……隣の国? え、てことは、もうここって、違う国なの?
もう、あの貴族の手も届かないってこと? じゃあ、もう逃げなくて良くて、セナと、どこかでずっと一緒に、平和に暮らせるってこと?
そんなことを考えながら、門番の人に身分証を返してもらって、街の中に入った。セナにお姫様抱っこをされながら。
「セナ、宿に行こう」
私は視線を感じながら、セナにそう言った。
もう、追っ手がくる心配はないんだから、依頼の報告は私の足が痛くなくなって、セナに抱えられずに、歩けるようになった時でいいし。
「はい、分かりました。……それと、マスター?」
セナは直ぐに私の言葉に頷いてくれたんだけど、その後、すぐに顔を赤らめながら、言いずらそうに、何かを言おうとしてくる。
「もう、追っ手も来ないんですよね?」
「う、うん。多分、ね」
流石にそこまで考え無しでは無いと思うし。
「だったら、この街にも、しばらく居ても、いいってこと、ですか?」
「えっと……私はずっと移動してばっかりで疲れたし、そのつもりだったんだけど、セナは何か、この街に用事でもあるの?」
「いえ、違いますよ。でも、そうなんですね。だったら、もう、我慢しなくて、いい、ですよね?」
……我慢? えっと、何を? 最初の頃はともかく、最近は、私に対して、色々、え、えっちなこと、とか、してきてるし、我慢とか、してないと思うんだけど。
「えっと、セナがしたい、なら、い、いいよ?」
よく分からなかったけど、私はセナがそれで幸せなら、と思って、頷いた。




