今度はセナが
……足、痛い。
セナに大丈夫だと言ってから、しばらく歩いた頃、私はそう思い始めた。
ただ、さっき大丈夫だと言った手前、セナに言い難いし、私はそのまま歩いていた。
まぁ、大丈夫でしょ。昨日だって、最後はキツかったけど、歩けたし。
「マスター? 大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ」
なんか最近、変なプライドが出てきた気がするなぁ。……この前までなら、こんなこと、絶対なかったのに。
そう考えてると、私の体がいつもみたいに、セナに持ち上げられた。
「わっ、せ、セナ? なんでいきなり……?」
「…………嫌、なんですか?」
びっくりして、反射的に私がそう聞くと、セナは昨日の私みたいに、拗ねたような様子で、そう言ってきた。
……? 私が大丈夫って嘘ついたって、バレてたってこと? ……ほんとのこと、言わなかったから、怒る……というより、拗ねてる?
確かに、私もセナに嘘とかつかれたら、嫌、かも。……人の嫌がること、しちゃダメ、だよね。……あ、でも、嘘の内容にもよる、かな。
「せ、セナ、もしかして、大丈夫って嘘ついたこと、怒ってる?」
そして、私は恐る恐る、そう聞いた。
「……私が、マスターに対して怒るなんて、ありえません」
すると、さっきより拗ねた様子で、そう言ってきた。
「う、嘘ついて、ごめんなさい」
そんな様子を見た私は、セナに対して、直ぐに謝った。
セナが私を嫌いになるなんてこと、ありえない。そう思ってはいるけど、ほんの少しでも、可能性があるかもって考えちゃって、怖くなったから。
「……ほんとに、怒ってはないんですよ? でも、マスターには、私を頼って欲しい、です」
すると、セナは悲しそうに、そう言ってきた。
い、いや、いつも、私はセナのことをめちゃくちゃ頼ってると思うんだけど。
だから、少しでも、一人で何かできるようにって、頼らないように、してたんだけど……セナに悲しい思いさせちゃうくらいなら、いつも通り、いっぱい頼って……い、いや、それじゃあ、いつまでも、セナの負担が大きくなっちゃうよ。
「……いつも、頼ってるよ。……セナは、いてくれるだけで、心強いから」
ほんとに、セナはいてくれるだけで、私の心の支えになってるから、私はそう言った。
「だから……下ろしてくれる?」
「だめです。マスターは足が治るまで、私がずっと抱えて歩きますから」
私が下ろしてと言っても、セナは下ろしてくれずに、そう言ってきた。




