気にしないようにしよう
私はセナに後ろから抱きしめられたまま、目を覚ました。
……負けた。……嫌な声、めっちゃ聞かれた。
「マスター? 起きましたか?」
目を覚まして、昨日のことを思い出してると、後ろから、セナが優しくそう聞いてきた。
「…………おはよう」
……もう、終わったことだし、気にしないようにしよう。
そう思って、私はセナにそう言った。
「はい。おはようございます、マスター」
すると、セナが後ろからそう言ってくれた。
後ろからだから、顔が見えないのに、声だけで、セナが微笑んでくれてることが分かった私は、そんなセナが可愛くて、セナの方を向いて、頭を撫でた。
そしてそのまま、私はベッドから起き上がった。
「朝ごはん、食べに行こう」
「はい!」
セナは食べないのに、元気な返事をしてくれたセナと一緒に、私は部屋を出た。
「美味しかった。……食べ終わったし、行こっか、セナ」
いつも通り、セナに見られながら、食べ終わった私は、そう言って、宿を出た。
「ギルドで依頼を受けてから街を出よっか」
「はい!」
この街で依頼を受けて、次の街のギルドで報酬をもらえばいいしね。……もう、ほんとにお金が底をつきそうだし。
そう思って、セナに案内してもらって私はギルドに入った。
「あ、討伐依頼、あった」
この前のギルドには無かったから、討伐依頼があるか少し心配だったんだけど、普通にあって良かった。
そう思いながら、受付の人に依頼を持って行った。
「セナ、依頼の魔物、狩ってから、行く?」
そして、街を出た私は、セナにそう聞いた。
街に行く道中に、依頼の魔物がいるか分からないし、この街の依頼だし、この街の近くなら確実にいると思ったから。
「いえ、道中にマスターを危険にさらさないように狩るので、このまま進んで大丈夫ですよ」
「できるの? じゃあ、いこっか」
「はい! あ、マスター、足、大丈夫ですか?」
すると、セナにそう聞かれた。
「大丈夫だよ」
まだちょっと筋肉痛は残ってるけど、これくらいなら大丈夫だと思って、私はそう言った。




