仕返し
セナに抱えてもらって、しばらく進んだところで、私は思った。
……セナはあんなに、私の匂いを無理やり嗅いできたのに、私は、セナの匂い、嗅いだことないんだけど。
……今なら、セナも私のことを抱えてるし、抵抗、出来ないはず。
そう思って、私は思い切って、セナの後ろに回していた腕の力を強めて、更にセナに顔を近づけて、首元あたりに鼻を当てて、匂いを嗅いだ。
「んっ、ま、マスター!?」
なに、これ……セナ、凄い、いい匂い。
……セナが私の匂いを嗅ぐ気持ち、少し、分かるかも。……いや、やっぱり、それは分からないや。だって、セナはいい匂いだけど、私はあの時汗もかいてたし、どう考えても、臭かったんだから。
「は、恥ずかしい……です」
そうやって、私がびっくりしてるセナの首元の匂いを嗅いでると、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、そう言ってきた。
……可愛い。
「セナだって、私の匂い、嗅いできたじゃん」
そして、私はそう言いながら、セナの首元を強く吸いながら、キスをした。
「んっ。ま、マスター……」
もっと、もっと、嗅ぎたい。……セナの匂い、嗅ぎたい。首元だけじゃなくて、もっと、色んなところの。
……そうは思ったけど、抱えられてる状態だから、首元以外の匂いを嗅ぐのは難しかった。
この前は、自分のこと、匂いフェチじゃないと思ってたけど、もしかしたら、匂いフェチ、なのかも。……でも、セナ以外の匂いなんて、興味、ないし、やっぱり、匂いフェチでは、ないかな。
「ま、マスター! ま、街、見えてきましたよ」
私がセナの匂いを嗅いでると、セナは恥ずかしそうにしながら、そう言ってきた。
私は渋々、その言葉を聞いて、セナの匂いを嗅ぐのをやめた。
「セナ、ありがとね。そろそろ、下ろして」
「……だめです。だって、足、痛いって言ってたじゃないですか」
確かに、筋肉痛で痛くはあるけど、少しくらいなら、大丈夫……だと思う。
ただの筋肉痛だし、少しなら、我慢できるから。
「少しくらい、大丈夫だよ」
そう思いながら、私はそう言った。
「だめです」
それでも、セナは下ろしてくれなくて、私は羞恥心に襲われながら、街にセナと一緒に入った。
私は恥ずかしくて、セナにくっついて、あんまり、周りとセナから、顔を見られないようにした。




