匂いフェチって訳じゃないけど
昨日、私が寝てる間にセナが歩いてくれていたおかげか、辺りが暗くなる前に、街が見えてきた。
……私を運んで歩いてくれたのは嬉しいけど、やっぱり服は着せてて欲しかったな。
「セナ、ほんとに、私の裸、セナ以外には見られてないんだよね?」
セナに見られるのは恥ずかしいけど、どうせ何回かもう見られてるし、いいんだけど、セナ以外に見られるのは恥ずかしい以前に嫌だから、私は改めてセナにそう聞いた。
「大丈夫ですよ、私しか見てませんから。……マスターのそんな姿を見ていいのは、私だけですから」
すると、セナ笑顔でそう言ってきた。
……まぁ、確かに、今はセナだけだね。
そう思いながら、セナと手を繋ぎながら、門番の人に身分証を見せて、街の中に入った。
「セナ、この街では、宿が見つかるといいね。……そろそろほんとにお湯で体とか、拭きたいし」
「そうですね。でも、私は、そのままのマスターの匂いも好きですよ」
……臭くないってことかな?……いや、それでも、やっぱり気分的に、早く体を拭きたい。
あ、よく考えたら、私が水浴びとか、体を拭けてたり、してないんだから、セナも出来てないんだよね。それにしては、いい匂いだったな……
「私もセナの匂い、好きだよ」
別に私は匂いフェチってわけじゃないけど、セナの匂いは好きだったから、気が付いたら、私はそう言っていた。
「えへへ、嬉しいです」
すると、セナは嬉しそうに、私にくっつきながらそう言ってくれた。
「せ、セナ、宿見えてきたよ」
セナが喜んでくれて、私も嬉しかったけど、恥ずかしくなってきたから、ちょうど見えてきた宿を指さして、私はそう言った。
「一部屋貸してください。あと、タオルとお湯もお願いします」
そして、恥ずかしい気持ちを我慢しながら、セナと手を繋いで、宿に入った私は、宿の人にそう言った。
すると、宿の人は、お金を要求してきて、お金を渡すとすぐに空いてる部屋の場所を教えてくれて、お湯とタオルも渡してくれた。
私はそれを受け取って、セナと一緒に部屋に向かった。
部屋に入ってすぐ、私はお湯をベッドの近くにあった机の上に置いて、服を脱ごうとしたけど、セナの視線を感じて、脱げなかった。
水浴びをした時は勘違いだと思ってたけど、今ならわかる。セナの視線が勘違いなんかじゃないことが。
「……セナ」
「は、はい、な、何ですか?」
「……体、拭いてもらっていい?」
だから、私はベッドの上に座りながら、そう聞いた。




