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正直に言って

 ……これは、確かめるため、だから。セナがほんとに胸が好きなのか、確信を得るため、だから。


 そう思って、私はセナの手を取って、私の胸に持っていった。


「ま、マスター!? こ、これ……」


 すると、セナはびっくりした様子でそう言ってきた。

 ……あれ、なんか、私、痴女みたいになってない? ……い、いやいや、これは確かめるためなんだから、違うか。だって別に、セナに触って欲しいって思ってしてるわけじゃないんだから。 


「ど、どう?」


 そう自分に言い訳しながら、私は目を閉じてくれているセナに、胸が好きなのか確認する為に、そう聞いた。


「や、柔らかい、です」


 すると、セナは恥ずかしそうにしながら、そう言ってきた。


「ま、まぁ、胸、だしね」

「は、はい」


 大きい方ではないとはいえ、私くらいの胸の大きさがあったら、柔らかいのは当たり前なんだけど、改めてセナにそう言われた私は、恥ずかしくなってきて、適当に頷きながら、私の胸に押し当てていたセナの手を、私の胸から離した。

 結局、セナが胸好きなのか、分からなかったけど、私が恥ずかしくなってきちゃったんだから、仕方ないよ。……恥ずかしいだけじゃなくて、胸がドキドキして、変な気分にもなってきてたし。

 

「ぁっ」


 すると、セナが思わず漏れ出てしまったといった感じで、消え入るような声を上げた。

 そして、そのまま、セナは手を伸ばしかけてたけど、一瞬で引っ込めていた。

 ……もしかして、やっぱり好きだから、触りたいのかな。

 私は、服を着ようとしていた手を止めて、そう考えた。


「……セナ、もっと、触りたかったの?」


 そして、嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちを我慢して、着ようとしていた服をギュッとしながら私はそう聞いた。


「そ、それは……」

「正直に言って」


 すると、セナは顔を赤くして、目を閉じてるのに顔を逸らしだしたから、私は誤魔化さないで欲しいと思って、そう言った。


「……さ、触りたかった、です」

「そ、そうなんだ。……ま、また今度なら、い、いいよ?」

「い、いいんですか?」

「う、うん。……や、優しく、してね」

「は、はい」


 私は恥ずかしい気持ちを抑えて、そう言ってから、服を着た。


「……セナ、もう、目、開けても、いいよ」

「はい」


 そう言って、セナに目を閉じるのをやめてもらった私は、セナと手を繋いで、あの街の反対方向にまた、歩き出した。

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