表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/81

セナがいるから?

 あれから結局宿が見つからなくって、私たちは街の外に来ていた。


「結局、宿見つからなかったね」

「そうですね。でも、私はマスターと一緒にいられるのなら、何処であっても幸せですよ」


 私が残念そうにそう言うと、セナが微笑みながらそう言ってくれた。


「……私も、幸せだよ」


 私はそれが嬉しくて、顔がだらしなくにやけそうになるのを抑えながら、そう言った。


 まぁ、幸せなんだけど、宿、どこにあったんだろう。……街に宿がないなんてこと、ないと思うし。

 そう思いながら、セナにお姫様抱っこで抱えられた私は、落ちないようにセナに抱きついた。

 すると、いつもみたいに私の胸がセナに押し当てられた。そのままセナの顔を見るけど、特にいつもと変わった様子はなくて、可愛い顔で首を傾げてきた。

 やっぱり、あの時、私の胸に視線を感じたのとかって、勘違いだったんだな。……もし、あの時見てたんだとしたら、セナは私の胸が好きってことになる……と思うし、好きなんだったら、押し当てられたら何か反応があると思うし。


 そう思って、私はセナの顔を見るのをやめて、セナに体を預けながら、目を閉じた。

 移動しておくから、もう寝てていいってセナが言ってくれたから。





 セナの体温のおかげで、すぐに眠りにつけた私は、朝になって、セナの腕の中で目を覚ました。


「……ん、セナ、おはよう」

「おはようございます、マスター」 

 

 目を覚ましてすぐに、私はセナの体温を感じながら、そう言った。すると、セナがそう返してくれて、当たり前のことなんだけど、嬉しくなった私は、セナにギュッとした。


「セナ、街に行きたいから、下ろして。朝食、食べに行こ」


 そしてそのまま、私はそう言った。

 

「わかりました!」

「セナも、血を飲みたかったら、言ってね。……出来れば、夜がいいけど」

「はい!」


 笑顔で頷いてくれたセナに、私はそう言った。

 そして、セナは私の言葉に頷きながら、下ろしてくれた。


「マスター、そっちはダメですよ?」


 街に入って、昨日の宿? みたいな建物があった方向に進もうとしたところで、セナはそう言って、私の手を握ってきた。

 

「セナ? 別に、昨日の建物に行こうとしてるわけじゃないよ? あっちに、昨日歩いてる時に、料理屋を見つけてたからさ」

「そ、それでも、だめ、です。今は特にダメです。……あっちにも、料理屋はあるので、あっちにしましょう」


 セナは申し訳なさそうに、そう言ってきた。

 ……まぁ、別にどうしてもあの料理屋が良かった訳じゃないから、別にいいんだけど、私はセナになんでダメなのか、聞いてみた。……昨日は聞かなかったけど、今は、昨日とはセナの様子が違って、聞いてもいいと思ったから。


「ま、マスターには、私がいるからです」


 すると、そう言ってセナが抱きついてきた。

 よく分からないけど、まぁいいやと思って、一瞬だけ、私もセナに抱きついてから、セナが言う料理屋に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ