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普通に通してもらえる?

「美味し……普通だった、かな」


 まぁ、普通の村から貰った食料だし、そんなに期待してた訳じゃないけど、普通だった。

 

「マスターに、美味しくない食べ物を……?」

「せ、セナ? む、村からタダで分けてもらった食料だって考えれば、お、美味しかったよ?」

「ほんとですか? 潰さなくても大丈夫ですか?」

「う、うん。大丈夫、だよ」


 タダで食料をくれたのに、潰すなんて、恩知らずにも程があるよ。……セナが私のことを思ってくれるのは嬉しいけど、時々、ちょっと重い気がするんだよね。


「マスター? どうかしましたか?」

「……ううん。なんでもないよ」


 まぁ、それくらい、私のことを思ってくれてるって考えたら、別になんでもないか。

 そう思って、私はまたセナと手を繋いで、歩き出した。





 そして、暗くなり始めた頃に、街が見えてきた。

 まだ門は閉まってないから、一応、入れはすると思うけど、指名手配とか、されてないよね。あの領主の件は指名手配とかは大丈夫だったけど、ギルドの場合は、分からない。……だって、ギルドは貴族と違って変なプライドが無いから。……貴族は、どれだけ実力があろうが小娘二人に逃げられたなんて知られたら、他の貴族にバカにされるだろうけど、ギルドはそもそもバカにしてくる相手なんか居ないし、貴族であっても、バカになんてせずにむしろ恩を売るチャンスだと思うはず。


 そんなことを考えながらも、私はセナと手をつなぎながら、街に近づいて行った。

 ……ギルドにバレてるのか、バレてないかを確かめないといけないから。


 そして、門番の人の前に立ったけど、特に何かをされる様子は無かった。

 それどころか、普通に手のひらを前に出してきて、身分証を見せるか、無いなら銅貨を渡せと言ってくる。


「マスター、私が渡しますよ」

「……うん。ありがと」


 手のひらを前に出されて、捕まえられると思って怖くなった私に向かってセナが小声でそう言ってくれた。

 私はそんなセナの言葉に甘えて、身分証を渡しながらお礼を言った。

 セナなら、身分証を受け取るふりをして捕まえられそうになっても、大丈夫だと思ったから。


 そして、私がそんなことを考えているうちに、セナが身分証を見せて、普通に通してもらえた。


「……えっと、セナ、大丈夫、だった?」


 どう見ても何もされてなかったけど、私は一応そう聞いた。


「はい、大丈夫ですよ」


 すると、セナは微笑みながら、私にそう言ってきた。

 まぁ、そうだよね。……だって、何もされてる様子なんてなかったし。……仮にされてたとしても、セナなら大丈夫だったろうけどさ。


「……ギルドに行って、手配書も見てみよっか」


 普通に街に入れて、身分証が使えたことに一瞬安堵したけど、まだ追われてる可能性もあるから、私はそう言った。


「分かりました! もし何かあっても、私が守りますからね」

「うん」


 そんなセナの言葉に頷いて、私はセナに案内してもらいながら、ギルドに向かった。

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