分かってるのに
時間が経って、そろそろ満足してくれたと思ったから、私はセナを抱きしめるのをやめて離れた。
「ますたぁ……」
「もう、服、着るからね」
これ以上このまま抱き合ってたら、ほんとにおかしくなっちゃうから、私はそう言って、岩の上に置いてあった服を手に取って、服を着だした。……服を取るとき、しゃがまずに取ったから、セナの方に、お尻を突き出しちゃう形になっちゃったけど、み、見てない、よね? ま、まぁ、み、見られてたとしても、セナだし、大丈夫、大丈夫。……服を着る時、セナからの視線を胸とか……下の方に感じたけど、多分、気のせい、だと思う。
……今度、ちょっとだけ胸元を開けて、試してみようかな。セナが見てるのかを。
そう考えながらセナの方を向くと、セナも服を着終わった後だった。
服は来てあったけど、セナは顔を真っ赤にしながら、まだ息を荒くしていた。
……私もまだ顔が赤いし、変な気持ちは残ってるけど、もう息は荒くないのに。
「せ、セナ? 大丈夫?」
「は、いっ、だい、丈夫っ、です」
セナは全然大丈夫じゃなさそうな感じで、そう言った。
……今日は前みたいに唇、舐めなかったから、かな。……い、いや、そんな訳、ないよね。
……血を飲んだら、いつも、こんなふうになる、よね。……この前は、どんな風にして、元に戻ったんだっけ。
えっと、確か、最初は、指先の血を飲んで、息が荒くなってたけど、その後すぐ戦って、元に戻ってたよね。……その次は、首元から血を飲まれて……うん。あの時肌を見せるのはやばいと思って、セナを抱きしめながら寝たんだった。
……じゃあ、その次は……唇を舐められて……エッチななことをされた。
……今はまだお昼だし、寝る訳にはいかない。……セナに戦ってもらうのも、魔物とかが近くにいるかが私にはわかんないし、いたとしても、今のセナを一人にするのは、ちょっと不安だから、嫌だ。……あれ、これもう、私が唇を舐められて、エッチなことされるしかないんじゃないの?
た、確かに、嫌、ではないけど……あ、あの時は、約束を忘れてた罪悪感から許しただけで……
「せ、セナ」
私は、耳の先まで顔を真っ赤にして、目に涙を貯めながら、セナのことを呼んだ。
「は、い」
「わ、私のこと、す、好きにしてくれて、いい、から」
「い、いいん、です、かっ?」
「……ちょ、ちょっとだけ、だから。ちょっとだけ、なら、が、我慢、しなくても、いい、から」
セナにエッチなことをされるのを分かってて、こんなことを言う羞恥心に駆られながら、私はそう言った。
そして、私の言葉を聞いたセナが近づいてきて、私に抱きついてきた。……でも、これだけなら、恥ずかしくない。……だって、セナとはよく抱き合ってるし、さっき、温めるためとはいえ、裸で抱き合ったくらいなんだから、それに比べたら恥ずかしいわけが無い。
「ますたぁ、好き、です……大好き、です」
セナはそう言って、私のほっぺにキスをしてきた。
「え」
また、前みたいに、唇を舐められる心の準備をしていた私は、そんな声が漏れ出てしまった。




