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バレない?

 一通り抱きしめあって、お互いに満足した私たちは、ギルドを出ると、すぐに街からも出た。

 辺りが暗くなり始めてきてて、門が後ちょっとで閉まるところだったけど、ギリギリで何とか街から出れたことに安堵しながら、セナと手を繋いで私の生まれた街から反対の方向に進んでいる。

 これでギルドからも追われるのか……まぁ、セナがいてくれるなら、それでいいんだけど、身分証、使えなくなっちゃうのかな。……一応、状況が状況だったし、私たちが犯人ってバレない可能性だってあるし、もしバレなかったら、追われることも無いし、身分証が使えなくなることもないんだけどな。

 

「あ」

「マスター? どうかしましたか?」


 まだ目は腫れているけど、もう普通に喋れるようになったセナが私の声を聞いて、そう聞いてきた。

 

 また、食料を持ってくるのを忘れた。

 私はそう思って声を出してしまったんだけど、そんなことをセナに言ったら、また責任を感じさせてしまうかもしれない。


「……ちょっと疲れてきたから、また運んでもらっていい?」


 だから、私はそう言った。


「はい! もちろんです」


 すると、セナは嬉しそうにそう言いながら、私をお姫様抱っこしてくれた。

 私が、落ちないようにセナの後ろに腕を回して、抱きつくと、セナはもっと嬉しそうにしてくれた。

 そんな幸せそうなセナの顔を見てると、私も嬉しくて、やっぱり、食料のことは言わないことにした。……どうせ時間が経ったらバレるかもしれないけど、今教えるよりはいいと思う。……セナはついさっきまで精神が不安定だったんだから、時間を置いた方がいい……はず。


「そういえばなんだけど、あの目が焦点が合ってなかった人達ってあの間の記憶ってあるの?」


 そんなことを考えながら、私はふと気になることが頭に浮かんだから、そう聞いた。


「残りませんよ、マスター」

「……だったら、バレないんじゃないの?」


 ギルドマスターは死んでて、私たちを呼んだ人も、もう元に戻ることは無い。……バレないんじゃない? ……もちろんあの受付の人がいるから、警戒はするんだけどさ。……私が警戒したところで意味があるかは置いといて。


「あ、でも、急いで街を出たところを門番の人達に見られてるから、やっぱりバレるかな?」

「……いえ、怪しまれはするかもしれませんが、バレないと思います。……マスターに言われて気がついたんですけど、私たち、ギルドのランク的には弱いですから」


 あー、確かに、普通ギルドマスターをこんなEランクの小娘二人で殺せるなんて思わないよね。

 ……一応、セナの力に興味を持たれてセナが呼び出されたんだろうけど、見られたのってよく分からないけど、何かを仕舞うような、荷物を運べる力、だもんね。

 セナが狩った魔物だって、Eランクで倒せるような魔物ばっかりだし。いっぱい狩ってたから、いっぱい出てきたけど、一日で倒したとは思われてない可能性だってあるし。……見た目的に。


「あ、マスター」

「どうしたの?」

「私が街を消したら、もっとバレない可能性が上がるんじゃないですか?」


 セナは可愛らしい顔を私に向けて、そう言ってきた。


「……やめておこうかな」


 ……流石に、普通に暮らしてる人達が可哀想だから、私はそう言った。

 そう言うと、セナは私の役に立てないと思ったのか、悲しそうな顔をした。


「で、でも、もしもの時はお願い、しようかな」

「任せてください!」


 セナが元気そうにそう言うのを見て、私はセナが幸せそうだしいいかなと思って、セナの後ろに回している腕に力を入れて、ギュッとした。

 すると、セナは更に幸せそうな顔をしてくれた。

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