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セナが言ってた事でしょ?

「ます、たぁ、ごめ、んなさい……こ、殺し、ちゃい、ました。偉い、人を……ご、ごめっん、なさい……ますたぁに迷惑を、かけちゃい、ます。……み、身分、証使えなくなるかも、知れません……」

「…………取り敢えず、出てきてくれない? 私が中に行けたら一番いいんだけど、そういうのを見るのは、私にはきつそうだからさ」


 私が扉の方を見ないようにしてからそう言うと、扉が開く音がして、直ぐに扉を閉じる音がした。

 私が振り向くと、セナが目を腫らして、涙を零していた。


「ま、すたぁ、ご、めん、なさい……わ、たしの、せいで……身分、証、使えっ、なくなるかも、しれませ、ん……」


 そしてそのまま、さらに涙を流しながら顔をぐちゃぐちゃにして、そう言ってきた。

 セナの言葉を聞く限り、多分だけどギルドマスターを殺しちゃったんだよね……

 と言うことは、ギルドにも追われるようになって、身分証を使えなくされる……と。だから、セナはこんなに必死に謝ってきてるって事だよね。

 

「セナ、私さ、今安心してるんだよ?」


 私は安心してくれるようにセナを抱きしめながら、優しくそう言った。

 

「あ、安、心……です、か?」

「うん。だって、大っきい音がして、セナに何かあったんじゃないかと、心配だったんだよ」


 いくら強いとはいえ、万が一の事が無いとは言いきれないから。

 私がそう言うと、セナはさらに顔をぐちゃぐちゃにして、泣き出してしまった。

 

「ご、ご、ごめ、んな、さい。せ、せっかく、ま、ます、たぁが心、配してくれたのに、そ、その、気持ちを、だ、台無しに、してしまい、ました……」


 嗚咽で上手く喋れてないセナの頭を撫でながら、私は言う。


「まぁ、ギルドに追われるかもしれないし、身分証が使えなくなっちゃうのは不便だし、嫌だよ?」


 そこまで言うと、セナがまた泣き出しそうになってしまったから、私は慌てて言葉を続けた。


「でもさ、セナが居てくれるでしょ? 私はセナが居てくれればそれでいいからさ。最初に会った時、セナ言ってたじゃん。私が居れば充分、みたいなこと。その時は正直不安だったけど、今はセナ以外には何かが欲しいなんて思わないよ」

「ま、ます、たぁ……」


 私の言葉を聞いたセナは、今度は嬉しそうにしながら泣いている。

 こんなセナを見て思う。

 どうせギルドマスターが余計なことを言ったから、こうなったんだろうな、と。


「セナ、大丈夫だから。もう泣かないで」


 セナの頭を撫でながら、私はそう言った。

 正直、今の状態のセナの顔も全然可愛いけど、やっぱり泣いてない方が可愛いし、セナには笑顔でいて欲しいから。

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