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ごめんなさい

「ぐっ、あぁぁぁああぁ」


 四肢をを吹き飛ばされた痛みに声を我慢できてないゴミの様子を見た私は、直ぐに私がやってしまったことに気がついて、音を外に漏れないようにした。

 ただ、最初の四肢を吹き飛ばした時の音が下の階まで聞こえてたみたいで、マスターが私を心配して階段を急いで登ってきてる音が聞こえてきた。

 マスターが私を心配してくれていることに一瞬顔がほころびそうになったけど、今の状況を思い出して必死に我慢した。


 幸いにも、マスターとこのゴミ以外の人は何も思考出来ないようにしてあるから、マスター以外の人がこの部屋に来る心配は無い。……けど、マスターがこの部屋に来ることが一番の問題だ。だって、マスターにこんなもの見せる訳にはいかないから。


「せ、セナ! 大丈夫!?」


 私がどうしようかを考えていると、マスターの足音や心音がどんどん近づいてきて、とうとう扉をノックしながら、そう言われてしまった。


「だ、大丈夫です! ほんとに大丈夫ですから、マスターは下に戻っていてください」


 私はマスターのことを考えながら深呼吸をして、動揺しないように落ち着いてから、そう言った。私の声だけが外に聞こえるようにして。


「……ほんと? 嘘だったら怒るよ?」

「大丈夫です」

「……分かった。でも、ここで待ってるから」

「わ、分かりました」


 マスターが近くにいることに心の安らぎを覚えながら、私はこのゴミをどうしようか考えた。

 一応、出血死しないように血を操ってるから、死ぬことは無いんだけど、死なないだけで元に戻すことは出来ない。


「ますっ、たぁ……」

「……セナ? どうしたの?」


 私はさっき大丈夫って言ったのを申し訳なく思いながらも、隠し通せないことを察して、マスターに迷惑をかけてしまうことを謝るために声を出した。

 マスターは声だけで私の様子がおかしいのを察してくれたのか、心配するような声色で、そう言ってくれた。

 普段だったら、嬉しくて、幸せな気持ちになれるのに、今はそんな声をかけられて、私の心は張り裂けそうになった。

 だって、私は今からマスターに迷惑をかけるんだから。


「ごめっん、なさ……い、ごめ、ごめん……なさい、ますたぁ……」

「セナ? よく分からないけど、大丈夫だよ? 取り敢えず、扉、開けていい?」


 マスターが私を心配するように、そう言ってくれる。

 

「だ、め……です……」


 私は声を振り絞るようにして、そう言った。

 だって、こんな光景、マスターに見せられるわけないから。


「なんで? 何があったの? セナは大丈夫なんだよね?」


 マスターのそんな言葉を聞いて、私は涙を流すのを我慢出来なかった。


「ます、たぁ、ごめ、んなさい……こ、殺し、ちゃい、ました。偉い、人を……ご、ごめっん、なさい……ますたぁに迷惑を、かけちゃい、ます。……み、身分、証使えなくなるかも、知れません……」

「…………取り敢えず、出てきてくれない? 私が中に行けたら一番いいんだけど、そういうのを見るのは、私にはきつそうだからさ」


 マスターに、こんな顔、見られたくない。でも、マスターがそう言ってるのに、出ない訳にもいかないから、私はマスターに中が見えないように小さく扉を開けて、部屋を出た。

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