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呼び出し?

「お待たせ致しました」


 そう言って、さっきとは別のギルドの職員がやって来た。


「ギルドマスターがお呼びです。上の階へどうぞ」


 そしてやって来て早々に、ギルドの職員の人は()()()そう言った。

 

「そんなことより、早く依頼の報酬を渡してください」


 さっきの人じゃない人が来たんだとしても、さっさと報酬を貰いたいのは事実だから、私はそう言った。


 可能性はかなり低いと思うけど、私たちの身元がバレて、捕まえようとしてる罠の可能性があるから、私は警戒しながらそう言った。

 まぁ、そんなこと関係なしにギルドマスターなんてどうでもいいし、単純に怪しいから、会う気もセナを会わせる気もないんだけどさ。……セナが吸血鬼だってバレた可能性だって全然あるし。……さっきの技? 魔法? が吸血鬼しか使えないものだった可能性もあるし。

 

「……そんなこと? そもそも私はあなたには言ってませんが?」


 実質ギルドマスターの呼び出しをそんなこと呼ばわりしたのが気に触ったのか、職員の人は声を低くさせてそう言ってきた。

 

「あなた、是非ギルドマスター室へどうぞ。ギルドマスターがお待ちですよ」


 そして、続け様に職員の人はセナに向かってそう言った。

 身分証に名前を書いてないから、名前を呼ばれてないけど、セナに向かって言ってるのは明らかだった。


「マスター、少しだけ、待っててもらってもいいですか?」

「えっ、うん。……いいけど」


 行かないと思ってたセナが、私にそう聞いてきたのを聞いて、思わず声が裏返ってしまったけど、何とか答えることが出来た。


「マスター、すぐに戻ってくるので大丈夫ですよ」


 私が思わず不安な顔をしてしまったからか、セナは安心させるような声色で、私の耳元に向かってそう言ってきた。


「あ、でも、心配なので、こうしておきますね」


 続けてセナがそう言った瞬間、受付の人を待ってる間に回復していたお酒を飲んでいた冒険者達のうるささが、一気にまた静かになった。……目の焦点をズラしながら。


「行ってきますね。何かあったら、私を呼んでもらえれば直ぐに来ますので」

「えっ、う、うん。こ、この人達、元に戻るんだよね?」

「マスターが望むのなら、戻しますよ」


 セナはそう言って、一人で階段を上がって行った。

 職員の人はついて行くつもりだったのか、階段の近くに居たけど、ついて行くことはなかった。

 だって、職員の人の目の焦点も合ってなかったから。

 

「セナ、早く戻ってこないかな……」


 早くも、セナが居ないことに不安になりながら、私はそう呟いた。

 セナが近くに居なくて……いや、近くにはいるのか。……私の見える範囲に居なくて、不安な気持ちももちろんあるんだけど、単純に焦点がズレてる人達に囲まれてるこの状況が怖いから、本当に早く帰ってきて欲しい。


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[良い点] 実力で黙らせるところが好き
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