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私にできること

 私達は歩ける限界くらいまでくっついて、冒険者ギルドに行くために宿を出た。

 正直、恥ずかしい気持ちはある。でも、それ以上にセナの近くに居れて嬉しい気持ちが勝っているから、気にしないようにして、歩いていると、セナが急に笑を漏らし出した。


「えへへ」

「セナ? どうしたの?」

「マスターがさっき言ってくれた言葉を思い出して、嬉しくなっちゃったんです」


 セナは可愛い顔でそんなことを言ってくる。

 ……セナが喜んでくれるのは嬉しいけどさ、わ、私が恥ずかしいんだけど。

 さっき嬉しい気持ちが勝ってるから、恥ずかしい気持ちなんて気にしないようにするって思ったばっかりだけど、これは恥ずかしいよ……


「わ、私も、う、嬉しかった、よ?」


 顔が熱くて、耳の先まで熱くなってきてるのを我慢しながら、私はセナにそう言った。

 すると、セナも私みたいに、恥ずかしそうにしつつも、嬉しそうに、手を繋いで、指を搦めてきた。

 ……特に抵抗する理由もないので、私はそれを受け入れながらセナに案内してもらって、冒険者ギルドに向かった。

 

 ギルドに入ると、視線を集めたりしたけど、特に話しかけられることはなかった。……良かったと思いながら、適当な依頼を取って、受付の人に持って行った。

 討伐系の依頼だったから、武器も何も持ってない私たちでできるのかという目で見られたけど、何も言われずに受けさせてくれた。

 多分、冒険者は何が起きても自己責任だからなんだろうけど、私的には変に心配する振りをされるより、よっぽどいい。


「セナ、行こ」

「はい!」


 セナにそう言って、街の門に向かう。

 ……私がいたところで何も出来ないんだけどさ。……セナから離れたくなかったんだから、しょうがないよね。……あ、でも、囮くらいならできるかも。セナなら絶対助けてくれると思うし。

 いや、セナが囮を必要とする相手なんて、街の近くにはいないか。


「セナ、私は何もすることがないし、囮でもしようか?」


 いないとは思うけど、そういう魔物とかに街を滅ぼされたっていう話を聞いた事あるし、いる可能性だってあるから、一応、セナにそう言っておいた。


「絶対だめです! マスターを囮にするなんて、有り得ません!」


 セナは私の言葉を最初理解出来てなかったみたいだけど、直ぐに理解したみたいで、絶対にダメだと訴えかけてきた。

 私的にはセナが居たら全然大丈夫なんだけど、セナ的にはダメだっみたい。

 

「そっか、変なこと言ってごめんね」

「大丈夫です。ただ、もう変なこと言わないでくださいね」

 

 自分で変なことって言っちゃってるから、素直に頷いておいた。……変なこと言ったつもりは無いんだけどさ。

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