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元はと言えば

 セナが私を運んで歩いてくれたおかげで、街が見えてきた。……夜だから、門が開かなくて入れないけど。

 そして、それと同時に私のお腹がなった。


「い、今のは、ち、違うよ?」


 その瞬間、私は恥ずかしくなって、セナに言い訳をした。

 

「マスター? お腹すいたんですか?」

「ち、違うから。い、今のは私じゃないから」


 セナと私以外に誰もいないのに、私はそんな言い訳をした。

 セナはそんなバレバレの言い訳をした私を、可愛い顔で見つめてきた。……私は更に恥ずかしくなって、顔が熱くなってきた。だから私は、セナの首の後ろに腕を回して、セナにくっついて、セナから私の顔を見られないようにした。

 ……胸が邪魔で、だいぶセナに押し付けちゃってるけど、セナなら痛くないと思うから、大丈夫。


「ま、マスター、お、お腹がすいたのなら、わ、私が適当に動物を狩って来ますよ」


 セナは何故か恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうな声でそう言ってくる。

 ……私が恥ずかしいはずなのに、なんでセナが恥ずかしそうなの。


「……捌いたり、出来るの?」

「そ、それは……出来ない、です……」


 さっきまでの嬉しそうな声とはうってかわり、セナは悲しそうな声でそう言った。

 その声を聞いた私は、セナにまだ熱い顔を見られないようにしながら、セナの頭を撫でながら言う。


「セナ、大丈夫だから」


 昨日も我慢できたんだし、今日くらいは大丈夫だと思う。

 そう思って、私はセナに安心させるように言った。

 まぁ、元はと言えば、私が食料を持ってこずに、街を出たのが悪いんだし。


「で、でも……マスターが何も食べてなくてお腹がすいてるのに、私だけ、マスターの血を飲んじゃいましたし……」

「そういう約束だったし、私から飲んでって言ったんだから、気にしなくていいよ」

「で、でも……もう、無理やり街に――」


 気にしなくていいって言ってるのに、何かを言おうとしてくるセナをちょっと強めにギュッとして、何も言わせないようにした。


「セナ、今日はもう寝るね。明日、門が開いたらすぐに起こしてくれたらいいから」

「で、でも……」

「どうせ今日は入れないし、さっさと寝て、明日になったらすぐに朝食を食べるからさ」


 そう言うと、セナは不満そうにしつつも、受け入れてくれた。

 私はセナにお礼を言いながら、目を閉じた。

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