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それは血を飲んでいいかの話でしょ

「せ、セナ? 大丈夫?」

「ますたぁ……大丈夫、です……ますたぁ、が、我慢しなくていいって、言ってくれましたから……」


 そう言って、セナは私の唇を舐めた。


「ッ!?」


 私はびっくりして、反射的にセナから離れようとしたけど、セナに抱きしめられていて、離れることは出来なかった。

 わ、私今……え? な、舐められた!? く、首とかじゃなくて、く、唇を。

 こ、これも吸血鬼の文化的なの、なのかな。……そ、そうだよね。そうに決まってる。そうじゃなかったら、セナがいきなり私の唇を舐めてくるなんて、意味わからないし。

 

「ますたぁ、ますたぁ……ますたぁ……もうちょっと、もうちょっとだけ……」

「う、うん。い、いいよ」


 ほんとは、これ以上は断った方がいいのかもしれないけど、昨日、約束を覚えてなかった罪悪感から、私には断ることなんて出来ない。

 

 そして、私がそう言うと、セナは私の後ろから抱きついてきて、後ろから私の胸を揉みながら、私の首元を舐めてきた。


「せ、セナ!? そ、そこは……んっ、まっ」

「ますたぁ……美味しいです……好きです……大好きです」

「あっ、んっ、セっ、ナ……」


 上手く返事が出来ない。

 それどころか、どんどん力が抜けてきて、私は後ろから抱きついてきているセナにもたれかかった。

 すると、セナは首元を舐めるのをやめて、恥ずかしさで真っ赤に染まっている私の耳を舐めてきた。





 いつの間にか、全然進むことなく辺りが暗くなってきていた。

 そして暗くなってきた頃に、やっとセナは冷静になってきたようだ。


「ま、マスター、ご、ごめんなさい」

「せなぁ……」


 私はセナのせいで、力が入らなくて、まだセナにもたれかかりながら、なんとかセナのことを呼んだ。


「は、はい……マスター」


 これが仮に吸血鬼の文化だったんだとしても、これだけは言わせて欲しい。


「……変態」

「ち、違いますから! ま、マスターが我慢しなくていいって言うから……」

 

 セナは慌ててそう言ってくる。……我慢しなくていいって言うのは、血を飲む話でしょ!


「ま、マスター……私の事、嫌いになりましたか?」


 セナは少し俯きながら悲しそうな顔で、泣きそうになりながら私に恐る恐るそう聞いてきた。

 

「………………嫌だったとは言ってないけど」

「え?」

「も、もういいから! この話はいいから! 私の事運んで! セナのせいでもう歩けないから!」


 私は恥ずかしさを誤魔化すために、早口でそう言った。

 もう暗くなってきてるけど、セナのせいで進めなかったんだから、少しでも進んでもらわないと。

 ……元はと言えば、私が約束を忘れてたのが悪いんだけどさ。……これくらいの八つ当たりは許されるはず。


「は、はい! 任せてください!」


 私の言葉にセナは嬉しそうに返事をすると、もはや安定のお姫様抱っこで私を抱えて、セナは幸せそうに歩き出した。

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