表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サラリーマン戦記 ~スローライフで世界征服~  作者: 笛伊豆
第五部 第六章 俺が後見人?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

935/1008

2.ミルトバ連盟会議?

 うん。

 判ってないと言えば嘘になるというか、想像している事はあるんだけどね。

 でもそれが正解かどうかは判らないし。

 間違っているかもしれない意見なんか言いたくないからな。

主上(マコトさん)が間違うなどということはございません」

 その信頼はどこから来るんですかオウルさん(泣)。

 俺の判断なんか正しい方が少ないくらいなのに。

「もちろん、主上(マコトさん)が無謬であるなどとは申しません。

 何も間違えない者など、既に人とは言えませんからな。

 ですが主上(マコトさん)のお考えは常に正しい」

 その理屈はどうよ?

 アレか。

 「親分(オヤジ)が黒と言ったら白でも黒」という奴?

 オウルさんって何気に暴力団とか任侠とか合いそうだもんね。

 元軍人だし。

 上司の命令は常に正しいとか。

「僭越ながら申し上げます」

 ハマオルさんが口を挟んだ。

 珍しい。

 出来る限り引っ込んでいるのが習い性になっている人なのに。

「オウル様のご意見は盲信ということではなく、(あるじ)殿のご判断ならどうあれ傾聴に値するということではないかと。

 絶対者(アゾート)である(あるじ)殿にただ従うだけの私とは違うと愚考致します」

絶対者(アゾート)だからといって盲信しているわけではございませんが」

 ユマさんが軽く続けた。

「それとは違った次元で(ユマ)は我が(あるじ)に絶対的な信頼をおいております。

 我が(あるじ)は間違えない。

 これは経験則から導き出された結論でございます」

 何か禅問答みたいになってきたけど、つまり俺を絶対者(アゾート)だと思っているお二人は盲信している臭いな。

 面倒くさいなあ。

 俺としては、誰かの判断に従っている方が楽なんだが。

 例えばラヤ様とかユマさんとか。

「判断し、命令を下すのは主上(マコトさん)でございます。

 我等配下の者どもは従うのみ」

 帝国皇太子の言うことじゃないような。

 もういいや。

 言えばいいんでしょう?

 俺の意見というか考えとやらを。

「どうぞ」

 ラヤ様のアニメ美少女声が虚しい。

「では言いますけど、つまりミルトバ連盟の定例会というか総会ですね?」

 そう言うとユマさんがキラキラした瞳で俺を見た。

 恍惚としてない?

「やはり我が(あるじ)

 言葉もございません」

 言っているけど。

「マコトなら当然です」

「なるほど。

 これは凄いね」

 ラヤ様とラルレーンさんが頷き合う。

 てことは合っていたわけですか。

「お待ち下さい。

 それは……ああ、そういうことでございますか!」

 フレスカさんが叫んだ。

 どういうことなんですか?

 ていうか面倒くさいからフレスカさん、続きをお願いします。

 オウルさんはまだよく判ってないみたいだったけど何も言わない。

 するとフレスカさんが話し始めた。

「間違っていたらおっしゃって下さい。

 ラヤ様の意図はマコトさんとオウル様をトルヌに送ることではなく、それによって北方諸国をまとめることでございますね?」

「合っています」

 ラヤ様がぱちぱちと手を叩いた。

 マジでトカゲ顔の人だということを忘れそうになるね。

 俺も魔素翻訳に慣れてきているのかもしれない。

教団(スウォークの方々)の真の意図は私などには判りませんが、これによって帝国(われわれ)の問題は解決されます。

 オウル様がミルトバ連盟の会合に出席されることで、北方諸国の代表に親善のご挨拶を行ったという状況を作れますから」

 そうなんだよ。

 正直言って、オウルさんたちはこれからどうすればいいのか迷っていたんだと思う。

 いやフレスカさん以下官僚の人たちが。

 オウルさんはあまり考えてなかったかもしれないけど。

 でも、帝国皇太子の親善訪問って考えてみれば難しいんだよ。

 俺がソラージュの親善大使として訪問したときとは重みが違う。

 俺はあの時はたかが子爵で、しかも外交というよりはむしろ物見遊山的な訪問だったからね。

 親善大使と言っても何か使命とかソラージュ外交の目的があったわけじゃないし。

 だから訪問する順番なんかある意味どうでも良かったんだよ。

 でも帝国皇太子は違う。

 将来の帝国皇帝陛下なのだ。

 ソラージュやエラ、ララエといった大国ですら国賓として迎えて色々気を配らなければならない立場だ。

 訪問順についても本当は問題なんだけど、幸いにして帝国から見たソラージュ、ララエ、エラの各国はほぼ合理的な訪問順の選択が出来る位置関係にある。

 まず国境を隔ててすぐ北にあるソラージュを最初に持ってくるのは当然だ。

 次にララエかエラかという選択があるけど、ララエには海路で行けるからね。

 もしエラを次の訪問国にしたら、結局ララエにも陸路で行くしかなくなる。

 だからソラージュ、ララエ、エラの順で親善訪問した。

 というわけでエラ(ここ)までは順当だったんだけど。

 エラやララエから北は似たり寄ったりの小国の集まりだ。

 順番と言っても何通りもある上、そもそもすべての国を訪問する必要があるのかという問題もある。

 悪いけど帝国皇太子がわざわざ自ら訪問する相手としては弱小国過ぎるんだよ。

 例えば日本の首相が外交のためにEU(ヨーロッパ)に行くとして、ドイツとかフランスとかイタリアとか、そういういわゆる「列強」を訪問するのは当然だ。

 そうしないと失礼になる可能性があるからな。

 だけど普通の日本人だと名前どころか存在も知らないような国にいちいち行くかということだね。

 そんな暇もないし理由もない。

 だけど完全無視というのもちょっと角が立つ。

 だから「ミルトバ連盟」だ。

「そうですね。

 オウル様がミルトバ連盟の会合に参加すれば、そこには北方諸国を代表する方々が揃っていらっしゃるはずです。

 しかも序列や順番といった問題もない。

 本会議で演説なさった後、個別に社交なされば親善外交を行ったことになります」

 フレスカさんは言い切って俺たちを見た。

 ぱちぱち、とラヤ様が小さな手を叩いた。

 スウォークがやるからいいけど、それ人間だったらむしろ侮辱になるのでは。

「素晴らしい」

 オウルさんが深く頷いた。

 副官(フレスカさん)が優秀で良かったですね。

主上(マコトさん)はこそまで読み切られていたか」

 俺ですか(泣)。

「早速、ヤジマ大公からの親書という形で各国に連絡させて頂きます。

 次回の定例会議でよろしいでしょうか」

 ユマさんが強引に話を進めてきた。

 それ、この場で決めるんですか?

「署名は教団(われわれ)と連名にしましょう。

 私ども(スウォーク)にも幾ばくかの影響力がありますから。

 それにユマ。

 ミルトバ連盟の定例会はまだ先です。

 むしろ臨時総会の開催を依頼するということで」

 開催場所はトルヌでお願いします、とラヤ様。

 何か陰謀臭いぞ。

 ていうかむしろスウォークに何か目的があって、そのために北方諸国を集める必要が……あれ?

「何か気がつきましたか?

 マコト」

 ラヤ様のアニメ美少女声が降ってくる。

 楽しそうですね。

 いえ、ちょっとひっかかっただけなんですが。

「何でしょうか。

 言って下さい」

 挑発しているのか?

 みたいだな。

 ラルレーンさんも笑っているし。

「開催は数ヶ月後でいいんですよね?」

「そうですね。

 必要があればもっと後でも結構ですよ」

「ご案内は俺とラヤ様名義で、各国の国王陛下宛に?」

「そうなりますね」

 誰も口を挟んでこない。

 ヤバいよこれ。

 ユマさんが楽しそう、というよりはもう歓喜の表情だ。

「さあさあマコト」

 くそっ。

 駄目か(泣)。

「ラヤ様。

 まさか国連を作るつもりですか?」

「よく出来ました」

 パネェ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ