表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サラリーマン戦記 ~スローライフで世界征服~  作者: 笛伊豆
第四章 俺は派遣の冒険者?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/1008

12.新キャラ?

 数日後。

 俺は、マルト商会からの出向の身分のまま、インターンを解かれて契約社員? として正式にギルドへの派遣を命じられた。

 これで、俺も立派なサラリーマン(違)だ!

 俺だけじゃなくて、ホトウさんを初めとするパーティ『ハヤブサ』の面々と、キディちゃんにシルさんもいる。

 思ったより大人数な上、何気に『栄冠の空』のキーパースンが含まれてない?

 『栄冠の空』は、この仕事によほど力を入れているらしい。

 そもそも稼ぎ頭のホトウさんや、渉外のシルさんを投入するというのが大きい。現場と営業のエースを専従にするというのだから、『栄冠の空』はこの仕事に社運を賭けているといってもいいくらいだ。

 どっちかというと、俺はオマケかな。

 異動の辞令をもらった(といっても口頭で言われただけだが)後、俺たちはホトウさんに引率されて、ギルドに挨拶に行かされた。

 シルさんは何か用があるらしくて不参加である。

 ハスィー様が、まだ用意が調ってないらしくてガランとした部屋で迎えてくれた。

 俺の知らない人が数人いて、ギルドの職員だと言われたけど、結構でかいプロジェクトなんじゃないか?

 ハスィー様って、結構偉かったんだな。

 ギルド内の階級は判らないけど、会社でいうと最低でも課長級はいくと思う。

 予算の執行権限を握っているらしく、プロジェクトの進展に伴う作業についてズバリ言っていたからね。

 自分の好きにやれるのでなければ、あんなに好き勝手には言えないだろう。

 ハスィー様って、いくつなんだろうか。

 エルフだからなあ。

 美人過ぎて、マジで歳が判らないんだよ。

 永遠の十○歳な声優とかと一緒で(違)。

 まあいい。

 ハスィー様は挨拶の後、ギルドの職員の人を紹介してくれた。

 こっちからは、ホトウさんを初めとする『ハヤブサ』と俺が挨拶。それに、キディちゃんが加わる。

 ちなみに馬のボルノさんも参加するらしいが、ここでの紹介は無かった。

「ミトヤ・フィーです。このプロジェクトの次席を拝命しました」

 きっちりしたかんじの男がかすかに頭を下げる。

 フィーは家名だろうから、名のある家の出なんだろうな。歳は、みたところ30過ぎか。

 無表情で、ハスィー様の下で仕事することについてどう思っているのかは判らない。

「アレナ・エイルスです。内務を担当します」

 そう言って頭を下げたのは、またしても美少女に見える女の子だった。

 クールビューティとまではいかないが、それなりに整った顔立ちで、生真面目そうに髪を上げている。

 この人は銀髪だった。

 いるよね、ラノベでこういうポジションの人。

 大抵、主人公に接近してかなり露骨に迫るんだけど、結局悲恋で離れていくタイプだ。

 勝つのはツンデレなんだよね。

 あの傾向って、俺にはどうしても納得できないんだけどねえ。真面目で真剣に考えてくれるタイプの方が、どう考えたってツンデレで暴言吐いて暴れるヒステリー女よりいいだろう!

 まあ、恋愛は人それぞれだから別にいいけど。

 でも、実際にはすぐに暴力をふるってくる女より、しっかりと主人公を支えてくれる健気な女の方が、長期的にみてお買い得のはずだよね。

 俺は主人公じゃないから、どうでもいい話だけど。

 ていうか、現実の社会に主人公などというものは、いないから。

「マレ・タフトです。経理を担当します」

 また女性か!

 ギルドって、何気に女性率高くない?

 茶髪の活発そうなタイプで、本質を知る前のキディちゃんとキャラが被りそうだけど、今となっては唯一の癒し担当かもしれない。

 それにしても、この明るい人が経理か。

 どうも、イメージと職種にミスマッチがあるな。

 こういうポジションは、眼鏡の怜悧なタイプのはずだ。ラノベなら。

 あ、そういえば眼鏡ってこっちに来てから見たことないけど、存在するのだろうか。

 ないとしたら、近視の人とか高齢で遠視になった人なんか、かなり不自由する気がする。

 まあ、地球でも昔は眼鏡なんかなかったはずなので、なければないでどうにかしているのかもしれない。

 でも、日本でも江戸時代にはもう、眼鏡はあったはずだよね。

 こっちの科学技術の進度からすると、眼鏡くらいありそうだけど。

 そう考えていると、マレさんが徐に懐から眼鏡を取り出してかけた。

 おおっ!

 やはり理数系キャラか。

 じゃなくて、眼鏡ってやっぱりあるんだな。

 数字を扱う職種は、眼鏡なしではやってられないだろうし。

 ちなみに、IT業界も眼鏡率は高い。

 一日中ディスプレイを眺め続けていたら、大半はどうしてもそうなるよ。

「失礼しました。これがないと、皆様のお顔もよく見えませんので」

 マレさんが、もごもご言う。

 だったら、最初からかけていればいいのに。

 なんかドジキャラ設定も付いているようだ。

 いやー、ラノベって本当に楽しいよね!

 これはラノベじゃないけど。

 それから俺たちはお互いにどうも、とかよろしく、とかモゴモゴ言いあって終わった。

 ギルド組はさっさと自分のデスクについて仕事を開始する。

 さすが文官。

 一人一人にデスクがあるとは。

 と思ったら、ハスィー様が長机の所に案内してくれた。

 この辺が『栄冠の空』組の待機場所になるらしい。

 といっても、俺たちが出勤するのは現場の仕事がある時だけで、基本的には非常勤である。まあ、それでもギルド内に居場所がないのはモチベーションに関わるということで、ハスィー様が用意してくれたようだ。

 いい上司に恵まれたなあ。

 このスペースは『栄冠の空』が自由に使っていいということなので、装備などを置いておくことになるな。

 いいよね、自分の机。

 俺も、入社して研修が終わって事務所に配属されて、すぐに自分の机が貰えたことが一番嬉しかったもんなあ。

 やっぱり、出社したときに拠点があるとないとではモチベーションが違ってくるよね。

 同期の中には先端的な部署に派遣された奴もいて、聞いたところによると、そいつの領分は移動式の小さなロッカーが一つだけだそうだ。

 その中に自分用のノートパソコンを含む個人用荷物一式が入っていて、出社すると適当な場所に座って仕事するらしい。

 もちろん無線LANなので、事務所内ならどこにいても仕事できるとか。

 そんなの嫌だよね。

 嫌だと言っても、そう決まっていたらどうしようもないけど。

「じゃあ、僕たちは今日は引き上げようか」

 ホトウさんが言った。

「帰ってこっちに持ってくる装備を用意しなきゃね。あ、マコトはここで待機ということで。

 僕たちは、今日は引き上げだから、マコトも適当なところで切り上げていいよ。直帰していいから」

「はあ。了解です」

 どうせ、俺には持ってくる装備なんかありませんから。

 俺以外の『栄冠の空』組が引き上げてしまうと、俺は広い待機スペースにぽつんと取り残された。

 何このボッチ感は。

 ギルドの人たちは、黙々と仕事している。

 ハスィー様は、用があるらしくて出かけてしまった。

 どうしようかな。

 絵本でも持ってくれば良かった。

「あの、お茶いかがですか」

 いきなり呼びかけられて、俺は飛び上がった。

 いつの間にか、アレナさんがそばに立っている。

 全然気づかなかった。

「あ、はい。どこにあるのか教えていただければ」

「とんでもない! 私の役目です」

 アレナさんは慌てて手を振ると、逃げるように去った。

 いいよね、銀髪。

 うちの会社には結構外国人がいたけど、銀髪の人はいなかったなあ。ガイジンの金髪率は高かったんだけどね。

 もっとも、みんな男だったけど。

 あとはハッサンみたいな汚い髭モジャとか、兆さんのような日本人と見分けが付かない連中ばかりで、あまり面白くなかったな。

 それに比べると、こっちは凄いぞ。

 アレナさんの銀髪、マレさんの染めてない茶髪、名前忘れたけど次席のあの男はどうでもいいとして、ハスィー様の豪奢な金髪。

 いやー、いいなあ。

「どうぞ」

 アレナさんが、熱いお茶を出してくれた。

 ちなみに、お茶といっているけど正体不明の無味な液体である。

 ちょっと緑がかっているので、勝手にお茶と呼んでいるんだけど、間違っているかもしれない。

 今までもっと重要なことが多すぎて、聞き損ねていたけど、いずれは判るだろうということでそのままになっている。

 無味なんだけど、ちょっとすっとするのがいい。

 熱いのに不思議だが。

 ハッカ茶みたいなものなのかもしれないな。

 俺は、ふと思いついて尋ねてみた。

「アレナさんは、ここに来る前はどの部署にいたんですか?」

「私ですか? 同じ調整局です。教団の対応を担当していました」

 教団?

 スウォークさんたち?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ