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サラリーマン戦記 ~スローライフで世界征服~  作者: 笛伊豆
第二部 第六章 俺が恋愛仕掛け人(マリッジ・プランナー)?

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23.インターミッション~シイル&OTHERS~

「あ、シル舎長。

 おはようございます」

「おう。

 シイルは出張か?」

「はい。

 王都派遣部隊の第二陣を引率するために戻ってきました。

 銀鷲(シルバーイーグル)砂豹(デザートパンサー)は初陣ですね」

「そうだな。

 まだ早いような気もするが、族長どもがしつこくてな。

 フクロオオカミに出来て我々に出来んはずがないと」

「アレスト市と王都では状況が違いますからね……間違って射られたりしなければいいんですが」

「そこはユマとラナエを通じて王政府に言ってあるはずだから、まあ大丈夫だろう。

 それより、連中が環境の変化に慣れるかどうかが問題だ。

 体調に注意して、駄目そうなら早急に戻してやってくれ」

「はい。

 セルリユ興業舎が責任を持って対処します」

「言うようになったじゃないか。

 よろしい。

 任せた。

 ……ところで、ここからは私的(プライベート)な話だが」

「はい?」

「情報によれば、マコトとハスィー様がついになされたそうだ」

「……そうですか」

「これで我々の野望に一歩近づいたことになる。

 だが、ハスィー様が子供を産むまでは我慢しろよ。

 間違ってもヤジマ家の乗っ取りを疑わせるような行動は取らないことだ」

「……」

「私のことは気にするな。

 マコトに相応しい立場を手に入れないと、前に出られないからな。

 シイル、それはお前も同じだぞ」

「判っています。

 焦らず、確実に、ですよね」

「そうだ。

 お前の場合は身分的にハンデがあるし、マコトの奴は判ってないだろうから、頑張らないとな。

 お前はまだ若いんだし、焦りは禁物だぞ」

「はい」

「じゃあな」

「ありがとうございました」



「ノル、ちょっといい?」

「シイルか!

 久しぶりだな……じゃなくて、ですね」

「そんなのいいから」

「でも、俺は主任でシイル課長より階級が下ですから」

「今はプライベートだから、前と同じでいいってば」

「……そうだな。

 じゃあ改めて。

 シイル、よく帰ってきたな」

「すぐにセルリユに戻るけどね。

 新しい野生動物の先発隊を連れに来たんだ」

「ああ、そんな話も聞いたな。

 王都でもサーカスをやるんだって?」

「それもだけど、騎士団や警備隊との協力をもっと推進するらしいよ。

 偵察部隊とか、補給部隊とか」

「なんか凄えな。

 俺もお前も、ちょっと前まで半端仕事を求めて路上をうろつき回っていたのに。

 あれからまだ2年もたってないぞ」

「本当だよ。

 全部、マコトさんのおかげ」

「いや、あの時シイルがマコトさんにお願いしたからだって聞いているぜ。

 本当に感謝しているぞ、シイル」

「そんなことないよ。

 ところで、ノルは今何してるの?」

「アレスト興業舎の警備部隊を鍛え直している所だ。

 ずいぶん王都に行っちまったから、新人が多くてな。

 ホトウさんが隊長で、俺たちホトウズブートキャンプ組が分隊を率いる。

 今までは市内だけだったんだが、これからは山脈の方も警備範囲になる予定だ」

「そう……頑張ってね」

「おう。

 そういや、頑張ると言えばシイル、お前も大したものだな。

 家名、評判になっているぞ」

「……そんなに?」

「ああ。

 凄え覚悟だって」

「……うん」

「背水の陣だな。

 まあ、頑張れよ。

 お前は俺たちの誇りだ」

「ありがとう。

 ノルもしっかりね」

「まかせとけ」



「シイルの姉御!」

「おはよう。

 準備は出来た?」

「もちろんっスよ!

 マコトの兄貴に会いに行くんですよね!」

「それだけじゃないけどね(笑)。

 それにしてもツォル、ちょっと見ない間にまた大きくなったんじゃないの?

 もうミクスさんと並ぶんじゃ」

「まだまだっスよ。

 三番長老にはとても届きません。

 ま、あと一年もすれば越えますが」

「その自信がツォルの強さだと思っていいんだよね……あ、ナムスもおはよう」

「おはようございます。

 シイル課長。

 引率、よろしくお願いします」

「うん。

 長旅になるけど、体調に気をつけてね。

 ちょっとでも変だと思ったら、すぐに言って」

「はい。

 でも、私たちは大丈夫ですよ。

 先行したハリルやテリからも、毎日楽しくて面白いという手紙が届いていますし」

「そうそう!

 飯が食い放題で、しかも美味いって言ってくるんスよ!

 あいつらだけずるいじゃないっスか!

 俺たちも早く参加したいっス!」

「ツォルはあいかわらずだね。

 ナムス、本当にこんなのが(つが)いで良かったの?」

「フクロオオカミは強さが一番ですから。

 後は、後ろで糸を引いてやればいいだけのことです」

「……そう。

 まあ、ナムスがいいのならいいけど」

「私たちより、シイル課長はどうなのですか?

 マコトさんと離れてしまって」

「こないだお会いしたよ。

 お元気そうだった」

「そうですか。

 私もお会いできるのが楽しみです」

「おう!

 今度こそ、俺がマコトの兄貴を乗せて走るぜ!」

「多分、大丈夫だと思うけど」

「シイルさんも、マコトさんを……」

「そこは言わないで!」



「あ、シイル様!」

「お久しぶりです!」

「ああ、君達は?」

「予備班のチカです。

 こっちはサムロ」

「ごめん。

 知らないんだ。

 もう予備班のリーダー辞めたから」

「それはもちろんです!

 でも、僕たちはシイル様のことをよく知ってますよ。

 アレスト市の子供の英雄だって」

「何それ?

 聞いたことないけど」

「だって、この青空教室はシイル様がヤジママコト近衛騎士様にお願いして始めたんでしょう?

 見習いの人たちが言ってます。

 どんな生まれでも、努力次第で登っていける事を証明し続けているシイル様は、僕たちの希望の星だって」

「誰?

 いい加減なことを広めて!

 違うからね。

 全部、マコトさんのおかげなんだから」

「でも、ヤジママコト近衛騎士様のことを、そんな風に呼べるってことは、やっぱり凄い人ですよね?

 私たちなんか、遠くからお見かけしたのがせいぜいで」

「近衛騎士様というだけじゃなくて、フクロオオカミを乗りこなす狼騎士(ウルフライダー)で、剣術の達人なんだし」

「ギルド警備隊の人たちが言ってましたけど、決闘して一撃で隊長を倒したって」

「それなのに、王都であっという間に事業を成功させて……そんな方を名前で呼べるなんて、やっぱりシイル様は凄いです」

「はは。

 困ったな。

 私はそんなもんじゃないよ。

 マコトさんだって、会うと私の頭をグリグリ撫でてくるくらいで」

「そんなことまで!」

「凄い!

 みんなに教えないと!」

「……しまった」



「どうしたシイル?

 暗いぞ」

「あ、フォムさん。

 今後ともよろしくお願いします」

「ああ、こっちこそ……って今更だろう。

 俺もセルリユ興業舎に入舎するんだし」

「フォムさんはギルド警備隊を退職されたんですね。

 せっかく大尉に昇進されたのに」

「俺の技能と経験が必要だとラナエ舎長に言われてな。

 後のことはスラウがうまくやるだろう。

 あいつも警備隊を退職して部長就任だ」

「そうですか。

 なんか、みんなバラバラですね」

「何を言う。

 王都に集まっているだけだろう。

 騎士団からも何人も先行しているし」

「はい。

 ロッドさんは王都中央騎士団に戻ったそうですが」

「あんなに辞めたがっていたのになあ。

 まあ仕方がない。

 とにかく俺たちも頑張らないとな。

 俺は、いずれヤジマ商会に行ってマコトさんに仕えるぞ。

 シイルは別の野望があるんだろう?」

「……それは」

「先は長いし、ライバルは多くてとてつもなく凄いが、諦めるな。

 お前ならできるさ」

「ありがとうございます。

 でも、あまり言いふらさないで下さいね。

 みんなに言われるんです。

 野心を露骨に表しすぎだと」

「それはそうだろう。

 なんせ家名が」

「だから言わないで下さいってば!」

「……まあ、頑張れ」

「はい……」

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