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第六話 ~港町へと向かう馬車の中。俺はツキとミソラにリーファと出会った頃の話をすることになった~

 第六話




 馬車乗り場へとたどり着いた俺たち4人は、貸し切りにしようと考えてある一台の馬車へと乗り込んだ。


「よろしくお願いします。行き先は港町になります。料金はこちらで……」

「ありがとうございます。ベルフォードさん。また貴方がたを乗せることが出来て光栄です!!」


 以前馬車を利用した際の運転手と同じ人が担当になっていた。あの時と同じように1.5倍の料金を運転手に提示した。


「本当は料金は頂きたくないくらいなんですよ」

「いやいや。前回も貸し切りにして貰ったのに通常料金だったじゃないか」

「ははは。ベルフォードさん。あの後ですけど乗りたいという人がかなり増えまして、たくさん儲けさせて貰いました。宣伝効果を考えたらこっちがお金を出さないとダメくらいです」

「……そうか。でも受けとってくれないか?タダ乗りした。という悪評は欲しくないからね」

「ははは。わかりました。そう言われたら断れません」


 と前払いで料金を払い終えると、4人乗りの座席では既に俺の座る場所が指定されていた。

 どうやら俺はツキの隣に座るようだった。

 対面にはリーファとミソラが座っていた。


「ベルフォードは私の隣になります」

「その方が良いね。何かあった時に、すぐに対応できるからな」


 俺が首を縦に振りながらそう答えると、少しだけ笑みを浮かべながらミソラが言ってきた。


「こういう座り方をしてると、昔を思い出すわね」

「ふふふ。そうね。昔はこの3人でのパーティーだったからね」

「まぁ……1番最初は俺とリーファだけだったけどな」

「そうね。懐かしいわね」


 俺がそう言うと、ツキが珍しいことを聞いてきた。


「ベルフォードの昔話に興味があります。私と出会う前の話を聞きたいです」

「……そうか。でも俺とリーファが出会った頃の話とか聞いて楽しいのか?」

「……楽しいかどうかで言えばそうではありませんが、敵のことは知っておく必要があります」

「敵ってなによ、敵って……」

「あはは。でも私も気になるわね。ベルがリーファとどうやって『仲良くなった』のかを知りたいし」


 そうだな。昔のリーファは『他者に対して心を開くことをしなかった』からな。


「……ちなみにリーファは昔話をすることには賛成なのか?」

「ええ。別に構わないわよ。まぁ今よりも少しばかり『他人不信だった』ってことはあったわね」

「リーファの故郷のことを考えればそうなっても仕方ないとは思うけどな……」


 そして、俺は少しだけ外を見て周りにモンスターが居ないことを確認する。


「よし。これならしばらく安全だと思うかな」

「私も防御魔法を展開しているわ。そんじょそこらのモンスターの襲撃くらいなら、ビクともしないわよ」

「ははは。頼もしいな」


 こうして昔話が出来る体制を整えたあと、俺はミソラとツキに故郷を離れて、王都に来たばかりの頃の話を始めた。





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