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第七十六話 バOスされてそうな警部

 伊角「これで準備おっけいかな。」


 伊角と狭間は【幽鏡術 -鏡水-】を使用するため、悟たちが探索に行っている間に公民館の一室を借りて儀式の準備を進めていた。


 狭間「お碗借りてきたよ」


 伊角「ありがとう。それを部屋の真ん中に置いて水を入れてくれ。」


 狭間「悟、また無茶するつもりだけど。伊角は止めないの?」


 伊角「それは、私は悟のことを信じているからね。」


 狭間「実際に付き合ってる時間は三年程度なのにか?」


 伊角「確かに私は伊角真人本人ではないし、彼と過ごした時間は短いものだ。伊角君の記憶を引き継いでいるからなのか、この短い時間での接触が原因かは判断しきれないが、彼といると不思議と安心感があるんだ。それに気も合うしね。」


 狭間「ほんと、真人と同じことを言うね君は。気になったんだけど、真人に移る前は何をしてたの?」


 伊角「イス人っていうのは過去、未来、現在の時間に他者の肉体を介して接続ができる精神生命体だ。だから基本的に世界を見ている。」


 狭間「世界を見ている…」


 伊角「そんな私たちは知性というものを何よりも尊いものとし、高い価値を置いている。肉体を持つ生物と精神交換してはその生物の文化、知識を収集し続けている。言うならば記録に対して貪欲なんだ。」


 狭間「じゃあ、君も記録目当てでこの時代に?」


 伊角「本来の目的はそうだった。」


 狭間「じゃあ、今は違うの?」


 伊角「それはだね…」


 扉が開き中へと誰かが入ってくる。


 悟「伊角、準備は順調か?」


 伊角「あっ、うん。あとは手鏡さえあればいいんだけど」


 悟「それならこの三面鏡を使うか!」


 狭間「それどこで拾って来たんだい?」


 悟「ちょっとな。とりあえずさっそく儀式始めようぜ!」


 儀式が始まる


 俺は水の中に手鏡を沈める。


 お椀の前に立ち、呪いを読む。


 悟「(写りよ、写り世。翡翠のごとき我が身へ。鏡水巡るは花と月。断ち切りし世は、血の一滴なり)」


 [悟

 1D4→2

 MP15→13

 1d3→1

 SAN83→82]


 そうして水の中に自身の血を入れると手鏡が光る。


 伊角「これで光る手鏡を持って姿見の一つに触れれば、肉体は写り世へと移るはずだ。」


 俺は目の前に置かれた縦鏡み触れる。すると俺は鏡の中へと吸い込まれる。


 悟「すげぇ!まるでミラーワールド見てえだ!!」


 伊角「実際ミラーワールドでしょそこ」


 狭間「その状態からもう一度こっちに来れる?」


 そう狭間の声が聞こえたので、今度は反対側の鏡から現世へと帰還する。


 悟「いい感じだ!」


 伊角「これで君も無茶できるね。」


 悟「ありがとな伊角、狭間!それじゃ、二人を待たせているし、明野町役場に行こうか」






 俺たちは役場の中に入ろうとすると、役場の中から出てきた人とすれ違う。


 「ん……?待ちたまえ、そこの君達」


 と男が俺たちを呼び止める。


「君たちは例の事件の目撃者じゃないのかね?いったいこんな所で何をしているのだ。君たちは警察署に保護される予定だったはずだが」


 晩野「あなたは?」


 「……私の名前は『正田武須賀(まさだむすか)』。刑事をやっている」


 そう言って警察手帳を見せてくる。


 悟「むすかってあれだよな。」


 伊角「言わんとすることは」


 狭間「なんとなく」


 晩野「わかる」


 月島「むすかって、あのムスカですか!?あの三分間待ってやる!で有名な!?」


 正田「よく似ていると言われるが、私はそのムスカではない。期待してもらったところを詫びよう。許してくれ給え。」


 月島を除く一同「(やっぱりムスカじゃないか)」


 正田「ところで、なぜ、君達がここにいるのだ。まさか警察署から抜け出してきたのではないだろうな?」


 月島「春田さんの協力の元、連続殺人事件の捜査しているんです。」


 正田「春田さんがそんなことを……なら君たちはここへ何をしに来た?」


 悟「町長さんにお話を聞こうと思ってな」


 正田「ああ、町長か……それはタイミングが悪かったな。町長は今朝、体調を悪くして緊急入院したのだよ」


 悟「それ死ぬ奴では?」


 月島「ムスカさんは何でこんなところに?」


 正田「私も町長に話を伺いに来たのだが、無駄足になってしまったのだよ。さあ、一般人の君達は早く家に帰りたまえ、春田さんには私から言っておこう。出来ることならこのまま警察署まで連れていきたいところだが、私もやることがあるからな」


 いろいろ話していると正田のスマホが鳴る。


 正田「おっと、すまない。もしもし正田です」


 正田が電話に出ると、向こうから女性の大きな声が聞こえてくる。


「もしもし正田さん、さっきの話分かりましたよ!このまま電話で伝えますね!」


 正田「おいちょっと声が大きいぞ沖野!」


 沖野「あ、すみません」


 伊角「この声は!」


 狭間「口悪警察だ!」


 悟「やたら声がでかい警察がいたって聞いたがスマホ越しでこれか…情報抜き取れるんじゃね?みんなー聞き耳を振るんだ!!」


 [伊角

 聞き耳(60)→成功(60)


 晩野

 聞き耳(50)→失敗(73)


 月島

 聞き耳(70)→成功(63)


 悟

 聞き耳(70)→成功(35)


 狭間

 聞き耳(50)→成功(39)]


 正田「それでいったい何が分かったんだ」


 沖野「やはり『御上裕一』は殺し屋を雇って殺害させていたそうです。殺された相手は『宮塚高樹』45歳男性、御上の直属の部下だそうです。殺した後は自分の汚職を死んだ宮塚に押し付けていたみたいです。頭いいっすね!」


 正田「おい!不謹慎なこと言うな!」


 沖野「あ、すみません……だから宮塚の件は、やっぱり連続殺人事件に成りすまして行われていたそうです。そのあと金の流れを調べたんですが、殺し屋に2回払っているようなんですよ。何故でしょうか?」


 正田「もしかしてもう1人殺しているんじゃないか?」


 沖野「あ、確かにそうかもしれないですね」


 正田「あくまで憶測だが、汚職の口封じのために誰か殺している可能性はある。もう一度被害者リストを調べてみてくれ」


 沖野「はい!あ、あと殺し屋の顔も割れたので、ラインで送りますね」


 正田「ああ……」


[伊角

 目星 (60)→成功(31)


 晩野

 目星 (70)→成功(62)


 月島

 目星 (65)→成功(29)


 悟

 目星 (60)→成功(30)


 狭間

 目星 (70)→成功(65)]


 俺たちが覗き見したすぐ後に、正田は気づいて振り返る。


 正田「うおっ!なんだね君達!まだいたのかね。早く帰りたまえ」


 正田は振り返ってそう言うが、正田の目は役場の外に向けられている。どうやら正田は道路を見ているようで、反対側の歩道を凝視している。


 釣られて俺たちは反対側の歩道を見る

 そこには、正田のラインに送られた人物と同じ顔の男が歩いていた。


 正田は無言で足早に男性へと近づいていく。しかし向こうもこちらに気づいたようで、一瞬引きつった顔をした後、唐突に走り出した。


 正田「あ!おい待て貴様!」


 それを見た正田も走って追いかけていく。


 悟「やっべ!みんな、犯人と正田さん追うぞ!!!」






 正田「はぁ、はぁ…おい待て貴様ぁ………!」


 正田は全力で男を追いかけるが、歳のせいか全く追いつく気配はない。


[伊角

 シークレット(?)→(?)


 晩野

 シークレット(?)→(?)


 月島

 シークレット(?)→(?)

 クリチケ→1


 悟

 シークレット(?)→(?)


 狭間

 シークレット(?)→(?)]


 月島「追いつきましたよ!!観念してください!!さもないと拷問しちゃいますよ!」


 「うわぁ!なんだこいつ!」


 男は路地裏まで逃げようとしていたが、月島ちゃんと俺が前に出たことで挟み撃ちに会う。


 「ちくしょう!なんなんだよお前は?!」


 三馬鹿「わーはっはっは!!!」


 伊角「なんだかんだと聞かれたら!」


 狭間「答えてあげるが世の情け!」


 伊角「宇宙の平和を守るため」


 狭間「世界の平和を待るため」


 伊角「愛と真実の悪を貫く!」


 狭間「ラブリーチャーミーな敵役!」


 伊角「伊角!」


 狭間「狭間!」


 悟「中川悟!」


 伊角「我ら中川探偵事務所のみんなには」


 狭間「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ」


 悟「なーんてな!」


 高校生二人「そうです!そうだとも。」


 「くそ!本当に何なんだこいつら!なんで追いかけてきたんだよ!」


 さらにその後から正田がやってくる。


 正田「はぁ、はぁぁぁ……!よし、よくやったぞ君達……!」


 月島「ムスカさん大丈夫ですか!?」


 正田「ムスカじゃない武須賀だ!さぁ、君たちは下がりたまえ、後は私がやっておこう」


 正田は男の腕を掴む。


 正田「お前だな殺し屋は!さぁこっちに来たまえ!」


 「やめろ離せぇ!」


 正田「おい、正直に白状するんだぞ。証拠はすべて揃っているんだ。お前が殺し屋だな?」


 「…………ああ、そうだよ」


 正田「署まで来てもらうぞ」


 悟「ちょっと待ってくれ正田さん」


 正田「何かね?」


 悟「そこの殺し屋と話がしたい。今回の事件に何らかの関りがあるかもしれないし、あんたは俺たちが利いた後にたっぷり署で話してくれると助かるんだが…」


 正田「……短めに済ませたまえよ。おい、もう逃げるな」


 「ああ……もう逃げたりしねぇよ」


 月島「逃げたら拷問ですからね?」


 正田「最近のJKはぶっ飛んだことを話すね」


 男は殆ど諦め切った様子を見せている。よく見ると顔色が悪く、ここ最近は満足に寝られていないようようだ。


 悟「お前は御上裕一の命令で宮塚高樹を殺したのか?」


 「ああ……」


 悟「宮塚高樹以外に誰を殺した?」


 「……え?」


 悟「二回金もらってるんだろ?」


 「そ、それは……」


 男は何故か体を震わしている。何かに怯えているのか?


 「そ、その話はやめてくれ…」


 悟「話してもらわないと、そこのJKに拷問されちまうけどいいのか?こいつは元スパイ組織で働いててな、情報を抜き取るためにありとあらゆる拷問をこなしてきたんだ、早めに吐かないとお前の体持たねえからな??」


 「お、おれだってやりたくなかったんだよ!でもあの御上の野郎に弱みを握られてたんだ!」


 悟「弱み?それはどんな弱みだ?」


 「……借金だよ、御上のやつに」


 悟「で?誰をやったの?」


 「た、頼むからその話だけはやめてくれ!」


 悟「何にそんな怯えているんだ?」


 「………女だ……女がやってくるんだよ…」


 悟「女って誰のことかな??」


 「……………………」


 男はこれ以上答えたくないと言うように言葉を紡んだ。


 月島「悟さん」


 悟「ああ、月島やっちゃってくれ」


 「わ、わかった話そう……」


 悟「で、誰を殺したんだ?」


 「……『御上天白』だよ……『御上天白』の呪いが……きっと、俺を殺そうとしているんだ……そうに違いない…復讐だよ……自分を殺した相手に……」


 悟「御上天白を殺したのはお前か?」

 「あ、ああ……御上の野郎は、自分の汚職が娘にバレちまったんだよ汚職だけならまだいい。だが『宮塚高樹』を殺したこともバレちまったんだ。『御上天白』はそいつの娘と親友だったみたいで、もし自首しないなら全てのことを明るみに出すと『御上裕一』を脅したんだ」


 悟「親子でそんなことを…」


 「まあ、親子の仲は相当悪かったらしいからな」


 悟「御上天白の荷物持って行ったな?」


 「ああ、でも一部は御上の奴に封筒で送ったよ」


 悟「御上邸にあった封筒を見せる」


 「えっ、どうしてあんた達が…」


 悟「ポストに残っていた」


 「え………?いや、そういえば御上の野郎とはあれから連絡が取れなくなってる……」


 悟「御上裕一は今、行方不明だ」


 「う、嘘だろ……?や、やっぱり呪いに…」


 悟「呪われているのか?」


 「そうだよ……俺が殺した『御上天白』は魔女だったんだ……実は俺には相方がいたんだ。『宮塚高樹』も『御上天白』もそいつと2人でやったんだ」


 悟「だから二回分の…」


 「だが、そいつは殺されたんだよ。『御上天白』に……」


 悟「どうやって?」


 「分からない…」


 悟「なぜ?」


 「ほ、本当に分からないんだ!あの女が手を翳した瞬間、いきなり相方の体が燃え始めて……!!まるでガソリンでもぶっ掛けられたみたいに、勢いよく、燃えていきやがった。お、俺も殺されると思ったんだ……」

 

 火を操る魔術かそれも使ってくるとなると、辻斬り男。あいつ結構器用なのか?


 「き、来たっ!あ、あの女だ!あの女が………!俺を殺しに来たんだ!」


 突然男は壁を見つめながらそんなことを口走る。


 「く、来るなっ!!!……来ないでくれ!!!!」


 男は勢いよく逃げ出す。しかし逃げ出した男を正田がタイミングよく取り押さえる。


 正田「くそっ!暴れるな…!おいもういいだろう、こいつはこのまま連行していくぞ」


 そこに正田が呼んだであろうパトカーが到着し、男は中へ押し込まれてそのまま連れていかれる。


 伊角「ああはなりたくないね」


 悟「ごもっともだな」


 月島「後は明野村ですね」


 狭間「でもあそこ土砂崩れとかなんとか」


 晩野「それは行ってみなくてはわからないだろう」

投稿遅れてすまん

これも全て模試が悪いんや

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