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第七十五話 弁護士のにいちゃん

 悟「今の情報をまとめると、春田さんの正体は噂の黒髪女で、辻斬り男とグルである可能性が高い。黒髪女として動いている時は指輪をつけているため、辻斬り男の何らかの魔術によって操られている可能性もある。」


 伊角「そして、辻斬り男の正体は政倉建設のダム建設に恨みを持つ明野村の住人ということだね。」


 晩野「しかし、妙だな。悟さんが持ってきたこの巻物。なぜその橘探偵事務所にあったのだ?」


 月島「悟さんの話では確かその橘さんは政倉建設で働いてる宮塚高樹の娘さんの宮塚晶さんが以前調査の協力を求めてきたらしいですけど、橘さんは連続殺人事件とは別の事件の可能性が高いとも言ってたんですよね?」


 悟「でも、あの場所に巻物があった以上は橘ってやつも今回の事件に何らかのかかわりがあるって訳だ。こんなシナリオのキーアイテムであろう巻物を持ってたってことは相当深いところまで突き止めているってことになる。」


 狭間「でも事務所には焼死体とそれしかなかったんでしょ?」


 悟「まあ、あの時は辻斬り男に追われてたのもあって焼死体の詳しい詳細までは知れべれられなかった。遺体の損傷も激しそうだったし。あれが橘って可能性もなくはないと思うが、とりあえずは明野町役場、御上邸、明野村残っているこいつらを順に探索しようと思うがそれでいいか?それとお前らも【奥義 -写し身返し-】覚えておけよ。」


 伊角「【幽鏡術 -鏡水-】 の方は覚えなくていいのかい?」


 悟「そっちは別にいいかな。辻斬り男とはタイマンでやらせてもらおうと思ってな。」


 晩野「何故そんな危険を犯す?」


 悟「対峙してみてわかったんだ。あの太刀筋と鏡による奇襲攻撃、あれはどう考えてもやばい。それこそ複数人で退治しようものならヘイトがばらけまくって予期せぬ一撃を食らいかねない。だから正面切ってタイマンバトルに持ち込めば比較的に安全に行く。新しいキャラシもそうだが、ライダーシステムもあるんだ。早々に負ける気はしねえよ。」


 狭間「そういう慢心は死亡フラグだよ悟」


 悟「でぇじょうぶだ。COCプレイヤーは死亡フラグを折ってからが一人前だからな?後、覚えなくてもいいっていたが、システム上一緒に覚えちまうかもな…」


 月島「どうやって折るんですかそれ?」


 悟「無論、リアルINTとロールプレイ。そしてダイス運だ。」


 伊角「結局運任せじゃない、それ?」


 悟「とにかく!巻物読んだら御上邸行くぞ!」


[伊角

 母国語(90)成功→(58)

 正気度ロール(76)→成功(9)

 SAN76→75

 クトゥルフ神話(10)→(14)


 晩野

 母国語(90)→スペシャル(11)

 正気度ロール(72)→失敗(88)

 1d3 (1D3)→1

 SAN72→71

 クトゥルフ神話(0)→(4)


 月島

 母国語(65)→成功(20)

 正気度ロール(80)→成功(25)

 SAN80→79

 クトゥルフ神話(0)→(4)


 狭間

 母国語(95)→致命的失敗(ファンブル)(97)

 SAN65→62 (ファンブル効果で最大値減少)

 クトゥルフ神話(0)→(4)]




 御上邸へと辿り着く。その道中でも分かることだが、周りは高級住宅街になっていて、御上邸も大きな塀に囲まれた高級住宅の一つであった。


 悟「すいませーん!!」


 インターホンを押してみるも、中からは物音一つ聞こえてこない。


 月島「居ないんですかね?」


 悟「留守か、鍵開けしちゃうか?」


 晩野「いや、待ちたまえ。」


 晩野が指さした方向を見るとポストの蓋から茶色いものが少し飛び出していることに気付く。そこには、大きめの茶封筒が入りきらずにはみ出していた。中には薄くて硬く、四角いものが入っていることがわかる。そして、封筒には糊付けされた跡があるが封が外れているようだ。


 《目星ロールが実行できます》


[晩野

 目星(70)→失敗(91)


 月島

 目星(65)→失敗(92)


 悟

 目星(60)→決定的成功(クリティカル)(2)

 目星(60)→成功(35)]

 

 《自然に開いたような空き方で誰かが開けたわけではなさそうだ。》


 月島「悟さん!?」


 悟「待って!本格的に今後の致命的失敗(ファンブル)が怖いんだけど!!嫌だよ?重要局面でファンぶって死ぬの!!」


 晩野「確率は収束するものだぞ」


 悟「やめてくれー!それ以上言わないでくれ!!今後のダイスロールが全部怖くなるーーー!!」


 晩野「彼はいつもこうなのかね、月島君?」


 月島「こんなに取り乱してるのは初めて見ましたけどね。悟さん、今までどれだけのクリティカルをたたき出したんでしょうか…?」


 封筒を開けてみると中には四角いプラスチックの板があった。それと一緒に、錆び付いた鍵が封筒の奥に入っていた。


 プラスチックの板はどうやら角が焦げており、真ん中に線が入っていた。真ん中から両側へ開そうだ。

 開けてみれば、中から鏡が出てきた。開けたニ枚の取手と合わせて、三面鏡の形になる折り畳みの手鏡でした。

 

 悟「三面鏡?」


 そしてその中に挟まれていた一枚の写真が零れ落ちる。


 写真には3人の人物が映っているのだが、左端の人物だけ写真が焦げ落ちていて顔がわからない。両側に少女がおり、真ん中に少年が映っている。

 

 悟「まさかこれって!?」


 俺はレティシアから貰った兄の写真と比べる。


 全く同じ写真だ。違いとしては、真ん中の人物である少年を切り取ったくらいか?それに、右側の少女はレティシアの面影がある。幼い頃の写真と言われても納得できるくらいだ。


 月島「どうかしましたか?」


 悟「いやな、今回この明野町に来た理由のもう一つに人探しの依頼を受けててな。その依頼人から貰った写真と瓜二つというか一緒なんだよ。」


 晩野「それがこの事件と関係があるというのかね?」


 悟「大いにその可能性はあると考えた方がいいな。もしや御上とトーマっていうのは言語ごとにある特定の名称が違うやつだったのか?ラーメンとヌードル的な歴史上だとフィリップとフェリペみたいな。とにかく、この事件と何らかの関係性は持ってるってことになってくるな…」


 そう考察をしていると


 「そこにはもう誰も住んでないですよ」


 突如、後ろから声をかけられる。振り向けばスーツを着た若い男性が立っていた。


 月島「そうですかで、あなたは?」


 「ああ、突然後ろから声をかけてしまってすみません。僕は『宮塚隆一』、君たちは例の事件の目撃者だったよね?」


 悟「誰も住んでないって?」


 隆一「ここの家主である『御上裕一』は行方不明だし、娘の天白さんも三ヶ月前には亡くなってるからそこには誰も住んでいないんだよ」


 晩野「証拠でもあるのかね?」


 隆一「ああ、これは知り合いの刑事から聞いたんだ本当はダメなんだけど、ちょっと癖のあるやつだから」


 悟「そもそも論、何でこの事件について知ってる?」


 隆一「実は僕もこの事件を調べていてね。もしかして君たちもかい?」


 悟「まあそうだが。それに宮塚って、あんた宮塚晶さんのご家族じゃ?」


 隆一「ああ……もしかして会った?」


 悟「あまり似てなかったので、最初誰かわかりませんでした。」


 隆一「いや、まぁ…よく言われるんで、はい。それよりあいつの方こそ失礼なことを言っていなかったかい?いつも無愛想だから」


 悟「嫌全く。最初こそはそうだったかもだが…」


 隆一「あ、そうだ。妹と話したって言ってたね。御上天白さんの話を聞かなかったかい?」


 悟「ああ、依頼受けたな。」


 隆一「やっぱりそうか、僕も彼女の死について調査しているんだよ。……そうだ、よかったら天白さんの姿を見る?妹からスマホで写真送ってもらったから」


 見せてもらった写真に映っているのは宮塚晶と御上天白だった。


 御上天白の姿はどこを見てもトーマ=レティシアと同じであった。やっぱ同一人物だったか…


 隆一「右に写っているのが『御上天白』さん。ちょっと妹が映っているのいるのしかなくて申し訳ないんだけど」


 悟「その女性見たことあるぜ」


 隆一「ん?君は彼女を見たのか?」


 悟「何なら会って依頼されたな。そん時はレティシアって名乗ってたけどな。」


 隆一「レティシアさんに?……ああ、そういうことか。レティシアさんは天白さんの双子の妹なんだよ。同じ母元で生まれたんだけど、両親が離婚したときその母親とレティシアさんだけフランスに残って、父親の『御上裕一』と天白さんは日本に戻ったということらしいね」


 悟「あれ?そうなのか??」


 隆一「僕もレティシアさんに会ったことはないんだけど双子だってことなら似ていてもおかしくないんじゃないかな?依頼って何を依頼されたかお話しできますか?」


 悟「別に構わんぜ。確か、兄を探してくれって言ってたな」


 隆一「レティシアさんにお兄さんがいるのかい?」


 悟「あんた知らなかったのか?」

 

 隆一「うーん、これはもう一度『御上裕一』について調べる必要があるなこれは」


 月島「隆一さんってお仕事何されてるんですか?調べてるってことは探偵さんですか?」


 隆一「あ、こう見えて一応弁護士をやっているんだ」


 悟「レノアについて知ってることがあれば情報交換したいんだが、何かあるか?」


 隆一「…ここだけの話、『御上天白』とうちの親父は同じ人物に殺された可能性があるんだ」


 悟「そりゃまた何で?」


 隆一「ええっと、その理由は口止めされちゃってて…」


 これは説得振るしかないか。


 悟「いいだろ別に、欲しければ兄の写真とか渡すが」


 [悟

 説得 (65)→成功(21)]


 隆一「…分かった。でもこの話は警察から止められているから、他の人には絶対話さないでくれ」


 悟「交渉成立だな」

 

 隆一「3ヶ月前に御上天白さんが殺されたというのはさっき言ったけど。その『御上天白』さんの遺体を発見したのは実は僕なんだ」


 悟「そん時の状況は?」


 隆一「………天白さんを発見したのは、僕が仕事から帰る夜中のことだ。外は雨が降っていて、急いで帰宅しようと傘を刺しながら走っていたんだ。すると、何か焦げついた匂いがあたりを漂っていて近くで火事が起きたと思ったから、その辺をウロウロ歩いていたんだよ」


 悟「ん?」


 隆一「すると目の前から、レインコートを着た人物が走ってきたんだ。手提げ鞄を持って何か蚊から逃げるように走っていたから、ボクは何かあったのかと聞いたんだけど、その人は振り返ることなく走り抜けていった」


 隆一「ふと、地面を見ると、その人が走った後に血の跡が続いていたんだ。嫌な予感がして、血の跡を辿りながらさっきの人が逃げてきた方向へ行ってみたんだよ。その血痕の先には古い公園があったんだ。天白さんはそこに倒れていたよ。背中を大きな刃物で切られたらしくて、それが致命傷になったみたいだ」


 背中からね。


 隆一「何故、これの犯行を同じ人物だと思うのか。それはうちの親父と殺されたときと状況が似ていたからだよ。親父はスマホなどの貴重品を持っていなかったらしいけど、天白さんも持っていなかった。彼女の服はポケットがついてるものじゃないし、カバンも落ちていなかったしね」


 悟「じゃあ鞄は誰が?」


 隆一「おそらく、あの男が持っていた鞄が天白さんのだったんだと思う。あとは二人とも殺された日は雨が降っていたみたいなんだ。雨が降っている方が人も少なくなるし、多少の音も聞こえづらくなるからね」


 悟「心臓は残ってたか?」

 

 隆一「心臓は残っていたよ。これも含めて、親父が殺されたときと同じ状況だったわけだね」


 晩野「結構喋るのだな」


 隆一「え、うん、まぁね?……もちろん不本意だよ?」


 悟「情報提供ありがとう。約束の写真だ。」


 そう言って()()の写真を見せる


 隆一「これは…?」


 悟「右が15年前のレノアさんで、真ん中が俺が探してるレノアの兄だな」


 隆一「なるほど…左側は焼け焦げていて見えないな」


 悟「その左の女性がレティシアさんって訳だ。」


 隆一「そうかレティシアさんか……あ、焦げで思い出したけど。」


 月島「どうかしました?」


 隆一「これも警察から聞いたんだけど、天白さんの遺体があった近くに、真っ黒に焦げた死体が落ちていたみたいなんだ。僕のときは夜中で雨が降っていたから見つけれなかったんだけど、何か心当たりないかい?」


 悟「は?もしかして橘探偵事務所にあったあれか?」


 隆一「なんだって…?!そのことは警察に伝えたのかい?」


 悟「伝えようかと思ってたが、生憎、担当に警察と連絡が取れなくてな。遺体はそのままだ。」


 隆一「そうか、この件は僕から警察に話しておこう…あ、一応僕の連絡先を渡しておくよ。何かあったときはここに連絡して欲しい。それじゃあ僕はこれで失礼するよ。君たちも頑張ってね」


 そう言って隆一はその場を立ち去っていく。


 晩野「どうする?家の中は?」


 悟「調べるのもありだが、個人的にやりたいことがあるからスルーでいいかな。」


 月島「やりたいこと?なんですかそれ?」


 悟「ひ み つ☆」

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