第七十三話 鏡にご注意
伊角達からの連絡がまだなので、せっかくだから橘という探偵の事務所前までやってきた。外観は普通の建物だ。特段目立った点も見当たらない。建物の中に入る前には聞き耳を立てるのが基本だ。
[悟
聞き耳(60)→成功(23)]
悟「中からは物音は聞こえないか」
扉に手をかけると鍵はかかっていなかったようで簡単に開いた。
悟「失礼しまーす」
返事はない。とりあえず中へ入れば、意外にも整理されており、つい最近まで誰かが使っていたようにも見える。玄関先には靴が一足だけ置かれている。
部屋の中に入ってすぐに見えたのは机の上にある木製の木箱だった。これといった装飾がないシンプルな箱で鍵穴があるようで開けようとすると鍵が掛かっている。持ち運べるサイズだが、脇に挟むことになるだろう。
悟「こういう箱は開けてみるに限るよな!」
[悟
鍵開け(40)→成功(33)]
箱の中には、二つの古ぼけた巻物が入っていた。巻き物を開くと、そこには達筆な文字と難しい古文がずらっと並んでいる。こういう場合は日本語か
[悟
母国語(75)→成功(29)
正気度ロール(87)→成功(69)
SAN87→86
クトゥルフ神話技能(5)→(9)]
悟「んなっ、こいつは!?」
【幽鏡術 -鏡水-】に【奥義 -写し身返し-】?オリジナルの魔術の類か!?えーっと何々?
【幽鏡術 -鏡水-】の魔術
鏡水とは自らが写り世の世界へと浸入するための魔術である。写り世とは鏡の世界、この世とは別に存在している反転世界のこと。
鏡や水などの写り物は全てが扉となり、この世と写り世を行き来できる。写り物に写る物体には全て干渉することができるが、 それは写っている間 だけであり、なおかつ通れる大きさの写り物が必要である。
魔術の発動には儀式が必要。姿見を二つ、水を入れたお椀、手鏡を用意 する。水の入ったお椀を部屋の真ん中に置く。そして三つの姿見を、お椀から半径3メートルの距離に囲うようにならべ、全ての姿見が別の姿見と 真ん中のお椀を写すように置く。そして水の中に手鏡を沈める。
お椀の前に立ち、呪いを読む。このとき呪いは口に出さず、心の中で読むこと。
「写りよ、写り世。翡翠のごとき我が身へ。鏡水巡るは花と月。断ち切りし世は、血の一滴なり」
水の中に自身の血を入れることで、 手鏡が光る。光る手鏡を持って姿見 の一つに触れれば、肉体は写り世へと移る。
手鏡はこの世と写り世を行き来するために必要なものであり、手鏡が割れてしまえば鏡水の魔術は切れ、肉体は儀式の場所まで戻される。
元来は妖に人が対抗するため使用されていた儀式の一つ。 写し世からの攻撃は、あらゆる妖を寄せ付けなかった。人と妖の争いが無くなれば、自然と人々の記憶からこの儀式は忘れ去られるだろう。それが本来、正しい成り行きでもある。
しかしそうなれば、悪しき魔の物の手に渡ることも時間の問題かもしれない。
使用には1d4のMPと1d3のSANを減少。
写し世に居られる時間は自身のPOW=ラウンド数である。
これを使用すれば鏡の中に出入りできるようになり、 鏡越しの攻撃も可能となる。
【奥義 -写し身返し-】
【幽鏡術 -鏡水-】 の魔術が悪しき者の手に渡ったとき、それに対抗できる手段をここに書き留める。
【奥義 -写し身返し-】とは、魔の物の攻撃が写し世から飛び出す瞬間に、自身の持ってる手鏡をかかげ、合わせ鏡の状態にすることである。 本来攻撃する相手が自分となって、その攻撃を跳ね返すことになる。
しかし時は一瞬であり、攻撃を避ける代わりに行わないといかず、失敗する危険は免れない。
相手の攻撃を回避する代わりに、【奥義 写し身返し-】 を行えるようになった。
なるほどな、からくりが分かったぜ。今回の敵、辻斬り男は神話生物の類じゃない。恐らくはこの術を悪用し、主に政倉建設のダム建設に関わった連中が襲われてるって訳か。でもなぜダムの建設に関わった連中が多く襲われているんだ?
そう思考を巡らせていると鼻に入る臭いに違和感を覚える。
[悟
聞き耳(60)→成功(34)]
異臭?それもトイレの方から。嫌な予感しかないが確かめてみるしかない。
トイレの前に立ち、匂いをかげば異臭が焦げ臭いものであると気づく。ドアを開け中を見る。すると真っ黒に焦げた遺体が壁に寄りかかり座っていた。SANチェック1/1d3
[悟
正気度ロール(86)→成功(72)
SAN86→85]
目星でもしない限りは情報はでなさそうだな。というより、この人が橘さんか?
[悟
目星(73)→成功(26)]
死体の側に焼け焦げた巻き物の一部が見つかる。完全に焼け焦げているため何が書かれていたのかはわからない。この巻物はさっきのと同じやつか?とりあえず春田さんに連絡を!
しかし、電話を掛けるものの、コールが続くばかりで繋がらない。
どいつもこいつも電話に出ねぇな!!
調べれることもそれ以上なかったので外を出ようとした時、不意に窓の外に何かが通る。ほんの一瞬だけ、暗い何かが通るのを目撃する。
[悟
目星(73)→成功(42)]
まさか、辻斬り男!?背後に回られているかもしれねぇ!聞き耳だ!
[悟
聞き耳(60)→成功(27)]
成功と共に背後から刀で空を切る音が聞こえる。
悟「やっぱ来やがったか!辻斬り男!!」
[悟
回避(70)→決定的成功(2)
回避(70)→失敗(73)
成長1d10→9
回避(70)→(79)]
クリティカルの効果か、軽々とその斬撃を避けると、背後に立つその存在を目撃する。そこには全身が黒く焼け焦げ、黒い甲冑を纏う武者が立っていた。その武者は異様に大きく、身長は2m以上はある。皮膚は焼け爛れ、内側の骨が見えてしまうほどであった。
そして本来そこには目があるはずの場所には、見れば吸い込まれるような空洞があった。SANチェック 1d3/1d6
[悟
正気度ロール(85)→成功(57)
1d3→2
SAN85→83]
追撃が来るのかと思っていたが、今はジッとしていて動く様子がない。俺の動きを見ているようにも感じる。しかし、現状不味い事態なのは間違いはないが、今のクリティカルで成長できた。それにこの状態ならカウンターと通常攻撃の二回判定ができる。音器の変形も含めてここで深手を負わせる!!
悟「早速会ってが悪いが、ここで仕留めさせてもらうぜ?辻斬り男!!」
カウンターのターンを音器の変形で消費し、続けて拳銃を三発辻斬り男に向けて発砲する。
[悟
拳銃(70)→成功(38,48,66)
3d9→8]
銃撃音が響き渡る。しかし手応えがあるものの、辻斬り男は全く動じていない様子、鏡の外からの攻撃はシャットアウトされてんのか!?
そして瞬きをした瞬間、すでに男は窓の外に立っていた。男が窓をすり抜けたよう動いていたことを目にする。そして俺の目の前で辻斬り男は姿を消してしまう。
クソ!ここから外に出ようにも回避方向が悪すぎた。近くの扉から外に出ようにも後二回くらいは攻撃が飛んでくる。ここで変身して迎え撃つか?いや、ここで変身して戦闘に持ち込んだとしても四方の扉となる写り物のせいで奇襲による奇襲でデッドエンド、ゲームオーバーだ。
対抗策に塗り絵そうなこの【奥義 -写し身返し-】ってやつも手元に鏡がない以上発動はできない。
短い時間だったが探偵キャラシから聞き耳の高い通常キャラシに変更して、ここを走り抜け外に出る!!!
《キャラシ変更を確認しました。継続キャラシに該当するため、衣服を職業に適した見た目へと変更させます。》
[悟
聞き耳(70-50)→成功(15)]
また背後から刀で空を切る音が聞こえる。
悟「よし成功!回避も決めてやるぜ!」
[悟
回避(74)→成功(68)]
その音に反応に瞬時に避けた俺は攻撃を交わすことができた。
俺はすぐさま振り向くが辻斬り男はまた別の窓へと移り、姿を隠している。また攻撃されるまで少しの猶予がある。今なら外に行ける!!
急いで外に向かい、出ることができた。どうやら追ってきてはいないようだ。そのまま無事に安全な場所へと逃げることができるだろう。急いで連絡を入れなくちゃな。




