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第七十二話 ミニミニ探偵お二人さん

 美容院に入ると、女性の軽快な挨拶が聞こえる。


 美容院では、1人の女性店員が働いており、他に客はいないようだ。おそらく彼女が武蔵綾乃(たけくらあやの)だろう。

 

 武蔵「今日はどういたしましょうか?」


 そう女性店員が声をかけてくる。


 月島「事件について聞きに来たんですけど、晩野さんどうしましょう?」


 晩野「まずは客として入るのが礼儀であろうな。」


 月島「そういうものなんでしょうか…?じゃあ、散髪お願いします!」


 武蔵「かしこまりましたー。3番のお席へどうぞー。そちらはの方はどうされますか?」


 晩野「私は大丈夫だ。」


 月島くんが席へ座ると「今日はどのように切りましょうか?」と聞いている。私は近くの椅子へと座り、二人の会話に耳を傾ける。


 月島「最近変な噂流れてません?えーと、辻斬り男の方じゃなくて…」


 武蔵「あぁーあれですよね?殺人現場に現れるって言う女の噂」


 月島「そうそれです!その黒髪の女性ってこういう公の場とかに来たりするのでしょうか?」


 武蔵「流石にお店にはきたことないんですけど…実は私、多分それらしい人に会ったことあるんですよ」


 月島「え!?そうなんですか!?ど、どこで見たんですか??」


 武蔵「この近くの明野港で見たんですよ。仕事に遅れそうになってたから急いでたんですけど、曲がり角で偶然ぶつかっちゃって。顔はサングラスとマスクでわからなかったんですけど…なんか、珍しい指輪つけてましたね。


 月島「指輪ですか?」


 武蔵「なんか、一瞬だったんですけど。すっごい地味な指輪でした。光ってないし、茶色だし」


 月島「茶色ってことは木製なんですかね?」


 武蔵「言われてみればそうかも?」


 武蔵は自信なさげにそう答える。


 武蔵「あと、その日の帰りに、港の船着き場でも見ましたね。もう深夜近くだったと思うけど。なんか、船に乗ってどっか行っちゃって。一応警察には通報しましたけどね」


 月島「その船ってどこに行ったんですか?」


 武蔵「ああ、多分方向的に明野小島に行ったんじゃないかと思ってますね」


 月島「明野小島、聞いたことありません…」


 武蔵「私も詳しくは知りませんが、今はただの無人島らしいです。港の人間もあそこには全然近づかないですね。島の周りは海流が荒れているそうで、何度かひっくり返りそうになってる漁船もありましたから。まあ詳しいことは漁船の船長に聞くといいです。いつも船着き場にいるので。あっ、散髪終わりましたよー」


 月島「いい感じですありがとうございます!」


 なるほど、ここで船着き場、明野小島の新たな探索個所の開示か。


 晩野「(月島くん、彼女は私たちが救えなかった武蔵瑞希の娘さんだ。亡くなった母の情報について知っていることがあるかもしれない。探りを入れてくれ)」


 月島「(無茶ですっで!ただでさえ親族が亡くなったっていうのにその話を詮索するなんて)」


 晩野「(おそらく、彼女もこちら側が何らかの探りを入れているということは既にばれているだろう。彼女からも疑いの眼差しが来た場合はこちらの事情を説明し、理解をしてもらう必要がある。彼女の持つ情報次第でこの非日常の筋書きをあぶり出すことができるかもしれないからね。)」


 月島「(お話に困ったらそっちに視線送りますからね)」


 晩野「(無論、そちらが困るタイミングはわかりきっている。その時になれば、私も動こう。)」


 月島「この美容院って一人で経営してるんですか?」


 武蔵「何人かいますけど今日は1人ですね。あまり人も来ないところなので」


 月島「じゃあ、今一人で働いてるあなたが店長さんなんですか?」


 武蔵「はい、昔、店長は母がやっていました。」


 月島「家族経営ですか?」


 武蔵「えっと、そうではないんですが…母は昨日亡くなりまして」


 月島「昔ってことは、亡くなる前は何のお仕事をしていらしたんですか?」


 武蔵「母は町長の秘書をやってました」


 月島「母親とはここ最近会ったんですか?」


 武蔵「……もう、母とは何年か会ってないですね。あんまり仲がなくなくて、町長からは褒められてたみたいですけど、家族に対してはそう言う感じでもなかったんで」


 月島「仕事熱心な方だったんですね…」


 武蔵「実は私…3年前に勘当されちゃったんです」


 月島「何かあったんですか?」


 《心理学ロールが実行できます。》


[晩野

 心理学(5)→決定的成功(クリティカル)(1)

 心理学(5)→失敗(33)

 成長2d10→11

 心理学(5)→(16)]


 〈綾乃の態度が変化していることに気が付きます。どうやら赤の他人の貴方達に不信感を抱いているようだ。〉

 

 やはり気付いていたか。


 武蔵「もしかして皆さんは警察の方ですか?」


 月島「それは…」


 武蔵「えっと…では、マスコミか何かですかね?」


 晩野「私たちは、春田飛嘉野という警察医から明野町連続殺人の調査の協力を依頼されている中川探偵事務所のメンバーだ。」


[晩野

 信用(60)→成功(52)]


 晩野「私たちは君の母、武蔵瑞希を目の前で亡くしてしまった。救えなかった。突然のことだった。非礼ならいくらでも受けよう。しかし、このままでは君のような身内に不幸が訪れる人間が増えてしまう。だから、私たちに情報提供という形で協力してほしい。」


 武蔵「そうでしたか…確かあの事件の目撃者も3日以内に死亡しているんでしたね。それで、母のことなどを聞いてきたんですね」


 月島「それに関してはすいませんでした。こちらとしても心苦しかったですし。何より辛い記憶をえぐる様なことをしてしまい…」


 武蔵「私でよければ是非協力させてください。でも残念ですが、私も勘当されてから母のことは何も知りませんでした。殺されたって聞いた時は驚きましたけど…私から母について話せるのは、母は町長や町の人からは、仕事ができる真面目な人として頼りにされていたみたいです。だから町長からはよく重要な仕事を任されてましたね」


 晩野「重要な仕事?それは?」


 武蔵「ダム建設ですよ。知りませんか?」


 月島「私たち高校の部活でここに来た時に巻き込まれちゃって。ここのことについては何も知らなくて…」


 武蔵「皆さん学生さんだったの!?しかも高校生!?なんかやけに大人っぽくない?えーと、話がそれちゃったわね、なんか、明野町の山奥にダムを作ろうって話なんです。前にもそのような話があったみたいなんですが、その再開の手伝いを任されていたんです。建設会社との調整とか色々」


 晩野「政倉建設株式会社には、伊角さんたちが向かっていたはず…」


 武蔵「まあ詳しい話は分かりませんが。もし詳しく知りたいのなら、明野町役場に行くといいと思います。運が良ければ町長に会えるかもしれませんね。」


 月島「これからもワンオペだと危なくないですか?もう一人くらい雇った方がいいんじゃないでしょうか?」


 武蔵「そうですよね。今度バイトでも雇ってみようと思うんです。やっぱり人手不足なので」


 晩野、月島「ご協力ありがとうございました!」


 武蔵「そうですか!ならよかったです。事件解決に向けて頑張ってください、小さい探偵さんたち」

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