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第四十八話 探索者はキャラシを作りたい。

 ニャル子から渡されたAF(アーティファクト):キャラシメーカーには現在、俺と伊角のPCデータが保存されている。

 最初にノートを開いた時は、俺のキャラシのみというか、1ページしか捲ることができなかったが今は俺と伊角の合わせて、計6ページ捲ることができ、空きページが4つほどある。


 悟「そろそろ新しいキャラシ作りたいなぁ。」


 テレビを流して、リビングのソファーに寝転がりながら、スマホに登録したキャラシメーカーを見ていると廊下から歩いて来る足音が聞こえてくる。

 月島ちゃんがポテチを食べながらリビングにやって来た。


 月島「珍しいですねこんな所で考え事ですか、悟さん?」


 悟「考え事って言うか、新しくキャラシを作ろうと思ってな。」


 月島「キャラシ……?」


 悟「そういえば、話した事なかったな。キャラクターシート、略してキャラシ。俺はニャルからコイツを渡されて探索者になったんだ。」


 俺はそう言ってスマホの画面を見せる。


 悟「で、前までは空き何てなかったんだが、シナリオをクリアする事にページが増えてな。だからここら辺に気分転換で新しくキャラシを作ろうと。」


 月島「どんなのかよくわからないですけど、気分転換はいいことだと思います!」


 悟「でだ、このキャラシメーカーを使えば俺はどんな職業にでもなれるんだけど、なれる職業が多くてちょっと困ってるんだ。」


 月島「とても便利なんですね!どんな職業にするか候補はあるんですか?」


 悟「うーん、候補かぁー」


 COCの職業は基本的に無限に存在するというか、基本ルールブックに載っていなくても己が手で作り出すことができる。

 警察官、医者、探偵、宗教家など以外にも犯罪者や狂信者に人外、モリ突き漁師にだってなれる。

 

 いつもの俺なら人外PCを作ってキチゲ解放をするところだが、ここはネットじゃない。紛れの無い現実。もし仮に人外PCでも作ってノートを無くしたら……凝ったキャラ設定が俺の意識を乗っ取ったらと考えると結構怖いな……


 そんな事を考えながらスマホを見ていると見慣れない表示がされている事に気づいた。

 

 悟「『継続キャラシ作成…?』」


 それを発見したと同時にスマホに着信が入る。


 悟「誰からだ……ってゲッ!?」


 月島「誰からだったんですか?」


 悟「ニャルからだ……」


 俺は嫌々ニャルからの電話に出る。


 ニャル(今、こう思いましたよね。)


 悟(は?)


 ニャル(「継続キャラシ作成って何だよ!?フィクションはCoCだけにしとけよ!」って……)


 悟(ネタ古くない?というか、キッショ、なんで思ったことわかるんだよ。)


 ニャル(そりゃ私のベイビーですので。悟のあっつぅ〜いのが僕の中にたぁ〜ぷり注がれてぇ……)


 悟(言い回しがエロ同人とかのそれだから止めろ!!……月島ちゃんに悪影響だから。)


 ニャル(おっと、そりゃ失礼。月島ちゃんにはいい子に育って欲しいですからねー。僕としては月島ちゃんが悪い子に育っちゃっての3Pも一向にかまわんッッ!!)


 悟(おい、沸点が高いだけで下ネタに肝要な俺でも、ここまで話をそらされたらキレるぞ。)

 

 ニャル(じゃ悪ふざけは置いといて、本題に入りましょうか。継続キャラシ作成とは、君のステータスや成長をそのままに新たな職業として転職する。そうだね、わかりやすく例えると。ドOクエの転職みたいな。)


 悟(なるほど、わかりやすい。と言うか強くないか?)


 ニャル(いいんですよ。これは僕からの細やかなプレゼント、エコ贔屓ですから。)


 悟(はいはい、では邪神の恩恵をありがたくお頂戴いたしますよ。)


 ニャル(寵愛も受けてもらってもいいんですよ…?)


 悟「断る!!」


 俺は通話を切ってスマホをしまって月島ちゃんの方を見るとむくーっとした不貞腐れた顔をしていた。しかも目からハイライトが消えている。


 月島「仲良いんですね……」


 悟「仲良いって訳じゃないんだが……」


 やばい!なんか凄く気まずい雰囲気が流れてる!!月島ちゃんの地雷か何か踏んじゃいけないものでも踏んじゃったか!?

 何か機嫌を取る…もしくは、何か話される材料は……


 悟「そういえば、伊角の件での頼み事をまだ聞いてなかったな。今はもう決まったか?」


 それを聞いた月島ちゃんは目を輝かせたと思うと、頬を赤らめてモジモジしながら携帯の画面を見せてくる。


 悟「新オープン…テーマパーク……ンガイの森!?」


 こくり…と月島ちゃんは首を頷かせる。


 悟「ここに行くためのお小遣いが欲しいのか?」


 月島ちゃんは首を横にブンブンと振って否定して、何かを決心したかのように言う。


 月島「行きたいんです……一緒に………悟さんと一緒に行きたいんです!!」


 照れながらも、精一杯自分の気持ちを伝えたであろう月島ちゃんの言葉に俺は思わずズキュゥゥゥンと何かがはち切れる音がした。


 そこからの行動は早かった。互いに照れ隠しのために自分の部屋へと無言で猛ダッシュしたのだった。

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