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第6章:おとずれる変化、揺れる心(5)

「ハイおつかれー、かんぱーい!」

 紅葉の合図で、水の入ったグラスが打ち合わされて、澄んだ音を立てる。

 変身を解いた千春たちと克己の四人は、国道沿いのファミレスで、打ち上げをすることになった。出撃後に皆に時間があれば、ここに寄るのが、最近の暗黙の了解になっている。今日でまだ三度目だが。

「あ、真夏のソーダパフェが始まってるんだ」

「え、どれどれ」

 メニューを眺める奈津里がはずんだ声で指さすのを、紅葉が身を乗り出してのぞき込む。

「へえー、おいしそうじゃない。あたし、それにしようかな」

「紅葉ちゃんがそうするなら、わたしもこれ」

 たちまち紅葉が眉根を寄せる。

「別に無理にあたしに合わせなくていいのよ。好きなもん頼みなさいよ」

「無理にじゃないよ?」

 奈津里はきょとんとして、それから、やけに幸せそうにはにかむ。

「紅葉ちゃんと同じものが好きで、良かったなー、とは思ってるけど」

 それを聞いた紅葉が目をみはり、「そ、そう」と決まり悪そうに奈津里から千春へと視線をそらす。

「あ、あんたたちも早く決めなさいよ」

 言外の圧力を感じて、千春はメニューに手をのばそうとしたが、「いや」と腕組みしたままの克己が少女に答えた。

「オレたちはもう決まってる。いつものでいいんだろ?」

 前半は紅葉に、後半は千春に向けられたものだ。

 克己は確実に、千春の好みを心得ている。それが嬉しくて、何度もこくこくうなずく。

「あっそ。さすが幼なじみ」

 紅葉が多少のとげを含んだ台詞を発して、ベルを鳴らし、店員を呼んだ。

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