表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/77

第5章:お前もアミクスにならないか?(3)

「會場の先祖にはフリーマンがいた。それは間違いない」

 室淵が確信をこめて奈津里を見つめる。

「ほほう、先祖返りじゃな。今、奈津里を見ていても、膨大な量の魔力を持っているのがわかるぞ!」

 タマも興奮して机の上に身を乗り出し、はっはと舌を出す。

「なるほどね」

 紅葉が腕組みして前を向いたままの状態で、得心がいったようにうなずく。

「体が弱かったのは、身に余る魔力を制御する方法を知らなかったから、バランスを崩していたってわけか」

「でも、この一ヶ月、室淵先生に制御の仕方を教えてもらって、自分の魔力がわかるようになったの。もう体調を崩したりしないし、みんなと一緒に戦えるよ!」

 奈津里は顔の前でこぶしを作って、はしゃいだ声をあげる。

「わたし、フリーマンの血を引いていて、本当に良かった!」

 心底嬉しそうな奈津里の表情を見て、千春も胸が温まる思いがする。それに、ともに戦う仲間が増えるのは、心強いことだ。

 しかし。

「……フリーマンの血を引いてて、良かった?」

 紅葉がくちびるを歪めて、首でもめそうな憎悪に満ちた、低い声を放った。

「あんた、本当にそう思ってるなら、よっぽどおめでたいわよ」

 赤みを帯びたするどい視線が、奈津里を突き刺す。紅葉は椅子を蹴るように立ち上がると、大またにパソコン室を横切る。そして、ばん! どん! と、ものすごく大きな音で扉を開閉して出ていった。

「えっ、紅葉ちゃん……?」

 一体なにが起きたのかわからない、といった様子で奈津里が戸惑う。千春も、なぜ突然紅葉が機嫌を損ねたのか、わからない。

「ッカー!」

 いきなり『かに座のカルキノス』ではない、室淵の調子に戻って、担任はがりがり頭をかく。

「すまん、俺が言ってなかったのが悪かったわー」

 そうして語られた話に、千春も奈津里も、がく然と目をみはってしまうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ