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10話 街歩き

買取り所を出て街を適当にぶらぶらする。


冒険者ギルドがある通りには、冒険者を対象とした店が並んでいる。武器と防具が売っている店や、道具屋も軒を連ねている。


とりあえず目についた武器兼防具屋に入る。俺には魔法があるので、武器は要らないが、剥ぎ取り用のナイフが欲しい。今使っている物は刃がボロボロで、研ぎ直しするより買い換えた方が良さそうだ。


ナイフが置いてあるコーナーで、前のナイフと似たものを選ぶ。店主にこれが欲しいと告げ砥石も購入する。



防具に関しては、魔物の攻撃はいつも魔法障壁で防いでいる為要らないとも思ったが、不意打ちに合う可能性もあるし、森では鋭い棘を持つ植物もいる為、肌を守る防具は必要だ。ちなみに今までは、険しい森を歩く時は、魔法で防護していた。同時に発動出来る魔法が限られている為、防具を身につければ、多少余裕が増えるのではないだろうか。


魔法使いの防具と言えばローブである。探し回るがこの店には無いようだ。他の店も覗くが、置いて居ない。

店主に聞いてみると、魔法使いの装備は、魔法使い自体少ないため、買うものがほとんど居ない。何処の店にもほとんど置いていないそうだ。


それ以前に子供サイズが無いのだとか、、、どうしても欲しいならオーダーメイドだが、安くても大銀貨が必要らしい。


冒険者の装備にはほとんどが金属か魔物などの素材が使われている。命の危険がある冒険者は稼ぎもいいが、生存率をあげる為の出費も相当だということだ。


低ランクの初級魔法使い冒険者は、まず普通の素材で作られたローブを使うそうだ。服屋で買えるらしい。


とりあえず魔法使いのローブは金が入ってからだな。




また適当に屋台などが出ている通りに出た。食欲をそそる香りが漂っている。さっそく買おうと思ったが、転成後初めての料理だ。サバイバルや村での飯は料理とは言わない。ちゃんとしたお店に入り、しっかりと手の込んだ料理食べようと思う。


目についた外観が小綺麗な店に入る。


「いらっしゃいませ何名様で、、、」



店に入ると店員が言葉を詰まらせ、嫌そうな顔をする。


はっとして理由に気がつく。この店は、ちょっと高級志向なのだろう。そこにボロボロの服を着た子どもが入ってこれば、物乞いと思われても仕方ない。回れ右して店を出る。俺にも落ち度があるが、こんな店二度と来ないと誓う。



まず服を調達するべきだな。屋台街に戻り、鉄貨5枚の旨そうな串焼きを2本買ってから、屋台のおっさんに話しかける。


「服屋はどこにあるか教えてくれないか?そろそろ新しい服が欲しいんだが。」


「確かにその服はもう服とは呼べんな!!がはっはっはっ!!服屋の通りは、そこの道を真っ直ぐ行って2本目の通りを左だ!!それと串焼き一本おまけだ!強く生きるんだぞ坊主!」


口は悪いし、同情されたが気のいいおっさんである。礼を言って服屋へ向かう。



串焼きを食べながら歩き、服屋の通りに出る。街の中心へ向かうに連れて服屋も貴族御用達的な高級店になっていくようだ。


庶民レベルの店で、少し高い物もありそうな感じの店に入る。店に入ると店員は、嫌な顔ひとつせず話しかけてくる。


「いらっしゃいませ。どのような品をお買い求めでしょうか?」


うむ、いい笑顔だ。合格をやろう。



「破れにくい丈夫な服を3着、下着を5着くれ。あと丈夫なローブがあればそれもくれ。色は暗めの地味なもので、あとは任せる。」


魔物の素材が使われたローブでは無いだろうが、当座の物として買っておこう。


「はい、すぐにご用意いたします。」



そう言って店員は、店の中をパタパタと走り回る。



「こちらでどうでしょう。服は生地が二重で分厚くなっており、かなり丈夫です。3着と下着5着で、大銅貨5枚と銅貨8枚になります。ローブですが。サイズの合うものが一点しかなく、、、こちらなのですが。」


そう言って見せてきたローブは、すこし明るめの緑だが生地はツヤツヤで水を完全に弾いてくれそうだ。色は要望の暗めと違うが、丈夫そうで、もの自体はなかなか良い品のようだ。



「こちらは、とある豪商のご子息が魔法使いの才能があるのだとかで、ご注文にてオーダーメイドで作ったのですが、注文した物と色が少し違ったようでして、返品された品です。ビッグフロッグという低級ですが魔物の素材を使った品です。当店でも、持て余している品でして、本来なら銀貨5枚のところ、生地の仕入れ値と同じ銀貨2枚でご提供させていただきます。」



確かに子ども用の高級ローブを買うような金持ちは、もっと高級な店へ行くだろう。なかなか売れなくて困っているのは納得だ。


銀貨2枚という値段も素材の値段で加工した技術料は含まれて居ないということか。かなりお得である。


「全て買おう。銀貨2枚と大銅貨6枚だ。」


「ありがとうございます。お釣りの銅貨2枚です。」


試着室を借り着替える。これで見た目は完全に見習い魔法使いだ。着ない服はボックスへしまう。


店を出てさっそく飯屋を探すが、所持金がほとんど尽きてしまった。これでは、高めのレストランは無理だろう。


仕方なく大衆食堂のような雑多な店に入り、オススメを注文。


普通にうまかった。銅貨5枚で、かなりの量の肉料理とフランスパンのようなパンが出てきた。村では黒パンしかなかったため、よりうまく感じた。店主の娘なのか、同い年くらいの小動物のような女の子がパタパタと給仕をしてくれるのも高得点だ。いつか嫁にもらおう。名前はカリンちゃんと言うらしい。厨房に居るおばさんがそう呼んでいた。



時間は正午をかなり過ぎて居る。さっき5の鐘がなった。


街では時間を知らせる為に鐘がなる。朝日の出と共に鳴る鐘が1の鐘で、2時間おきに鳴らされ8の鐘まである。


時間帯的に客も俺ともう1人しか居ない。暇なのか、カリンちゃんがパタパタやって来て話しかけてきた。


「君いくつ?あたし8才。カリンより少し年下に見えるね?」


少しお姉さんぶっているカリンちゃんも可愛らしい。


「7才だよ。もうすぐ8才になるから、ほとんど同い年だね。」


「で、でも、カリンの方がちょっとお姉さんだもん!」


ぷっくーと膨れる。かわゆい。


「君は何処の子?名前は!?初めて見かけたよ?」


「俺はノルン。今日初めてこの街にきたんだよ。冒険者になる為に。」


「えーー、すごいっ。冒険者って危険なんでしょ⁉︎魔物とか戦ったり!」


「今日冒険者になったばかりだから、まだ魔物とは戦った事ないんだ。」


嘘です。


「そっかぁ〜、でもいつか魔物を倒したりするんだよね??そしたらその時のお話きかせて!お願い?」


上目遣いである。末恐ろしい子供だ。


「もちろん。またご飯食べに来るからその時にでも話すよ。」


「やったぁー、絶対だよ?このお店にも冒険者のお客さんはたくさん来るんだけど、なんか話しかけるの怖くて、、、」


冒険者は基本ゴツそうだし、荒くれ者も多い。8才の子供には怖いだろう。


「じゃ、また来るよ」


また来よう。絶対。

フフフ、、、今のうちに唾つけとくのだ。ロリは趣味では無いが、将来に期待する。





今日は、もう島に帰るか。金もほとんど尽きたし、少し舞い上がっていたのだろう。久しぶりに人と触れあって精神的に疲れた。



島まで転移で帰れるが、仮身分証を門に返さなければ。


せっかくなので、まだ通ってない道を適当に選んで門の方角を気にしながら歩く。



何回か道を曲がり適当に進んでいると、





奴隷商館を見つけた。







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