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33:関所越え

「いい加減にしろ! それ以上無理を通そうというのなら、国境警備隊としてお前たちを捕らえるぞっ!」


 獣人排斥集団と対面していた兵士の一人が、彼らに向かって敵対宣言を放つ。

 だが白ローブたちも一歩も引くことはない。


「ほう、たかが国境警備隊ごときが、我々を捕らえるだと? 面白い、やれるものなら…………っ!? お、おいアイツは!」


 急に喋っていた白ローブが突然ある場所を指差したので、その場にいた全員が示された先を見つめる。


 彼らの視線の先にいたのは、自身の身長よりも長い槍を持った黄色い髪の少女だった。


「あの風貌は――『月光・ウィンカァ・ジオ』! よしっ、ここで仕留めるぞ!」

「「「「おおぉぉぉっ!」」」」


 獣人排斥集団たちの士気が高まり、一斉に武器を取ってウィンカァへと迫っていく。

 突然始まった戦闘に、兵士たちは一様に慌てふためている。


 獣人排斥集団たちが遠距離から魔法を放ち、まずはウィンカァに牽制をする。

 しかしウィンカァは軽やかに身を翻すと、「……フッ」という感じで挑発するように微笑を浮かべる。


 バカにされたと思ってか、獣人排斥集団たちの怒りのボルテージが上がっていく。

 対してウィンカァは冷ややかな表情のまま、その場から駆け出して関所から離れていく。


「逃がすものかぁっ! 『月光』ぉぉぉっ!」


 獣人排斥集団たちは魔法を連射しながらウィンカァを追っていく。

 残された兵士たちはというと、一体何が何だか分からないといった感じで、しばらく呆然自失状態だった。


 ウィンカァを追っていた獣人排斥集団だが、ようやく数の利を得てウィンカァを囲うことに成功した。一見して逃げ場など見当たらない。


「ククク、もう逃がさんぞ『月光』!」


 ウィンカァを囲んでいる者たちが、一斉に火球を放ち始めた。

 周りから逃げ道を塞ぐように向かってきている火球。このままでは集中的に的にされて大ダメージを受けることは間違いない。

 ウィンカァ以外はウィンカァの死を確信しているように笑っている。


 だがその時、ウィンカァは目をカッと見開くと、火球の隙間を縫うように全てを紙一重に回避していく。

 ドドドドドドドドドッとターゲットを失った火球は地面に穴を開けていく。


「ば、馬鹿な……っ!?」


 誰もウィンカァが無傷で生還できるとは思っていなかったようだ。全員が絶句して固まっている。

 それもそのはずだ。あのような回避の仕方など、レベル差が多少あったとしてもできない。

 たとえSランクの冒険者でも無傷で生き残ることなどできなかったはずだからだ。

 それを事も無げに行ったウィンカァに対し、恐怖を抱く者たちも出てくる。


「バ、バケモノめ……っ!」


 するとウィンカァが、懐から何かを取り出して地面へと叩きつけた。

 その直後、彼女を中心にして周囲に煙が広がる。


「え、煙幕か!? 決して逃がすなぁ!」


 煙に乗じてウィンカァが逃げると思ったようだが、そこへ煙の中から驚くものが出現した。

 それは緑色の巨大モンスター群。

 しかも見た目は、どこぞのゆるキャラのような着ぐるみを着込んだ二頭身モンスターであり、大きな丸い頭にトンガリ帽子を被った可愛らしい存在。


 それが合計で六体も煙の中から突撃してくる。

 さらには挑発するように片目を瞑って大きな口から舌が出ているので、まるであっかんべーをしているようだ。

 それに加えて何故かフライパンとおたまを両手に持っているのが不思議に思えてならない。

 それらが四方八方に散り、獣人排斥集団たちを襲っていく。


 一体何が起こっているのか、その場にいた者全身が理解不能だった。

 二頭身モンスターが、白ローブたちに向かって突進し、彼らは悲鳴を上げながら散り散りに逃げている。

 その攻撃が、舌を器用に伸ばして舐め回すといったふざけた方法や、フライパンやおたまで殴りつけてくる方法。それなのに結構威力があり吹き飛ばされている事実が悪夢に思えてくる。


「な、何だ……これは……い、意味が分からん……」


 その呟きは全員が感じていることだろう。

 そして完全に煙が晴れ、その煙の中にも一体。

 今度は大きなぬいぐるみのようなチャーミングなブタがいて、その背にウィンカァが乗っていた。しかもブタなのに、背中には小さな翼が生えている。

 とてもではないが、その巨体を浮かせるほどのポテンシャルがあるとは思えない。


 するとウィンカァが、彼らを見下ろしながら、ニヤッと口角を上げ言い放つ。


「いや~案外やるッスね。ちょっとビックリしたッスよ」

「……え? お、お前……」


 女性であるウィンカァから発せられた男の声音に、誰もがキョトンとしてしまう。

 そして彼らの中の一人がさらに言葉を投げかけようとした瞬間、突然ウィンカァの乗っているブタが方向転換して走り出した。

 ブタのくせにビックリするほど速い。しかも翼を動かしているのにやはり飛べないようで、思わず翼の意味について言及したい衝動にかられる。


「ま、待てっ!」


 しかしブタは止まらず、大地をドスドスと音を鳴らしながらその場から走り去っていった。残された者たちは狐に化かされた感じで立ち尽くしていた。



     ※


 自身の魔法によって生み出したブタに乗って、文字通りフォルスを煙にまいたウィンカァは、前方に発見した岩場に入って行き、ブタから下りて軽く息を吐いて伸びをする。

 すると突然ブタがドロドロに溶けはじめ、まるで放置していたアイスのように形状を崩し地面に緑色の液体が広がっていく。


 また驚くことにウィンカァの身体も同じように溶けはじめて、地面に赤や黒などの液体が流れ出ていく。しかしウィンカァだけは、全てが溶けたわけではなく、その中からテニー・クウェスが姿を現した。

 一番驚くのは、テニーの頭の上に生えていた獣耳も失われ、顔の横にある耳が尖っており、褐色の肌色をしていたことだ。その姿は俗に『魔人族』が持つ特徴でもあった。


「ふぅ、ヒイロくんたち、上手く関所を通れたッスかね?」


 一仕事をやり終えて肩を回すテニー。


「ん~あの子たちは、今しばらく放置しておくッスかね、あそこで騒ぎを起こしておけば関所から注意が外れるッスから」


 あの子たちというのはテニーが作り出した緑色のモンスターたちのことだ。

 煙幕を起こして、その隙にテニーは素早く懐に隠していた筆と紙で絵を描いてモンスターを生み出したのだ。


「それにしてもさすがは『月光』、あの人たちにずいぶんと執着されてるッスねぇ」


 それだけ獣人の血を引く存在として名が通っているということだろうが。


「でも……」


 テニーは関所の方に視線を向ける。

 今頃はもう【ドーハスの橋】を渡っている頃だろうか、日色一行のことを思い笑みを浮かべる。


(いろいろ情報収集してきたッスけど、あの子たちが【ブスカドル】を潰した張本人ってのはビックリしたッスね。情報では《獣覚》で暴走したあの『月光』を止めたのがヒイロくん。……見たところレベルは低そうだったッスけど……)


 日色は確かにあのパーティの中で中核を担っている存在だったが、単純な戦闘能力でいえば『月光』、つまりウィンカァの方がまだまだ上のように思えた。

 それなのに暴走したウィンカァを日色が止めたという情報を得た。それが奇妙だった。だからこそ彼らを最初見た時に、好奇心に突き動かされ話してみたいと思ったのだ。


(ま、ヒイロくんにはずっと怪しまれてたようッスけど)


 日色が一度も隙を見せず、警戒し続けていたことをテニーは気づいていた。


(何か魔法を使おうともしてたッスね。あれは何をしようとしてたのか……。それに一番最初に見た刀を伸ばした力……アレも魔法ッスかね……?)


 しばらく考えたが結局答えは出なかった。

 恐らく自分に対して何かをしようとしていた日色だったが、それを敏感に察知してテニーは止めていたのだ。

 何気ないフリをしてである。そのことも日色は怪しんでいたようだが。


(しかも獣人界に観光っていうのが面白いッスね)


 テニーは喉を鳴らして笑う。

 まさかこのご時世に、人間が敵対している獣人の大陸へ、たかが観光に向かうなど信じられなかった。だが彼は本気だった。それがまた面白かった。


(もっと観察していたかったッスけど、僕にもやることがあるッスからね)


 今度は【人間国・ヴィクトリアス】の方角へ顔を向ける。

 そして再び筆と紙を持ち何かを描き始める。

 それは一匹の緑色の小鳥。その小鳥は紙から現実へと顕現し、テニーの肩にチョコンと乗った。


「今度の戦争では、間違いなく人間は傍観するみたいッスから。すぐに獣人界に入って情報収集するッス。そのことをあの方に伝えて欲しいッス。あ、あと面白そうな人たちにも会ったっていうことも伝えてほしいッス」


 チュンチュンと理解したように小鳥は鳴くと、大空へとはばたいていった。そして再び関所の方へ顔を向けると、


「ちょっと嘘をついてたのは心苦しいッスけど、また会えるといいッスね、ヒイロくんたちと」


 再び紙に絵を描き始める。

 そこには獣耳を持ったテニーの姿が描かれてある。

 その絵にテニーが触れると光り輝きテニーを包んでいく。


 すると光が収束した後、そこから獣耳を生やし、尖った耳も見当たらない獣人の姿のテニーが現れた。

 バサッと小汚いローブを羽織り、その場から姿を消した。



     ※



 日色一行は関所を越えてすでに【ドーハスの橋】の上にいた。

 日色たち以外、橋の上には誰も確認できていない。こんな情勢の中、互いの大陸を行き来する者がほとんどいないのだろう。

 それに獣人排斥集団の待ち伏せもあって、獣人にとって人間界に入ったり出ていくことが厳しくなっているに違いない。


 それにしてもと日色は感嘆の溜め息を漏らす。それは今歩いている橋についてだ。

 この【ドーハスの橋】は全長十キロ近くあるとのこと。橋の下は広大な海が広がっている。

 橋は横幅だけでも乗用車が五台分くらい横並びに通れるくらい広い。何でも海の生物が橋を壊さないように頑強に造られているということだ。


 この橋が唯一獣人界へ直接歩いて渡れる手段である。もしこの橋が壊されれば、かなり移動手段が狭まれてしまうだろう。

 日色は関所の方を振り返る。関所を出るとすぐに橋がかかっているのではなく、橋までにはしばらく人間界の大地が広がっている。橋へ辿り着くまでには少し歩かなければならないということだ。


 ちなみに日色は関所を正式に通過したわけではない。

 アノールドたちは、事前に発行している《通関証》を警備の者に見せて、大扉を開けてもらいそこから通関した。

 あの大扉をどうやって開けるか興味があった日色だったが、どうやらあれには魔法が施されているようで、兵士の魔力が鍵になっていて、その魔力を通すと自動で開閉する仕組みになっているようだった。


 しかし日色は《通関証》を持っていないのでその扉は潜れない。ある方法を使って橋までやって来たのである。

 それは『飛』の文字で関所の途切れ目から高く飛行し、周囲を警戒しながら橋へとやって来たのだ。

 テニーが起こした騒ぎのお蔭で警備隊の意識がそちらに向かい、空を飛んでも目立たなかったので楽に侵入することができた。


 飛んでいる最中、せっかくだからとできるだけ上昇して、空から獣人界を眺めてみた。

 人間の大陸と違い、一番大きな違いはその自然の豊かさだと思った。もちろん人間の大陸にも緑はあるし、美しい山々も存在している。


 しかしながら、大地や森、湖や川、そこに息づく生命はこちらの方が、活気があるような気がするのも事実だ。


(それぞれの大陸にはそれぞれの良さがあるってことだな)


 人間の大陸は言ってみれば人の活気がある。商業や工業も豊かで発展の大陸と言える。


(『魔人族』の大陸はどうなんだろうな……? ま、いつかこの目で見に行くか)


 日色は先程見ていた情景を思い出しながら関所から視線を切って前を見据える。


「でもよ、テニーの奴無事なんだろうな……」


 やはり気になるのか、アノールドはさっきから関所を何度も振り返って心配している。


「アイツができると言ったんだから大丈夫だろ」

「おいヒイロ、それでも心配するのが普通だろうが」

「そ、そうですよヒイロさん。たった一人で囮をやるなんて」

「ん……少し心配。でも大丈夫……だと思う」


 アノールドの言葉に賛同したミュアだが、次のウィンカァの言葉にミュアがその理由を問い質すと、ウィンカァは小さい頭をコクンと傾けた。


「……勘?」

「勘なんですか!?」

「ん……でもウイの勘、当たるよ?」

「う~でもやっぱり心配です……」


 ミュアの気持ちは分からないでもない。日色はテニーと別れる前のことを思い出す。









「お、囮ぃ!?」


 テニーから聞いた獣人排斥集団をどうにかする方法。

 それはテニーが一人で彼らを引きつけている間に、日色たちが関所を通過するというものだった。

 無論アノールドは反対する。


「ダメだダメだ! それは危険過ぎる! そこまで迷惑はかけらんねえよ!」

「そ、そうですよテニーさん! もっと他の方法があるはずです!」

「一人は……危険」

「アオッ!」


 日色以外の者たちは一様にテニーの作戦に異を唱えている。

 テニーはふと日色の顔を見て尋ねてくる。


「ヒイロくんはどう思うッスか?」

「……囮にもいろいろある。方法はそれを使ってするということか?」


 日色は彼が持っている《魔法の筆》とやらを指差す。するとテニーはニッと頬を緩める。


「その通りッス。見てて下さいッス」


 そうして赤やら黒やらの色を使い、ササッと絵を描き上げていく。そこに映し出された絵に皆が目を奪われる。


「え? あ、これって…………ウイさん?」


 ミュアの疑問が混じった言葉通り、紙に描かれているのはウィンカァそのものだった。しかもその出来は素晴らしく絵だと思えないほどのクオリティだった。

 テニーがその絵に右手で触れるとピカッと眩い光を放つ。皆が眩しさで顔をしかめる中、光が収まった後のテニーを見て息を呑む。

 何故ならその場にいたのはウィンカァだったのだから。


「え? え? あ? はい?」


 アノールドはテニーだったはずの人物と、本物のウィンカァを交互に見つめて頬を引き攣らせている。いや、彼だけではない。

 ウィンカァは「ウイが二人……姉妹?」とわけの分からないことを口にし小首を傾げている。


 アノールドとミュアが叫びそうになった瞬間、ウィンカァになったテニーが人差し指を口元に立て片目を閉じる。


「これなら獣人排斥集団の人たちも騙されるッスよね!」


 確かにどこからどう見ても本物にしか見えない。

 これで関所に現れれば、獣人排斥集団は名が通っているウィンカァへと興味を移すだろう。何が何でも捕縛か殺すかで動き始める。 


「そこで逃げるように去る。無論獣人排斥集団はお前を追う。その間にオレたちが関所を通る。そういう筋書きだな」

「さすがはヒイロくんッス!」


 その顔で屈託のない笑顔で喋るのは止めてほしい。物凄く違和感がある。


(それにしてもコイツ……ホントにこれは筆の力か?)


 一番気になるのはそれだ。何故ならどう考えても魔力を使っていたからだ。無論魔具の中でも魔力を使うものはある。だがこれほど便利な魔具が本当にあるのか不思議でならない。


「話は分かった。けどよテニー、やっぱり危険だぜ! もし捕まったら……殺されるぞ?」


 その重苦しい言葉に空気が固まる。しかしテニーはにこやかに笑うと、


「大丈夫ッスよ。僕にだって隠し玉の一つや二つあるッス。過去に獣人排斥集団に囲まれたことだってあるッス」

「そ、そうなのか!?」

「はいッス。その時でも無傷で逃げられたッスよ! だからアノールドさんたちは、安心して関所を通って下さいッス!」


 白い歯を見せるテニーに、アノールドとミュア、ウィンカァは申し訳なさそうに眉をひそめる。

 やはり知り合ったばかりの人物に頼むようなことでもないし、命を懸けてもらうのが本当に申し訳ないのだろう。


「いいッスか? 僕が注意を引きつけて関所からあの人たちを離すッス。折りを見て通過して下さいッス」

「…………なあ、もう一度聞くけど、何でそこまでやってくれんだ?」


 アノールドが先程した質問を再度する。


「そうッスね。本当に単純なことを言えば、気に入ったからッスね」

「え? き、気に入った?」

「はいッス」

「そ、それだけの理由で?」

「おや? 結構重要な理由だと思うッスよ? それに僕は……」


 チラリとテニーが日色を見てきた。

 日色もその視線に気づいて眉をピクリと動かす。

 テニーは再び視線をアノールドに戻すと笑顔を見せる。


「いえ、何でもないッス。んじゃ、行くッスね!」

「あ、ちょっと待てテニー!」


 アノールドの制止を無視して飛び出していったテニー。


「お、おじさんどうするの?」


 ミュアが不安気に尋ねる。アノールドも歯痒そうな様子だ。


「関所を通過するしかないだろ」

「なっ!? ヒイロ、お前テニーを見捨てるのか!」

「それじゃお前はチビを危険に晒すつもりか?」


 少し卑怯だと思ったが日色はミュアのことを話に出す。

 思った通りアノールドは「う……」と言葉に詰まっている。彼にとってミュアの安全は最優先だ。だからこそこの言葉は彼にとって一番効果がある。


「せっかく奴がくれた機会を捨てて危険な道を選ぶなら選べばいい。ただし、後悔しても知らないぞ?」

「…………くそぅ」

「お、おじさん……ごめんね。わたしがいるせいで」

「ミュア、違うぞ。お前は何も悪くねえ」


 アノールドは優しくミュアの頭を撫でる。慈愛に溢れているその所作に辛さが込められているのは見てとれた。


(獣人同士の絆がこれほどに強いとはな……)


 日色が読んだ歴史本の中でも、獣人が同志を裏切ったという話はない。人間や魔人が同族を裏切った話ならごまんとあるのにだ。

 それだけ獣人というのは仲間というものを大切にするのだろう。絆を重んじる種族。もしその誇りが全種族にあるのであれば戦争なんて起きないだろう。


「オッサン、月並みな言葉だが、信じてみるのも絆なんじゃないか?」

「ヒイロ……?」

「それに……」


 目を細めてテニーを見つめる。皆もその視線を追う。そこには獣人排斥集団の攻撃を簡単に回避したテニーがいた。しかも逃げながら器用に魔法を次々と回避している。


「あの動き、奴なら大丈夫だろ」

「…………」


 長い沈黙が続き、そしてアノールドが決意したように「分かった」と言った。彼の行動を無駄にしないためにも一刻も早く関所を通過するべきだと。

 そうして日色たちは行動を起こしたのだった。





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