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198:最強魔人族アクウィナス

「……何者だお前は?」


 ヒヨミが突如としてこの場に出現したヒメに対して警戒するように目を細める。


「この子を傷つけた貴方に教えるつもりなどなくてよ?」


 ヒメはニッキの頬をグイ~ッと引っ張り上げながら喋る。


「ふへ~ひはいへふほぉ~」

「痛くしてるんだから当然でしょ?」


 パチンとヒメが引っ張っていた頬から手を放す。


「まったく、何度も何度も声をかけたというのに、ようやく届いたのがこんな土壇場だなんて信じられないわよ」

「う~痛かったですぞぉ……え? ずっと声をかけてた?」

「そうよ。まあ初めて貴方に会った時から、貴方には契約者としての資質が感じられたけど、私とのリンクがまだ確立できていなかったから仕方ないけどね」

「リンク?」

「そのリボンよ」

「へ?」


 ニッキはヒメが自分の右手首に巻かれてあるリボンを指差したので見た。


「貴方にそれを託したのは貴方と私とのリンクを繋げるため。肌身離さず持ってくれていたお蔭で、それが可能になったのよ」

「ほえ~そうだったのですかぁ」

「そして今、私は貴方の『契約精霊』として顕現することができたというわけ」

「そ、それって師匠とテン殿と同じということですかな!?」

「そ、そうだけど、いきなり何?」


 ニッキが嬉しそうな顔で詰め寄ったので、ヒメは困惑してしまう。


「そ、そうですかぁ。師匠と同じ……嬉しいですぞぉ!」

「……貴方、本当にあの無愛想な男のこと好きなのね。そのリボンを通して見ていたけれど、どこがいいわけ? あんな鈍感眼鏡」

「むむむ! 師匠はカッコ良いですぞ!」

「ああ、はいはい。信者に対して言う言葉ではなかったわね」


 その時、彼女たちの傍にテンがその小さな身体でやって来た。


「おいヒメ! いきなり登場ってビックリしたさ!」

「あらテン、貴方は邪魔だからさっさとあの鈍感眼鏡のところにお帰りなさい」

「じゃ、邪魔……」


 辛辣な物言いにテンはガックリと肩を落とす。


「今の貴方じゃ力を発揮できないでしょ? それに『精霊』というのはパートナーとともに在る存在よ? ここは私に任せて貴方も本来いるべき場所に戻りなさい」

「……ヒメ」

「大丈夫よ。私を誰だと思っているのかしら? あんな大男程度、私とニッキがいれば問題なくてよ」

「…………頼んでいいんだな?」

「くどいわね。『精霊王』の血筋を信じられないかしら?」

「……ウキキ、いいや、おめえのことは信じてるさ。あそこにいるカミュのことも頼んだぜ」

「ええ、彼はニッキが大切にしている者よ。必ず守るわ」

「よっしゃ、んじゃあとは頼んだぜヒメ!」

「はいはい、さっさと行きなさい。ああそれと……」

「ん?」


 ヒメは言い辛いことがあるのか目を逸らして声音を小さくして言う。


「あ、あの鈍感眼鏡に言っておきなさい……。絶対に勝ちなさいってね」

「おめえ……やっぱおめえも素直じゃねえなぁ」

「は、早く行きなさいお馬鹿っ!」


 ヒメが顔を真っ赤にして怒鳴るが、彼女が本当は日色のことを心配しているのは明らかだった。テンはそんなヒメの態度に微笑ましさを感じているのか笑みを浮かべて、


「オッケーさ! んじゃな!」


 その場から転移したように姿を消した。

 そしてヒメがニッキの頭にそっと手を置く。


「さてニッキ、準備はいいかしら?」

「大丈夫です……っ!?」


 ニッキがフラフラと目眩を感じたように膝をつく。


「どうやら大分痛めつけられたようね。待ってなさい」


 するとヒメが右手に意識を集中させると小さな光の玉がポコッと出現した。そしてそれをニッキの身体の中へと沈み込ませると、ニッキの身体が淡く光り輝き、体中に刻まれていた傷が治癒していく。


「い、痛みが消えていくですぞ!」


 その様子はヒヨミも無論観察していて驚愕に目を見開いている。


「なるほど、『契約精霊』……か。まさかニッキがそんな稀少存在だとは知らなかったぞ」


 彼がいう稀少存在というのは、『精霊』と契約できる人物が限りなく少ないということ。資質がなければ契約時に精神が壊れてしまう可能性だって高い。

 もともと別存在である二つの存在がその意識を融合させるのだからそれぞれの魂の波長が合わない限り拒絶反応が出るのが自然。だからこそ普通は契約などできないのだ。

 だが稀にニッキや日色のような二つの魂を己の身体に取り込める稀少存在が現れる。


「これは益々実験体にしたくなったぞ」

「そんなことはさせないわ。貴方はここで私とニッキが潰してあげる」


 凛とした佇まいを見せるヒメから、凄まじい気迫がヒヨミへと発せられる。


「むぅ!? ……この気迫……ただの『精霊』ではないということか?」

「さあね、それは貴方自身で確かめなさいな。まあ最も、理解した時はすでに遅いと思うけれど」

「ほほう、ならば決着をつけようとしよう!」


 刹那、ニッキとヒメ目掛けて地面を裂きながら先の尖った木が針のように出現する。


「フフ、無駄よ」


 こちらも一瞬、出現した木の全てからボボボボウッと炎が生まれて即座に塵と化す。


「……し、白い炎だと?」


 ヒヨミが驚くのも無理はない。自身が生み出した木々が、突如として出現した白い炎によって瞬時に焼き尽くされたのだから。


「ニッキ、私の力は理解したわね?」

「え? あ、はいですぞ! 頭の中に何かこういろんなものが流れてきたですぞ!」

「そう、それが私の力であり、そして貴方の力よ。その力を以て、アイツを倒すわよ!」

「はいですぞっ!」



     ※



 ヒメがニッキのもとへ顕現した頃、日色はアクウィナスと何度も鍔迫り合いで火花を散らしていた。

 だが剣術に関してはアクウィナスの方が上のようで次第に日色の身体に傷が増えていく。


(ふぅ……やはりおかしい。速さなら『超加速』を使ってるオレの方が上のような気がするのに、何故奴は簡単にオレの動きを捉えられるんだ?)


 それはまるで日色の今後の動きを察知しているかのような動きだった。だからスピードで翻弄し隙をつくという攻撃ができずに、逆にカウンターを受けてしまっている。


「俺がお前の動きを全て予測していると思っているような顔だな?」

「……そんな顔があるのか?」

「フッ、そう強がるな。速さに自信がある者ほど、俺の前に立てば皆がそう感じる」

「ほう、ならネタがあるってわけだ」

「お前にそれが見抜けるか……ヒイロ」


 今度はアクウィナスが先に動き突っ込んでくる。大きな翼をはためかせ、ビュンビュンビュンと日色に的を絞らせないように向かってくるが、日色は彼の動きを把握できている。

 彼以上のスピードを以て、その場から移動し逆に残像を残しながらも彼の背後をつく。


「はあぁっ!」


 右手に持った《絶刀・ザンゲキ》を振り下ろす。しかしアクウィナスはまるで後ろに目があるかのごとく、剣を持った腕を背後へと回して日色の刀を受け切る。


「ちぃっ! またかっ!」


 先程からいくら死角をついたとしてもアクウィナスの対応は抜群でダメージを与えられない。日色はアクウィナスと距離を取り、冷静に今までの行動を分析し始める。


(奴の動きは今のところオレより遅いのは確実。それなのにいまだにまともに攻撃が当たらない。確か奴はオレが『超加速』の文字を使った時に『それは助かる』と言っていた……助かる? ……よし)


 日色はあることを思いつき、『超加速』によって再びアクウィナスを翻弄するために周囲を動き回る。そして動き回っている間にアクウィナスの目を見つめる。するとどれだけ速く動いていても彼の目が自分を捉えているのが分かる。

 そしてそのまま彼の死角をついて刀を振り下ろした。しかしまたも彼の剣がそれを拒んだ。


「何度やったところで無駄だヒイロ」

「…………だろうな」

「む?」


 日色は静かにその場から距離を取ると口を開く。


「アンタはオレの動きを把握してる。それが何故か今までは分からなかった。だが思い出した。アンタのその眼……それは《魔眼》だったな」

「…………」

「恐らくアンタはオレの動きが直線的なのを見抜き、オレの動きを先読みし対処できるんだ。『超加速』の性質上、どうも直線的な動きが多くなる。そしてオレは今までアンタの死角ばかりついてきた。だからこそ…………読み易かった」

「…………」


 今まで日色は相手を翻弄するために様々な動きを加えているつもりだったが、思い返してみれば速さを緩めないために直線的な動きしかしていなかった。

 そのためアクウィナスは、日色の目の動きや身体の向きを観察し、その直線上に動くことを把握して先読みしていたのだ。また日色の攻撃が死角ばかりだったことも理由にある。

 つまりアクウィナスは自分の死角に注意を払っていればいいだけだ。


「さすがはヒイロだな。次に攻めてきた時に反撃しようと思っていたが、まさかその前に気づくとは」

「ふん、アンタの思い通りにばかりなるか。ここからはさらに動きを変則にする。ついてこられるか……赤髪?」

「っ!?」


 アクウィナスの死角をいきなりつく日色。しかし今度は見事彼の翼に一撃を加えることができた。


「うぐっ!?」


 すぐさま翼を動かしてその場から移動するアクウィナス。日色は不敵な笑みを浮かべながらアクウィナスを見つめる。


「どうした? まさかオレがもう死角をつかないと思っていたか? なら作戦通りだな」


 日色は先程の言動をしたことで、アクウィナスは今度の日色の攻撃は死角ではなく懐に堂々と突っ込んでくると考えていたのだろう。しかも言葉通り変則な動きを利用してだ。だが日色はそう彼が考えているだろうと判断して真っ先に直線的な動きで死角をついた。

 まさに彼の油断を誘った誘導だった。


「相変わらずお前は食えない奴だ」

「お互い様だ。ならここからはホントに第二ラウンド――」


 その時、日色の肩にボンッと『精霊』のテンが現れた。 


「やっほーヒイロ!」

「黄ザル!? お前また突然……」


 いつも唐突に現れるテンだが、やはり今回もいきなり出現したことに呆れた日色。アクウィナスも日色のもとに仲間がやって来たことに警戒を高めて不必要に近づいてこない。


「お前、バカ弟子たちのとこにいたはずだろ?」

「おう」

「戻ってこないのは向こうの相手が荷が重いからだと思っていたが?」

「ああ、もうそれ大丈夫になったから」

「……? どういうことだ?」


 テンからニッキがヒメとの契約を済ませたことを教えてもらった日色は感心してつい目を見開く。


「ほう、あのバカ弟子め……なるほどな」


 何となくニッキが自分と同じように『契約精霊』を持ったことが嬉しく思った。やはり口ではなんと言っていても、弟子が強くなるのは師匠として喜ばしいものなのだ。


「だがまさか相手があのヘビ女だったとはな」

「ウキキ、いやでもニッキと合ってると思うさ」

「とにかく、それじゃ向こうはもう心配ないんだな?」

「おうよ。あれ~? やっぱりいつも無愛想なヒイロでも、さすがにニッキたちが可愛いってことか?」

「……ふざけたことを言ってるとその尻尾を引き千切るぞ」

「ウッキキ! 素直じゃねえなおめえは!」


 本当に調子の良いテンだが、彼の言う通りならニッキたちは何とかなるだろう。何といっても向こうについているのは『精霊王』の血筋なのだから任せるに足る実力は持っているはず。何よりもこうしてテンが帰ってきたことがその証明にもなる。


「さってヒイロ、おめえはとんでもねえ奴を相手にしてんだな」

「ああ、だが負けるわけにはいかん」

「そんじゃ、久々に『精霊使い』としての戦いを見せてやればいいじゃねえか!」

「……そのつもりだ。宿れ黄ザル」

「あいよ!」


 するとテンの身体が光り輝き、粒子状に弾けると《絶刀・ザンゲキ》に吸い込まれていった。刀身がパリンと割れるとオーラブレードのように刀身の部分が光の集束体に変化した。


「ほう、それが『精霊』と一体化させた武器か」


 アクウィナスも珍しいものを見たかのように言う。


「第二ラウンド開始だ!」


 日色はそのままアクウィナスに向かって突進していく。アクウィナスも剣を構えて応戦する態勢。しかしまだ距離はあるが、日色はそのまま刀を振り下ろす。


「む?」


 すると《ザンゲキ》の刀身が急激に伸び、一気に距離を潰してアクウィナスを上空から襲う。アクウィナスが剣で防御態勢を整えるが、彼の剣が見事にスパッと真っ二つになりアクウィナスの左肩を斬ることに成功した。


「ぐっ!?」

「まだまだぁっ!」


 日色がその伸びた刀を器用に振り回しアクウィナスを攻撃していく。剣を斬られたアクウィナスは防御方法を失って回避行動をとるしかない。


「逃がさんっ!」


 アクウィナスの動きを追って日色は刀を振るう。


「ヘルフレイム!」


 アクウィナスの差し出した右手から炎のように蠢く黒い物体が放たれる。それは彼を包み込むように円を描き壁のように顕現した。

 バチンバチンバチンッとその壁に刀が阻まれてアクウィナスに攻撃が届かない。


「ちっ! なら一点集中だっ!」


 刀の長さを元に戻し、日色は突き出す寸前のような姿勢を保つ。すると刀身が徐々に膨らんでいき、まるで中から膨張して爆発寸前のような形になる。


「くらえっ! ――《砲閃華(ほうせんか)》っ!」


 その場から動かずに五メートル以上離れた位置から日色は刀をアクウィナスに向かって突き出した。その刹那、膨れ上がっていた刀身が爆発したように、切っ先から物凄い勢いで光の集束体が鋭く伸びた。

 真っ直ぐアクウィナスの作り出した黒い壁に衝突し、光と闇の粒子が周囲に火花のように散らされている。


 そしてズズズと日色の刀の方がアクウィナスの壁の強度を上回り徐々に貫いていく。更に光が強く輝いた瞬間、完全に闇の壁を貫き、その向こうにいるアクウィナスに向かって突き進む。


「ちっ! フールアムドッ!」


 今度は突如としてアクウィナスの全身を黒が覆い、剣ではなくその両手で真剣白刃取りの要領で挟み込んだ。

 まるで闇色で装飾された鎧を着込んだアクウィナスからは、更なる威圧感を感じさせる。先程の壁と違って防御力も高いような印象を受ける。


「闇の鎧か……」

「驚いたぞヒイロ。まさか『精霊』を宿した武器にそのような使い方があるとはな」

「そうか? だが油断し過ぎだぞ赤髪?」

「何?」


 アクウィナスにとって日色の言った意味が分からなかったはずだ。しかしその理由もすぐに理解することになった。

 挟み込んでいた刀身が急に変化して人間化したテンの姿に変わりその横っ面を拳で殴り飛ばされてしまったのだから。


「ぐふっ!?」

「ウッキキ! 一発一発~っ!」


 テンはニカッと笑みを浮かべながら再び刀へと戻っていく。しかし一撃を与えたものの、あまりダメージは見つけられない。驚きこそしたもののだ。


「なるほど、これは一本とられたな」

「言っただろ? 油断し過ぎだと」

「ふむ、ならその言葉をそっくりそのまま返そうか」

「何だと?」


 そこでハッとなる。何故ならいつの間にか周囲を黒い粒子が舞っていたことに気がつかなかったからだ。


「……デス・アウト」


 その粒一つ一つが突如として鋭い針状のものに変化して日色の身体に突き刺さる。


「し、しま……っ!?」


 瞬間、突き刺さった黒い物体が全て爆発した。


「うぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 凄まじい爆発が日色を中心に起こり大気が震え煙が舞う。だがアクウィナスの瞳に勝利を確信した色は宿っていない。それどころかフッと笑みを浮かべてそのまま瞳を閉じると、静かに口を開く。


「さすがだなヒイロ……」


 そう言う彼の背後には服をボロボロにした日色が浮かんでいた。どうやらアクウィナスも日色が先程の攻撃を回避するだろうと思っていたようだ。


「どうやってかわしたのか、聞かせてもらっていいか?」


 アクウィナスはゆっくりと身体の向きを変えて日色と対面する。日色は眼鏡をクイッと上げると、先程までいた場所へと指を差した。

 煙が晴れて、その場所にいたのは光化したままのテンだった。


「……?」

「分からないか? あの時、オレは咄嗟に手に持っていた刀、つまり黄ザルと立場を交換した。そしてすぐに転移してこの場所に来たってことだ。まあ、少し爆発に巻き込まれてしまったがな」

「……立場を交換?」

「それ以上は企業秘密だ」


 実際結構ギリギリだった。あの瞬間、針が服に刺さっていたので、ただ転移しただけではその針ごと一緒に転移してしまう可能性が高かった。

 だから針が刺さっていないテンと、設置文字の一つだった『交代』の文字で立場を入れ替えて、すぐに同じ設置文字の『転移』で逃げたというわけだ。

 テンは『精霊』なので魔法攻撃は効かない。だからこそ使えた手段でもある。

 同じように『交代』の文字でアクウィナスと立場を入れ替えようと思ったが、自身の魔法には効果がないだろうと判断した。というよりも、あまりに咄嗟のことだったのでテンと入れ替わることを選択しただけだ。


「やはりヒイロ、お前は面白い男だ」

「最強の『魔人族』にそう言われて光栄だが、まだまだこれからだぞ」

「……そうだな。では今度はかなり強いのをいこう」


 ビリビリとまるで大気を割るかのような魔圧がアクウィナスの全身から迸る。恐らく今までのは彼にしてみれば遊びの範疇だっただろう。

 これからが文字通りの死力を尽くした戦いになると日色は本能で感じた。そして彼の紅蓮の瞳が怪しく輝きを増す。


「我がもとに顕現せよ……《第二の剣・鈍重なる奇剣(ダルウィテッド)》」


 アクウィナスの右手に鉛色の刀身を持つ剣が現れた。


(何だあの剣は……そういやアイツの能力、剣を創り出せてたな)


 アクウィナスの右手に突如現れた鉛色の刀身を持つ剣。しかも奇妙な形をしており波のように畝っている。

 アクウィナスのスッと息を吸った瞬間に距離を詰めてきた。日色も同時にその場から動き回り相手に的を絞らせないように努める。

 するとアクウィナスの翼から黒い粒子が動かす度に、まるで花粉のように宙に舞う。


「……デス・アウト」


 これは先程回避した魔法だった。だが今度はすぐに設置文字の『転移』の文字でその場から脱出する。アクウィナスの頭上に現れた日色は、そのまま刀を振り下ろす。

 しかし呆気なくアクウィナスによって剣で防がれてしまう。


(ちっ、やはり不意打ちは効果なしか!)


 恐らくアクウィナスの反射速度は今まで日色が出会った者の中ではあの『虹鴉』のノアに匹敵するほどだ。戦闘反射による絶対防御。それに近い才能を持つアクウィナスに、不意をついてもなかなかダメージを与えられない。それこそ先程のように言葉巧みに相手の思考を誘導して隙をつけば攻撃を与えることができるだろうが、もうそんな手には乗ってくれないだろう。


「これならどうだっ!」


 先程と同様に、日色の持つ刀の刀身が形を変えて光化したテンが出現しアクウィナスに拳を振るう。しかしその拳をアクウィナスは剣を握っていない左手で掴む。


「ウキッ!?」

「そうそう何度も殴られはしないぞ」


 そしてアクウィナスは剣を素早く動かして日色に斬撃を繰り出す。だが日色もすぐに後方へと身体をずらして直撃を避ける。しかし完全には回避できずに右腕に細かい切り傷を受けた。だがダメージそのものはほとんどない。

 しかしその瞬間、奇妙なことが起きる。日色の身体がズンッと重くなり、身体の動きが鈍くなる。

 さらに追撃してくるアクウィナスに対し、焦りながらもその場から退避すようとする。


(くっ……スピードが出ない!?)


 先程と同等のイメージで身体を動かそうとしたが、明らかにスピードダウンしていた。迫ってくるアクウィナスの剣。串刺しにしようと突き出してくる切っ先を睨みつけて、日色は身体を捻ってかわす。だがかわし切れずに今度は頬に軽い傷を受けた。


 その瞬間、またも身体にさらなる重さを感じる。これはまずいと思い、少し離れたところまで設置文字の『転移』で移動した。


(くそ……設置文字が一気に減ってしまったな)


 すかさず腕に新たな設置文字を書く。まさかこうも連続で設置文字を使わされるとは思っていなかった。ただもしこの設置文字がなければもっと悲惨な状況を迎えているだろうが。

 日色は設置文字のストックを増やしながら目の前に浮かんでいるアクウィナスを見つめる。そして身体のこの重みに不可思議を感じて考察する。


(一体何をされた……?)


 ハッと思いつき日色は『解析』の文字を自分に向けて発動させる。すると自分の《ステータス》の数値が減少している事実を知る。レベルは変わっていない。変化しているのは主にAGI(速度)とHIT(命中率)だった。

 本来の数値の四分の一程度にまで下がっていた。


「気づいたか?」


 アクウィナスから低い声が届く。悠然と空の上で浮かぶ彼の姿は堂に入っており、そのビジュアルからもまさに絵になると思わされた。


「……その剣の仕業だな? オレの動きを鈍らせる仕掛けでもあるということか」


 その右手に持った剣を指し示し、彼は静かに口を開く。


「これは《鈍重なる奇剣》。一太刀与えれば一定時間、その者の動きを半減することができる。その上に一太刀受ければさらに半減する」

「ずいぶん卑怯な剣じゃないか?」

「フッ、お前が言うのか?」


 何故ならもし日色が『超加速』の効果を得ていなかったら、今頃串刺しにされていたということだ。さすがにスピードが半減したままで、アクウィナスの動きについていけるわけがない。《太赤纏》を使ってもようやくギリギリでかわせるかもしれないといったところだろう。

 だがネタが分かれば対処も容易いのが日色の《文字魔法》である。日色は『無効化』の文字を書いて発動させる。すると身体にかかっていた重さが消え、普段通りの動きができるようになった。


「ふむ、やはりこの剣の効果でさえも無効化できるか」


 どうやらアクウィナスも日色が剣の効果を打ち消したことが伝わったようだ。もしかしたら日色の能力をアヴォロスの目の前でいろいろ試させるつもりらしい。

 するとアクウィナスが持っていた剣が粒子状になり消失する。


「なら次はこれだ。我がもとに顕現せよ……《第四の剣・追従する紙剣(エル・ホーマー)》」


 再び膨大な魔力がアクウィナスから迸った後、その魔力が次第に形を成して彼の右手に収まった。


「また違う剣か……!」


 今度の剣は、さらに奇妙なものだった。驚くことに刀身が本当に鉄でできているのかと疑われるほど細く、しかも風でユラユラと揺れている。そんなもので何かを斬ることができるのかと思ってしまうが、あのアクウィナスの剣なので何かしらの能力が備わっているはず。日色は警戒をさらに高めていく。


(いや、その前にだ!)


 日色は相手の攻撃に翻弄されないように『鑑定』の文字で照準をアクウィナスが持つ剣へと合わせた。そして頭の中に流れてくる情報。


「……またずいぶん変わった剣のようだな」

「……?」


 アクウィナスには日色が何をしているのか分かっていないだろう。しかし日色は剣の効力を知って思わず頬を引き攣らせる。

 そして彼の右手がさっとその場で動いたと思ったら、紙のように揺れている剣が真っ直ぐ伸びてきた。


「ちっ!」


 日色は《絶刀・ザンゲキ》で伸びてきた刀身を弾く。そしてその場から上方へと移動するが、驚くことに弾いたはずの刀身がまるで意志を持つ生き物のごとくうねりながら追いかけてきた。


「やはり追尾してくる剣か!?」


 一度ターゲットを認識すれば、攻撃がHITするまで追尾していくる刀身。それがこの剣の特性だった。しかも突如として一枚だった刀身に切れ目が走り三つに分かれる。その三つがそれぞれの動きをしながら日色を追ってくる。

 日色は地面すれすれに飛行し、向かってくる三つの凶刃を引き連れる。そして目の前に見える大岩に衝突する瞬間に素早く方向転換して上方へ回避。すると三つの刀身はそのまま大岩に突き刺さる―――が、そのまま動きを止めるかと思ったらそのまま大岩を貫通して再び日色を追ってきた。しかもいつのまにか今度は六つに分かれている。


「何てチートな武器だよっ!?」


 まるで追尾するレーザー砲のような攻撃に日色は身を翻して紙一重で回避していく。四方八方から向かってくる刃。一つでもくらえば大ダメージ必至。しかも恐らく転移で逃げてもすぐに日色を感知して追ってくる。

 それを静かにアクウィナスが見守っている。


「ちっ! なら!」


 日色はそこからアクウィナスがいる場所へと戻り、今度は先程の大岩のようにアクウィナスを貫こうとした。動かないアクウィナスに対し、彼の寸前で方向転換する。


(さあ、どうなる?)


 だが期待通りには動いてくれなかった。日色のようにすぐさま刀身がアクウィナスの寸前で方向転換して、日色を追う。


「無駄だぞヒイロ、これはオートでもリモートでも自由自在だ」


 つまり今のはアクウィナスが遠隔操作で刀身を動かしてより刀身の動きを繊細化させたのだ。オートではできない動きも、遠隔操作ならできるということだ。


「ホントに厄介な武器だなそいつは!?」


 日色はそのまま地面に降り立つと一呼吸置いて新たな文字を作成する。《赤気》を使った軌跡が空中に描かれていく。そして六つの凶刃が弧を描きながら日色を襲撃。

 このまま貫かれるかと思いきや、日色の身体には確かに刃は届いているものの身体は貫かれずに服の上で止まっていた。


「……!? ……ヒイロ、何をした?」

「そんなことより、アンタもこっちに下りてこいっ!」


 日色は刀身を纏めて掴むとそのまま引っ張り、アクウィナスを落下させようとする。しかし彼はすぐに剣を消して体勢を整えながら静かに大地へと降り立った。だがその表情は疑問に歪められている。


「ヒイロ……」

「オレの魔法をあまり舐めるなよ?」


 日色は答える気はない。先程の攻撃の前に、日色は『貫けず』の文字を書いて発動させただけ。そして《赤気》で右手を覆って切れないように防御力を上げてから刀身を掴んで引っ張ったのだ。


(まあ、この文字は『超加速』と並行して使えないっていう制限もあるから使いどころは難しかったがな)


 文字にはそれぞれ制限やリスクがあり、それを逸脱した使い方をすると《反動》がくる。今回の『貫けず』や例えば『斬れず』にしろ、効果が高いものは何かしらの制限が必ず存在する。

 するとパチパチパチパチとどこからか拍手する音が聞こえる。見れば日色たちの戦いを観戦していたアヴォロスだった。


「テンプレ魔王……」


 日色が睨みつけるとアヴォロスは不敵に笑みを浮かべて喋り出す。


「さすがだ。さすがは《文字使い》だヒイロ。しかし気になることが一つある」

「……?」

「何故――――――何故新たな文字を書くのに『超加速』の効果を解いたのだ?」

「っ!?」


 コイツッと日色は内心で思った。


「やはり文字にも制限があるようだな。たとえば……超加速しながら今の文字は書けない……か?」


 バレたくない欠点が、一番知られてほしくない相手に知られた。


(いや、それよりも何故奴がオレが書いた文字が『超加速』だと知ってる?)


 仮に書いた文字を見られてもアヴォロスには理解ができないはずだ。何しろこの世界には漢字というものが存在しないのだから。それなのに彼には日色が書いた文字が『超加速』だと見抜かれている。


「ククク、その顔は何故余が貴様の書いた文字を把握できているのか不思議に感じておる顔だな」

「…………」

「貴様、忘れてはおらぬか? 余はシンクの仲間だったのだぞ?」

「っ!?」


 そういえばそうだった。こんな簡単な答えに辿り着けなかったことに悔しさを覚える。


「なるほどな……お前、先代の《文字使い》から漢字について…………教わったな?」

「ククク、どうだろうな」


 これはしんどいことになった。実際日色の書く文字を誰も知らないからこその優位点は確かに存在していた。何故なら日色が書いた文字を見ても、どんな現象を起こすか相手には分からないからだ。

 しかしアヴォロスにはその文字を見て効果を先読みすることができる。つまり事前に対処することが可能になるかもしれないのだ。


(そうか、忘れていたが今も奴の傍にはテンプレ信者もいるしな)


 テンプレ信者とは石峰優花のことである。彼女は灰倉真紅と同じく召喚されてきた日本人だ。彼女がアヴォロスに漢字を教えていたということもあり得る。


(こんな簡単なことに気がつかなかったなんてな……)


 自分の浅慮ぶりに舌打ちをしてしまう。しかし今はとにかくアヴォロスのことよりも目の前の相手だ。アヴォロスの言動のせいで、アクウィナスに『超加速』と『否貫通』といった効果の高いものの併用ができないことを知られた。

 ただ彼は文字の意味まで理解しているわけではなさそうなので、それほど分が悪いわけではない。


「ヒイロッ!」


 そこへヴァルキリアシリーズを倒したウィンカァが傍にやって来た。


「アンテナ女……?」

「ヒイロ、こっち終わったよ?」

「アオッ!」


 彼女の隣にはハネマルもいた。


「ヒイロ、ウイも手伝う」


 ビシッと手に持った長槍である《万勝骨姫》を構えるウィンカァ。ハネマルもやる気に満ちているようで低く唸りながらアクウィナスを睨みつけている。


「いや、ここはオレだけでいい」

「え? どうして?」

「お前は他の連中を助けに向かえ。あそこにはオッサンも…………お前の親父だっている」


 日色がアヴォロスがいる空間を指差すと、ウィンカァが顔を向けて目を凝らす。


「ん……アノールドも元気そう。それに…………ととさん」


 彼女の瞳が懐かしさで揺れ、頭の上のアンテナのような髪束がフルフルと回っている。本当は真っ先に飛んでいきたいのだろう。しかし今はそんな状況ではないことを察しているのかもしれない。


「……いいから行け。アイツはオレが何とかする」

「で、でも……」

「クゥ~ン……」

「いいかお前ら、オレはお前らの強さを信じる。だからこそオッサンたちを守れ。もしここでオッサンが死んだりすれば、あのチビが悲しむぞ?」

「……そうだね。ミュアが苦しんじゃう」

「そういうことだ」

「でもそれはヒイロが死んでも同じ……だよ?」


 悲しそうに眉をひそめて顔を向けてくるウィンカァに対し、日色はやれやれといった感じで溜め息を吐く。


「オレがこんなところで死ぬか。それに……アイツはオレが倒す」


 アクウィナスをジッと見つめる。彼もまたその言葉が耳に届いたのか、フッと微笑を浮かべた。ウィンカァはしばらく沈黙を守り日色とアクウィナスを交互に観察した後、大きく頷きを見せた。


「…………分かった。ヒイロはウイの王。ヒイロの言うことにウイは従うよ」

「ああ」

「でもまずはナデナデしてほしい」

「アオンッ!」


 いつも唐突に変なことを言う彼女だったが、この状況でも我を貫く姿は呆れを通り越して感心した。頭を上目遣いで見上げてキラキラと純朴な光が瞳から放たれている。しかもハネマルも同様に。


「お前らな……」

「ウイ、良いことした……よ?」

「アオアオ?」


 同じように首を傾げる二つの存在。日色はジッと彼女たちを見つめていたが、どうも諦めそうにないので仕方なく両手を彼女たちの頭の上にそれぞれ乗せて撫でた。


「ん……これ久しぶり」

「アオアオ~」


 何がそんなに良いのか日色にはサッパリ分からないが、二人は幸せそうな顔をしている。すると感極まったのかウィンカァが真剣な眼差しで喋る。


「ねえヒイロ、ギュッてしていい?」

「はあ? お前急に何言ってんだ?」


 さすがに問い返してしまった日色。


「ん……何だか胸がトクトクしてね、こうギュってしたいの」


 ウィンカァが自分の両腕で身体を抱えると、彼女のただでさえ大きな胸が盛り上がり強調される。


「い、意味がまったく分からんが?」

「……ダメ?」

「……アオ?」


 ハネッコ、お前もか……と日色は問いたいが、さすがにここで抱擁など勘弁なので彼女に背中を向けた。


「ダメだ。そんなわがまま言うならもう撫でんぞ」

「それはやだ!」

「アオッ!」

「じゃあ、さっさと行け」

「分かった。でももう一回ナデナデして?」


 だが日色は彼女の額に人差し指でコツンと軽く押すと、「とりあえず後でだ」と言う。彼女は不服そうに頬を膨らませていたが、再び背中を向けた日色を見てほっこりとした表情を見せた。


「……ハネマル、行くよ」

「アオッ!」


 彼女たちはアヴォロスがいる戦場へと足を踏み出していく。


「少し興味あるな。彼女がどのようにしてこの空間を渡ってきたのか」


 アクウィナスも同じことを考えていたようで、その視線は走っていく彼女たちに向かっていた。

 そして彼女たちが、見えない壁がある場所へと到着する。


「ハネマル、少し離れてて」


 ウィンカァが言うとハネマルは返事をして言われた通りに彼女から距離をとった。そして彼女は目を閉じて一度自然体になる。

 すると彼女の身体から《赤気》が滲み出てきた。それを見ていた日色は思わず感嘆の吐息を漏らす。


(出会ったばかりの奴も強かったが、やはり《太赤纏》も修めてたか。大した奴だ)


 その戦闘センスは抜群で、何度も彼女の強さに救われたことがあった。だが驚くことにそれだけではなかった。

 突如彼女の頭にピョコッと獣耳が生え、そして臀部からはフワフワとした尻尾が三本現れた。


(アイツ!? まさか『獣覚』まで使いこなせるようになってるのか!?)


 彼女の成長ぶりについ目を大きく見開いて言葉を失ってしまった。かつて彼女は『獣覚』を制御できずに暴走してしまったことがあった。基本的に『獣覚』を制御できるのは日色が見てきた中でオーノウスだけだ。

 それほど獣の本能を呼び覚ましてしまう『獣覚』は、自我を失う可能性が非常に高いので危険なのだ。しかも本来は満月の夜にしかその力は現れないはず。

 夜でもないこの時間帯に、しかも自らの意志で『獣覚』を行使できるようになっているとは、やはり彼女は天才なのだと改めて思わされた。


 そして彼女は《万勝骨姫》を構えて『獣覚』により紅蓮に染め上げた瞳をアヴォロスがいる戦場へと向ける。

 立ち昇る《赤気》が槍へと集束していき、刀身が凄まじい超振動を起こし始める。


「ハネマル! 一緒に飛んで!」

「アオンッ!」


 ウィンカァが見えない壁へと飛び込むとハネマルもその後を追う。だがそのままでは二人とも壁に激突していつかのニッキのように弾かれてしまう。


「《八ノ段・次元断(じげんだち)》っ!」


 だがウィンカァは槍をその見えない壁に向かって右上から左下へと斜めに一閃する。そしてすかさずに今度は左上から右下へと同じように槍を振り切る。すると空間に赤い亀裂がバツ印に走り、その亀裂が徐々に大きくなってガラスを割った音とともに空間が割れて、見えない壁のその向こう側へウィンカァとハネマルが足を踏み入れた。

 そしてその要領でドンドン先へと進み、最後の壁を乗り越えた後、静かにアヴォロスがいる戦場へと着地した。《赤気》が治まり、『獣覚』も鎮まって普段の彼女に戻る。


「はは、何て奴だ」


 日色も空笑いしか出てこなかった。実はこの空間を裂けることができるかもしれないと『寸断』の文字を使ってみたが、壁自体が魔法を弾くようで効果がなかった。

 それなのに彼女はそれを力任せに技で突き抜けていった。


(ふっ、あのテンプレ魔王の顔も強張ってやがる。良い気味だな)


 日色の目の先には、眉間にしわを寄せながら自分が作り上げた空間を、自在に破って行き来してきたウィンカァを睨みつけている。余程信じられないことを彼女がしているということ。


(よくやった、アンテナ女!)


 日色は心の中で彼女に称賛の声を送った。






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