108:襲撃を受けるパシオン
【獣王国・パシオン】に黒いローブを羽織った人物が二人やって来た。
そのうちの一人は【パシオン】のシンボルである巨大樹《始まりの樹・アラゴルン》を見上げながら不気味に口角を歪めていた。
二人の人物が羽織っている黒ローブには、背中にそれぞれ絵が描かれてある。とは言っても単純な絵であり、一人はバツ印、もう一人は四角の絵が描かれてある。
二人のうち先程不気味に笑っていたのはバツ印の人物の方だ。
「ケハハ、相変わらずバカデケェ樹だなァ」
バツ印の人物が嫌味ったらしく発言する。
「テメェもそうは思わねェか新入りィ?」
しかし四角絵の人物は答えない。互いにフードを被っているので素顔は確認できないが、バツ印の方は、声からして男である。
「ケッ、つまんねェ野郎だァ」
すると兵士らしき男が二人に気づき、不審に思ったのか近づいてくる。
「ア~ララ、見つかっちまったなァ」
身を隠すようにしているくせに、嬉しそうに言葉を吐く。
「おい君たち、旅の者かね? できれば顔を見せてもらいたいんだが?」
「オイオイオ~イ、何で見ず知らずなクソに、俺の高貴な素顔を見せなきゃならねェんだァ? あァ?」
その物言いにカチンときた兵士は持っている槍を強く握り締めると、
「怪しい奴め! さっさとフードを取れ!」
「ああキタ……キタよキタ……」
「ん? 何が来たと言うんだ?」
バツ印の男がわけの分からないことを呟くので増々不信感が募っていく。
「だァかァらァ……キちゃってんだよねェ」
「だ、だから何がだ?」
「……ケハハ」
――シュブッ!
突然兵士の首が宙を舞った。崩れ落ちる頭を失った胴体。空からは血しぶきを撒き散らしながら首が落ちてきた。
落ちた首を冷ややかに見下ろしながら、
「だからキタって言っただろうがよォ……俺の殺人衝動がァ」
またも不気味に口元を三日月型にする。
「ああ、もういいや。さっさと仕事すまそうぜ?」
それでもまだ四角絵の人物は答えない。するとそこを通りかかった国民が、血塗れの地面を見て悲鳴を上げる。
「ケハハ! もっとだァ! もっと俺を癒してくれよその声でェ!」
バツ印の男がその手に剣を持っているのを見て、国民がまたも大きな悲鳴を上げる。
「そうだ喚けェ! そして思い出せェ! 血で血を洗うマジもんの殺戮劇をなァァァァッ! ケハハハハハハ!」
どんどん人がその場に集まって来る。そしてギロリと民たちの顔を睨みつけるように観察する男。
「……何だァ? その平和ボケしたような面ァ……ケハハ、まあいいか。忘れたなら思い出させてやらァ」
皆が男の異様さに言葉を失ったかのように見守っている。
「弱肉強食の世界をなァァァッ!」
※
「な、何事なのですか!?」
王族が住む《王樹》では、執務室で仕事をしていた獣王レオウードの妻であるブランサが、突如ノックも無しに入って来たメイドに向かって驚きながら声を発していた。
メイドの顔色が悪く、明らかに困惑している様子からただ事ではないことが起こったのだと知る。
「ブランサ様……国が……国が……」
「国がどうしたというのですか?」
そしてメイドはゆっくりと息を吐くと、
「国が、何者かの襲撃を受けています!」
「なっ!?」
すぐさまブランサは街並みを見下ろすことができる場所へと移動する。そこで眼下に広がった光景に息を飲んだ。
あちこちから火と煙が立ち昇り、少なくない人物が血を流して地面に倒れている。
「い、一体何が……っ!?」
まるで夢を見ているかのような感じで呆気にとられていると、
「危ないっ!」
「え?」
――カキィィィンッ!
突如背後で二人の人物が鍔迫り合いを起こしていた。その一人はブランサのよく知る人物だった。
「ライブッ!」
彼女こそアノールドの姉であり、獣王レオウードに仕えているメイド長のライブ・オーシャンである。
「ちっ!」
そのライブと対面していた人物は舌打ちをすると、その場から後ろへ跳ぶ。見ると黒いローブとフードで何者かは判断できない。
「はっ、せ~っかくそこの女をぶち殺せるところだったのによォ」
声を聞いて男だと推測する。
「よくもまァ、そんなもんで俺の一撃を止めるとはすこ~しだけ褒めてやるぜェ」
男が指差したのはライブが両手に持っている包丁だった。だがその両方とも、見るからにもう使用不可能なほどボロボロだった。
「ライブ! あなたその両手!?」
ライブの両手からは血が滴り落ちていた。
「ケハハ! 腕が残ってるだけでもありがたく思えよなァ!」
どうやら先程の男の攻撃を防ぐことはできたようだが、ライブでは完全に防ぎきることができずに包丁も、自らの腕もダメージを受けてしまったようだ。
そこから推測できるに、男の実力がずば抜けていることが理解できる。
(そんな……ライブはこう見えても昔はレッグルスたちに剣を教えていたのに……)
普通の攻撃ではライブには傷一つ付けられないと思っていた。しかし男は恐らく全く本気ではないであろう一撃で、ライブをあっさりと傷つけた。しかも一応包丁で防御していたのにも拘らずだ。
つまり相手は間違いなく格上。それも信じられないほどに。
「お逃げくださいブランサ様」
ライブはタバコを唇に挟みながら少しも苦痛に顔を歪めてはいない。相当激痛を感じているはずなのに、ブランサを心配させまいと振る舞っているようだ。
「あなたを置いて逃げるわけにはいかないわ!」
「あなたは王妃なのです! そしてコイツは賊、自分はメイドですが、主を守るためには命だって懸けます」
「ライブ……あなた……」
するとパチパチパチパチと手を叩く音が男から聞こえる。
「はいはいは~い、ご立派ご立派ァ! すんごく感動的なお言葉ありがとさんよォ。けどま、安心しろよ。一度暗殺に失敗した以上、もうテメェには手を出さねェからよォ」
「そんなこと信じられるものかい!」
ライブはボロボロになった包丁をそれでも強く握り構える。
「本当はさァ、仕事で来ただけだァ。それに王妃の殺しはシナリオには入ってねェしなァ」
「……シナリオ?」
一体誰の……と思い、ブランサが呟く。
「ここには挨拶に来ただけさァ。けどテメェの顔見たら、つい殺りたくなっちまってなァ……ブランサ・キング。いや、ブランサ・ケーニッヒ様ァ?」
ブランサは大きく目を見開き、一瞬にして口が渇くのを感じた。
「……何故ケーニッヒの名前を? この国でもその名前を知る者は一握りなのに……」
ライブも知らなかったのか眉を寄せている。
「ケハハ、まァだ気づかねェのかァ? せ~っかく久しぶりに会いに来てやったってのによォ」
そこでブランサはようやく心当たりを見つけたのかハッと息を飲む。
「ま……まさか……」
「ブランサ様?」
完全に動揺を露わにしているブランサを心配してライブが問うが、ブランサはそれどころではなかった。
まさか……まさか……と、無意識に言葉を発してしまっている。
「ケハハ、そうそう、俺だよ俺……」
男はフードに手を掛けてその素顔を二人の目に晒す。
そしてブランサは予想が当たっていたことに愕然として固まってしまう。
男はウニのように全体が尖ったような髪型だが、その髪色が特に珍しく、白と黒の斑模様を浮き出していた。
「…………………………コクロゥ?」
ブランサの呟きを聞いてコクロゥと呼ばれた男はニヤッと口角を上げる。
「ケハハ! そうだ、コクロゥだァ! ケハハ!」
舌をベロッと出して人を小馬鹿にするような顔を向けてくる。
「……何故お前がここにいるのです? あんなことをしておいて、よくもノコノコと戻って来れましたね!」
「だから言ってんだろォ? 仕事だってよォ!」
「……死んだ父がお前を見ると、さぞお嘆きになることでしょうね」
「けっ、とっくの昔にぶち殺した親父の話なんてするなよな。イライラして殺っちまうぜェ?」
とんでもない殺気がビリビリと空気を震わせる。しかし一瞬でスッと殺気が収まったと思ったら、
「まあいいかァ、さっきはつい殺しそうになったが、別にテメェにはそれほど恨みはねェしな。あるのは……」
「……夫ですか?」
「ケハハ……奴は必ずこの俺がぶち殺してやらァ」
「なら何故夫がいる時を襲ってこないのです? さすがのお前も夫や《三獣士》が怖いのですか?」
「んなもん怖いわけねェだろうがァ! シナリオ! つまり計画ゥ! 今はある奴の下にいてなァ、そいつの計画を実行するためにゃァ、この時期が好都合だったってだけだァ」
「……驚きですね。お前のような者が誰かの下につくなど」
「勘違いすんなよ? 下についてるとは言ったが、互いに利害が一致してるから、仕方無く動いてやってるだけだァ。俺は俺のためにしか動かねェ」
「相変わらず自己中心的な考えですねコクロゥ」
「はっ、それが獣人があるべき真の姿だろうがァ」
互いに睨み合っていると、コクロゥは何かに気づいたように目を細めて笑みを浮かべる。
「どうやらちゃんと仕事したようだなァ」
「……何を……」
言っているのだと思いブランサはコクロゥの視線の先を見る。そこには【パシオン】の誇る《始まりの樹・アラゴルン》がある。
しかし次の瞬間――シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……。
突然多くの緑が生い茂っている《アラゴルン》が、冬の枯れ木のような姿になっていく。
「な、何事ですかっ!?」
思わずそう叫ぶ。何故なら《アラゴルン》は一年中、瑞々しい緑の葉で覆われている大樹なのだ。今までもその葉が枯れるなどということは無かった。
だからこそ今起こっている事態に困惑してしまい固まっている。
「ケハハ、そんじゃ俺はお暇するぜェ」
いつの間にか上の枝に跳び乗っていたコクロゥの声にハッと我に返り、鋭い視線を向ける。
「い、一体何をしたのですコクロゥ!」
※
コクロゥがブランサと出会う前、そのコクロゥと一緒に【パシオン】に来ていた四角絵の人物は、次々と建物を破壊して回っているコクロゥの行動で国民たちの視線を奪っている間に、建物の陰に身を潜ませある場所へと向かっていた。
上手く隠れながらやって来た場所、それは《始まりの樹・アラゴルン》だった。
周りから悲鳴が聞こえている。恐らくコクロゥが情け容赦無く人の命を奪っているのだろう。
しかし今、自分にはやらなければならないことがある。それを疎かにするわけにはいかない。そう、失敗するわけにはいかないのだ。
そうして《アラゴルン》のもとへやって来た時、その傍には小さな男の子がいた。獣耳をピコピコ動かして可愛らしかった。
そして男の子はこちらを見上げると、
「ねえねえ、なにかあったの?」
今この国で起こっていることに気がついていないらしい。
だが答えるわけにはいかず黙っていると、
「えへへ、まあいいか。ねえねえしってる? このおっきなきはね、ぼくたちのまもりがみなんだって」
「…………」
「だからみ~んなこのきがすきなんだぁ~」
すると近くで爆発音が聞こえ、建物が炎上しているのが見えた。男の子も爆発音を聞いて身を怯ませている。
「…………ここから離れるんだ」
「え?」
それだけ言うと、ローブの下から一つの短剣を取り出す。
その短剣からは禍々しく思える赤黒いオーラが滲み出ている。男の子もその短剣を見てゾッとしたような表情を浮かべた。子供でも感受性の強い獣人だからこそ、この短剣が持つ悍ましさを感じ取ったのかもしれない。
そんな短剣を《アラゴルン》に向けて突き刺すように構える。
「え……な、なにをするの?」
当然男の子は四角絵の男に対して疑問の声を上げる。その瞳は不安気に揺れている。しかし男はギリッと歯を噛むと、
「…………ごめん」
そのまま力を込めて《アラゴルン》に短剣を突き刺した。
「ああっ!?」
男の子の叫び声が聞こえるが、ジッと前だけを見据えていると、短剣に宿っていた赤黒いオーラが、《アラゴルン》に注入されていくように移動していく。
「な、なんてことするのっ!? ねえ、それとってよぉ!」
ローブを掴んで揺する男の子だが、無視して立ち続ける。しばらくそうしていると、《アラゴルン》の様子が変化していく。
鮮やかな緑色をしていた葉が、枯れた葉のように焦げた茶色のような色に変化していった。それを見ていた子供もこれ以上ないほどに目を見開き口を開けて硬直している。
生命力を感じさせていた太い枝も、力を入れるとすぐにでも折れるような細木になっていく。
「ねえ! これどういうことっ!?」
もちろんこの状況を生み出したのが男の仕業だと思い事情を尋ねてくる。しかし男の任された仕事はまさしくこの状況を生み出すことだった。
これで間違いなく任務を完了できたと思い安堵すると同時に、子供の悲しそうな顔を見て心が痛んでしまう。
(けどこうしなきゃ……)
フードの中で歯噛みしながら拳を震わせる。
するとそこへスタッと上から誰かが下りてきた。
「どうやら仕事は終わりのようだな新入りィ」
コクロゥと呼ばれる男だった。
「ねえねえ、おにいちゃん! このひとがきをいじめたの!」
コクロゥは素顔を見せている。その頭には自分と同じ獣耳が生えているので頼ったのだろう。しかしそれは間違いだった。
「あァ? うっぜェガキだなァ」
――バキッ!
男の子を容赦無く蹴り上げた。
「よせっ!」
思わず四角絵の男はコクロゥに向かって叫び、上空から落ちてくる男の子を受け止める。
「うぅ……」
「大丈夫か?」
「う……」
男はキッと視線をコクロゥに向ける。
「はァ? なになにその目ェ? いいかァ、テメェはただの捨て駒だァ。捨て駒は捨て駒らしく黙って仕事だけしてりゃいいんだよォ!」
コクロゥに今度は男が顔を蹴られる。
「ぶっ!?」
男の子を抱えながら地面に倒れてしまう。その際にフードが取れて素顔が露わになる。
「立場を思い知るんだなァ。なァ、勇者様ァ?」
そう、四角絵の描かれたローブを着用していたのは、この世界に召喚された青山大志だった。
「くっ……」
そこへ国民たちが次々と集まって来た。
「おい『人間族』だ!」
「本当だ!」
「まさかこれは『人間族』の仕業か!」
大志の姿を見て、次々と発言が飛び交う。大志も慌ててフードを被り直す。
「ケハハ! あらあ~らァ、正体分かっちゃったねェ」
コクロゥは楽しそうに言ってくる。
「もう用は済んだんだろ? ならここからさっさと……」
「あァ、テメェは先に行ってろォ。俺はもう少し遊んでから戻るからよォ」
舌舐めずりをする彼に寒気を感じる。
「も、もういいだろ! これ以上殺すことなんか……」
「黙れェ」
「ぐ……」
首をガシッと掴まれ息ができなくなる。
「誰に指図してんだコラァ」
「あぐ……」
子供を抱えているのでそのまま手を離して落とすわけにはいかない。コクロゥは大志を地面に投げつけると、
「二度は言わねェ。さっさと行けェ」
激しく咳き込みながらも、腕の中にいる男の子をゆっくりと地面に寝かせる。
「あ……」
男の子と目が合う。
「……ごめんな。でも……」
悔しそうに言葉を飲み込むと、黙って立ち上がりそのまま去って行った。
兵士たちが追おうとするが、
「おおっとォ、あんなカスより俺を楽しませてくれよォ! ケハハハハハ!」
コクロゥが立ちはだかり、そして残虐非道にもその凶刃を振るい始めた。
「――――――――――はあはあはあ……っ」
真っ直ぐ国を抜けた大志は、力無く膝を折り木にもたれかかる。
「くそぉ……ごめん……ごめん……」
頭を抱えながら何度も謝罪の言葉を繰り返す。
(好きでこんなことをやってるんじゃないんだ! 俺は……俺は……っ!)
ドンと木に頭をぶつける。
「…………千佳……」
国から聞こえる爆発音や悲鳴を聞きながら、虚ろな表情で空を見上げて呟いた。
※
【獣王国・パシオン】が襲撃を受ける前、【ヴァラール高原】にあるクレーターの中では『魔人族』と『獣人族』の決闘、第四回戦がすでにゴングを鳴らしていた。
参加者であり決闘の中で王の役目を担っているオーノウスは、目の前にいる射殺さんばかりに睨みつけてきている者に対して口を開いた。
「こうして相見えるのは【ハーオス】以来か?」
「へっ、俺様は運が良いな。早々にテメエにリベンジかませるなんてよ!」
彼は【パシオン】の第二王子であるレニオンだ。過去に一度この二人は相対していた。
その時は見事にオーノウスが彼の腹に一撃を与えて意識を奪うことに成功したのである。
だが捕縛しようとしたところ、そこに現れた《三獣士》たちによって阻止されてしまった。
どうやらレニオンはその時のことを腸が煮えくり返る思いをずっとオーノウスに抱いていたようだ。
「この決闘じゃ、俺様たちは互いに王同士だ。どちらか強え方が勝つ。分かり易くて良いよなぁオイ」
まるで獣が獲物を見つけたように口元を歪めている。
「調べたぜ? テメエは『魔獣』なんだろ?」
「…………」
「同じ獣の血を引く者同士だ。楽しく殺し合おうぜ!」
「…………フッ、血気盛んな若者だ」
オーノウスもどこか楽しそうに言葉を吐いた。
「しかし忘れてはいないか? この決闘は俺たちだけではないのだぞ?」
「あ? 他の二人のことか? アイツらはアイツらで楽しめばいいだろうが」
「……ほう、お主のパートナーはそれほど信じられるのか? こちらは魔軍総隊長だぞ?」
この第四回戦は二対二の戦いになっていた。
そしてオーノウスのパートナーは魔軍総隊長のラッシュバルである。《魔王直属護衛隊》に次ぐ実力の持ち主だ。生半可な実力者では相手にもならないだろう。
だがレニオンは、自分のパートナーが倒されてタイマンが邪魔される可能性を考えていないような発言が見える。
それ相当の実力者なのだろうとオーノウスは自身の意見をレニオンに言うと、彼は何だか難しい表情を浮かべた。
「……どうしたのだ?」
「いや、まあ……な、ハッキリ言ってあのヤロウはレベルも激低いし戦い慣れてなんかいねえな」
「……は? そんな者をこの決闘に参加させているのか?」
「……まあ、けどな、どうも釈然としねえんだけどよ」
「……?」
「ヤロウが負ける姿も想像できねえんだわ。親父と一緒でな」
その言葉には素直に衝撃を受けた。レベルも低ければ戦闘経験もそうは無いらしい。それなのに、レニオンは奇妙な信頼をパートナーに向けている。理由が分からない。
「強いのか弱いのか分からないが、負けることは無い……と?」
「まあ、少なくてもよ、俺たちの決着が着くまでは粘ってくれるんじゃねえか? だから始めようぜ? こっちはもうウズウズして爆発しそうだしよぉ!」
レニオンは大地を強く蹴って向かって来た。
「こちらにはもう後が無い! 全力で倒させてもらうぞ!」
二人は火花を散らしながら激突した。




