表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/79

72,サラさん、奴隷商人をはじめるpart5。

 

 奴隷ギルド〈シロネコトマトの愉快便〉は、知らない間に大手の配達業者と契約を結んでいた。

 これは信じがたいことだが、契約書類には確かにそう明記されているのだ。


「うーん。でもおかしいよ、ミィくん。ギルドメンバーはさ、ギルマスのケイト、あたし、そしてミィくんの二人と一匹だけ。でもケイトは行方不明だし、一体誰が契約したというのだろうね。この謎はきっと永久に解けないにちがいない」


 メイド服に隙のないライラエルがはたき片手にやってきて、


「お嬢様、奴隷ギルド拠点のお掃除を済ませました。何か御用はありませんか?」


「……謎が解けた。そういえば、ライラエルがいたんだっけ。もしかして奴隷ギルド〈シロネコトマト〉のために、大手配送業者と契約した? 奴隷を配送するために?」


「はい、お嬢様。将来的には奴隷配送ネットワークもまた、奴隷ギルド〈シロネコトマト〉の構成員で成すべかと愚考いたします。ですが現段階では現実的ではありませんので、このように大手配送業者と契約を結び、奴隷の配送を恙なく行うことができれば、と思います」


「ふーん。いい仕事するんだから」


 いい仕事をしすぎたのではないのか。


 4人のJCは、すでに配達業者によって、奴隷売買ネットワークにのせられてしまったのだ。

 さすがにこれはやりすぎたと、ちょっぴり思ったらしいサラ。

『ちょっぴり』というのがみそだが、さっそく配達業者と連絡を取り──ライラエルが──まずは4人のうちの一人の配送先を突き止めた。


「これは貴族御用達の少女娼婦が売りの高級娼館! ……処女膜の責任を負わされるから、助けるのはやめておこう」


「にゃぃ(まだ処女膜は助かるかもしれない!)」


「そうだね、ミィくん。善は急げだ! 正義のために~!」


 結果からいうとダメだった。


 とりあえず娼館の経営者と話し、買い戻す。このさい、『せっかくの上物を安々と手放せるか』と経営者がごねるので、『うちに喧嘩を売って、キミのご家族の安否が心配だよ』と、サラがオーラばっちりで脅かす必要もあった。


 とにかく、一人目を回収。

 しかし、JCその1の心の傷は深い!


「まぁ、人生いろいろだよね。物事のいい面をみていこう。キミはもう経験者だ。次に学校にいったときに自慢できるよ」


 慰め下手。


 アークは毛づくろいしながら、うちの飼い主はこれでも善人枠なのだからなぁ、つくづく思う。

 だいたいこの世界の全体的な倫理レベルが落ちているので、サラでもまだまだ善良代表でいけるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ