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69,サラさん、奴隷商人をはじめるpart2。

 

 サラ=ロッキンダム。

 19歳。19歳。19歳。


 独立ギルドにして、何でも屋〈名前はまだない〉のギルマス。

 ジョブは〈ソードナイト〉。


 剣術スキルのlevelはMAXまで上げており、複数の奥義を会得している。仮にいま冒険者ギルドに戻れば──先日、ギルド本部で大暴れしたので、いよいよ不可能だが──Sランクはかたい。


 そして、凝るときは凝る。

 今回、この凝り性が発揮されたことは、ある一部の者たちにとっては大きな不幸となった。


『生意気なJCたち』、サラを『おばさん』呼ばわりした時点で万死に値する、彼女たちを奴隷として売り飛ばすにあたり、手始めにはじめたことは、王都の奴隷商人を殲滅することだった。

 サラいわく、


「わたしは独占することが好きだから、まずは同業者をフルボッコして、人生辞めていただくことにしたわけ」


 王国には独占禁止法がどーんとあるが、そもそも奴隷商売が違法なので、それさえも関係がない。

 というわけでサラはまず自宅に戻り、愛猫を抱き上げる。


 アーク(ミィ)はあくびしながらサラを見やった。


「にゃあ(気持ちよく寝ていたのに、なんだ?)」


「奴隷商人を殲滅しにいくよー、ミィくん」


 この時点では、アークは『奴隷商根絶のクエストを受けたのか?』くらいにしか思わなかった。何より、最近は『居眠りが趣味』と、すっかり猫気質になったこともあって。


「にゃぁ(まぁ、援護は任せろ。とはいえ、いまのお前なら、ここいらの奴隷商人くらい、敵ではないだろうがな)」


〈名前はまだない〉はここのところ、冒険者ギルドの情報網をいくつか頂戴している。というのも、この手のクエスト商売は、腕っぷしの強さもさることながら、情報が命。

 そして今や明確に冒険者ギルドが商売仇である以上、その情報網を奪うことは、二つの旨みがある。


 すなわち、自らの情報力を高め、かつ冒険者ギルドの情報力を弱体化させる。

 少し前までは、サラもそこまで大きな敵対行為は示さなかったが、確かにこれは向こうからはじめたこと。先日、『密室殺人』でサラたちを釣って、危うく別次元に取り込まれるところだった。


 そもそも、その一件以来、いまだにケイトが行方不明だし───


(うーん。まぁ、そのうち助けるよ、大・親・友。しかし、いまは私の名誉を守り、くそ生意気なJCどもに、地獄とはなんたるか教えるときだ。親も学校も教育しないのならば、このわたしが、良きサマリア人となって、このわたしが、大いに教育に貢献するときだ。ところで良きサマリア人って、なんだっけ?)


 とにかく、サラはさっそく、奪ったばかりの情報源のひとつを活用。

 数時間後には、王都内にある全奴隷商人、すなわち奴隷売買組織の拠点が記されたMAPを入手していた。


「近いところから、ボコっていこー」


 アークは思った。


(王都内にいる奴隷商人たちは知っているのだろうか。知らないだろうなぁ。自分たちの余命が、あと半日以内ということに)

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