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58,課金しようpart6。

 

 さっそく『悪魔の発明』込みの天井システム(すりぬけ有り)を、〈課金ポケット〉中枢アイテムに打ち込もうとするサラ。


「ふむふむ。それでこの中枢アイテムの取り扱い説明書はないものかな。なんだろう。ここに親指でもおくのかな?」


 たしかに中枢アイテムには親指を置くようなくぼみがあり、サラがそこに自身の親指をおく。アークが《識別眼》で見たところ、これは指紋認証を行うもののようだ。とするとサラでは反応しないのでは?


 そこまで考えたとき、反射的にアークは、猫として毛を逆立てた。何かおぞましいものがやってくる。臨戦態勢。殲滅魔術で立ち向かおうとしたが、ふいに戦意が消えてなくなった。これは無理ゲー。

 忌まわしい影が這い出てきたかと思うと人の形となり、アーク、サラ、ケイトを見下ろした。ケイトは白目をむいて気絶する。サラはなんとか意識は持ちこたえたが、その場で尻もちをついた。


「ミィくん……腰が抜けた」


「……にゃあ(そこを動くな)」


 なるほど、これが五大悪の一体か、とアークは感心した。ネームドの悪魔が一体。どれかは分からないが、とにかく桁が違う。猫に転生する前でも、まず歯が立たなかっただろう。

 その悪魔は──のちにベリアルと分かるが──サラとアークを興味ぶかそうに見やった。


「我を前にして意識を失わないとは、そこの小娘、みどころがある。そして貴様は──ただの猫ではないな。転生体か。案ずるな。貴様たちを殺すつもりはない。〈課金ポケット〉の管理者が変わったようだから挨拶にきたまでだ。それと、」


 小瓶を取り出し、テーブルの上に置く。


「新たなホムンクルスの種だ。これを使い、次なるピックアップキャラを作るがいい」


 ビジネス相手で良かったものだ、とアークは思った。この悪魔と敵対していたら、いまごろ想像を絶する方法で殺されていたことだろう。

 アークの期待どおり悪魔は去ろうとしたが、ふいに思い出したように言った。


「そしてノルマを忘れないことだ」


 それから現れたときと同じように消える。だが最後の言葉、なかなかに引っかかる。嫌な予感がするレベルで。

 サラも同感だったようで、アークを見やる。


「ノルマって、なに?」


 ノルマが明らかになったのは、地下室に閉じ込めていた元運営スタッフの口を割らせたから。

 その者によると、毎月決まった額の課金を徴収し、悪魔ベリアルに上納していたということだ。その額というのが、資金豊富な〈名前はまだない〉の視点からしても、目が飛び出る額。50億クレジット。ちなみに上納金が足りないと、魂を取られるそうだ。


「これは、廃課金者を大量に作らねばならないよっっっっ!」


 と決意をあらたにするサラ。運営から逃げる選択肢は考えなかったようだが、一度ベリアルと対面している以上、それは賢明な判断か。


「にゃあ(あぁ……わが相棒が暗黒面に落ちてしまった)」


 とはいえ、ほかに方法もなさそうなので、アークも応援することにした。

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