55,課金しようpart3。
別に、サラの課金運は神がかってはいなかった。
星5メイドのライラエルを初回10連で手に入れ味をしめたサラは、まず次なるガチャを回すため、ガチャ石を購入。
このガチャ石とやら。最低購入数が160個から。160個で1回のガチャを回せる。10連のほうがなんかお得感がある、という発想で、サラは1600個を購入した。
「次はどんな☆5の可愛い女の子が出てくるのかな!」
「にゃあ(ワクワクしているところ水を差すが、排出率からして、そうそう出るものじゃないぞ)」
結果。☆5どころか☆4も出てこず、☆3アイテムが10個出てきた。内容は『ひのきの棒』×8、『木の盾』×2。
「これ、ごーーーーみじゃない! ごーーーーーーーーみじゃない!」
「にゃあ(まぁそんなものだろうな)」
「次こそは、次こそは、虹色確定演出が来るはず、次こそは」
アークの嫌な予感は的中。脳汁ドバドバに弱すぎたサラ。あっけなく陥落、ガチャにはまる。300連ほどまわして、☆5はゼロ。☆4武器を13個ほど入手したが、どれも剣士であるサラには不要。かつダンジョン攻略経験者(ついでにダンジョンの一部所有権まで持っている)身からすると、☆4でもゴミ武器枠。ただし☆4なら、武器屋が買い取ってくれそうだが。
ちなみに300連のために使用したクレジット額は、ゆうに一般市民の平均月給に到達するほど。〈名前はまだない〉は資金豊富なので、今のところは痛くはない。が、こんな調子なので、王都内で借金してでも課金している者が増えるのも仕方ない。
サラは怒りの拳を振り上げていた。
「この課金システムには問題があるよ! そこでわたしは天井というシステムを提案します。 これは『ガチャの最低保障』であり、一定額の課金をすると好きなキャラクターが絶対に入手できる、というもの。わたしがいま発明したシステムだよ、ミィくん」
「にゃぁ(なぜだろう。お前が発明したシステムには到底思えない。パクったとしか思えない。この不思議な違和感)」
サラはアークの指摘など気にせず(そもそも理解できていないが)、こんなときだけ現れる熱心さで言った。
「よし、〈課金アイテム〉の運営もとを突き止め、この天井システムを取り入れてもらおう」
「にゃぁ(サラ。お前、当初の目的が違っていないか? 消費生活局の依頼ということを忘れるなよ?)」
「ふーん。でも手がかりがないなぁ。ライラエル。君、自分がどのように生まれたか記憶はあるの?」
「いいえ、お嬢様。生まれる前の記憶は闇黒しかありません。意識が目覚めたときが、お嬢様に引いていただいた瞬間です。お役にたてず申し訳ございません」
「うーん。手がかりは少ないみたいだ。こういうときはミィくん頼み。頼むよ、ミィくん!」
「にゃあ(飼い主ガチャに失敗した)」




