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52/79

52,だいたい自分の仕事の成果は誇張する。

 

 王城を出たのち、サラとアークは、事前に決めておいた場所で、ケイトとドーグを待った。


 そこは質素な酒場であり、なぜここが落ち合う場所になったかといえば、サラの「祝杯をあげねばならないよ」という一言から。

 そのサラは、二人を待っている間に、先に一人で祝杯(「お試し祝杯」と当人は言った)で葡萄酒を飲み、酔いつぶれていた。

 そんなサラの頭の上にのって、アークは鳴いた。


「にゃあにゃあ(なんて酒に弱いんだ。たかが葡萄酒一杯で。おれも飲みたいが、猫に転生した以上、酒はやらんぞ。やらんぞ)」


 鋼の意志で我慢していたところ、ケイトとドーグが店内にやってきた。

 ドーグは、意識のないサラを見て、なぜか追悼風に言った。


「そうか。おれたち〈名前は知らん〉のリーダーは、雄々しく戦い、息絶えたのか」


「にゃぃ(違う。ただ酔いつぶれているだけだ。一杯の葡萄酒で。そしておれたちのパーティ名は〈名前はまだない〉であり、サラに意識があったらぶん殴られている間違いだぞ)」


 ケイトが冷ややかに言った。


「サラはお酒に滅法弱いだけ」


 その後、ケイトとドーグも酒と軽い食べ物を注文。席につき、一息ついた。それからまずケイトが話すには、まず冒険者ギルドは結局、作戦に参加しなかったらしい。

 そのためケイトとドーグは、王都騎士団との協力で、〈シグマ〉拠点鎮圧となった。が


「〈シグマ〉拠点には高火力重視の上級ウィザードが三人、すでに連携魔術を組み立て待機していた。あの広範囲の火炎魔術──王都騎士団の防御結界はすぐに破壊された。しかし、わたしの絶対防御スキル《オルロン》が、全騎士団員を護りぬいた」


 つづいてドーグが語るには、


「そしてオレの出番です師匠。騎士団員たちが動きがとれねぇ間に、オレは単身で拠点に突っ込み、まずは上級ウィザードどもを、魔術剣で始末しました。この手のウィザードは、接近戦にはとんと弱いと相場は決まっているんで。オレの合図で騎士団も突撃し、拠点〈シグマ〉勢は総崩れとなったんですよ」


 ケイトがまとめた。


「わたしたちがいなければ、騎士団側の被害は甚大なものとなったはず」


「……にゃあ(おまえたち、話を盛ってないだろうな)」


 とにかくケイトとドーグが活躍したことは事実のようで、後日、王都騎士団より〈名前はまだない〉へ、正式に感謝が述べられた。とくにケイトは、名誉騎士に任命されるほどに。


 こうして今回の同時進行クエストは無事完了。

 結果的に、〈シグマ〉が王城を落とし、王が吊るされたが、そんなことで王国が揺るがされることはないのだった。

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