表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/79

5,技能レベル大事。

 

 どんな要望も、探せば満たされる。


 あるとき。アークが路上を歩いているとき──ちなみに野良猫と間違われて駆除されないよう、サラから首輪をつけられている──見知らぬ新米の冒険者二人の会話を小耳にはさんだ。


「西方山脈には、初心者救済ダンジョンがあるとか」

「『休載』?」

「違う、『救済』だ。上級者パーティに紛れ込んだ初級者が、自分だけレベル上げに勤しめる。このダンジョンのいいところは、死にかけると、自動で外に出してくれるらしい。ワープってやつで」


 これは、実力不足のサラを鍛えさせるにもってこいだ、とアークは思った。

 そこで宿の部屋でぐうたらしているサラのもとにいき、「にゃあ」と呼びかける。


 救済ダンジョンに導くまでに数十分ほどかかったが、だいぶ「にゃあ」でも通ずるようになってきた。


 今回、ケイトは留守番。というより居所不明。サラが言うには、よくあるらしい。

 救済ダンジョンを前にして、


「分かるよ、ミィくん。わたしに実力を証明しろ、というんだね」


「にゃい(以前のクエストで実力不足が証明されたから、こで実力を高めろ、という話だぞ)」


「うんうん、分かる分かる」


 あまり分かっていないサラは、ブロードソードを手にして、単身ダンジョン内に入った。

 数分して、入口に空間転移してくる。ダンジョン内で死にかけたらしい。

 それを五回ほど繰り返したところで、サラが絶望した様子でがっくりした。


「ミィくん! わたしは、どうしたらいいのでしょうか?! はじめの中ボスのミノタウロスに、まったく勝てないんだけど!!」


 よくよく考えると、アークは剣術には覚えがない。魔術師として己を高めるため拳闘士として鍛えていたら、知らない間にそっちのスキルも会得していただけで。


「にゃぁ(ちょっとそれを貸してみろ)」


「え、これ?」


 サラからブロードソードを借りたミィは、まず黒魔法level5《封印》で、己の魔法と拳闘スキルを封じた。

 こうして剣一本の状態でダンジョンを進む。ダンジョン生成型モンスター(つまり魔物の模造品)のスケルトンたちを、斬り捨てていく。


 しばらく同じところを巡回したところ、剣術スキルlevel1《斬撃飛ばし》に覚醒する。

 剣術の弱点である射程短いを補うスキルだ。これを伸ばすことにして、さらに同じところを巡回。


 剣術スキルlevel3《斬撃飛ばし:昏》を会得。飛ばした斬撃を当てた敵に、五秒ほど『盲目』状態にするデバフ付き。


 もういいだろうと進み、はじめの関門らしいミノタウロスと戦う。

 ミノタウロスの動きは、ダンジョン生成だけあって、15パターンしかなかった。これはレベルが低くとも、『覚え』でいける。


 ミノタウロの大技をまって右回避。隙を見せたところを、《斬撃飛ばし:昏》クリティカルで、盲目状態付与。この五秒で、畳みかけて、撃破成功。


 ここでいったんダンジョンの外に戻ると、剣術技能のレベル(つまりジョブ全体のレベル)が、5になっている。


「にゃぁ(サラ。とりあえず、剣術のはじめのコツみたいなのは掴んだ。ひとまず【スキル伝授】で、《斬撃飛ばし:昏》を会得するところからはじめるぞ)」


「ミィくん。半時間で、わたしより剣術技能レベル上げてこないでくれる? さすがに心が折れるんだけど」


「?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ