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48/79

48,同時進行クエストpart3。

 

 ポーションもそろえたことだし、あとは出発するだけとなる。


 ここで強い絆で結ばれたパーティならば、互いの武運を静かに祈りあうところだ。

 が、〈名前はまだない〉は不仲ではないが、特段、強い絆的なものとも無縁なので、淡々と進むことになる。


「ところでサラ。この八方美人的な不義理な同時進行クエストだけど」とケイト。


「え、褒めてる?」


 わざとなのか天然なのか、サラのこの空気の読まない発言に対して、アークは鳴き声を上げた。


「にゃあ(いや、ただの皮肉だろ)」


 ケイトはうなずいてから、


「どこまでやるつもり? とくに、そっちは?」


「つまり?」


「王城を〈シグマ〉が落としたら、革命が成功してしまう」


 サラは頭をかいた。


「えーと。それはミィくんが、どこまでやる気になるのか、にもよるけど」


 全員の視線を向けられ、アークは『なぜ猫に転生したのにこんな決断を迫られるんだ』と疑問に思った。


「にゃあ(それなりに)」


 その後、〈名前はまだない〉は二手にわかれ、サラとアークは〈シグマ〉主力と同流するため、指定ポイントへ向かう。そこからさらに地下通路を使って、王城の近くまで出るという。このときサラははじめて、〈シグマ〉を率いるリーダーと会うことになった。


 まだ20代の、濃緑色の髪をした女性で、魔導シリーズの弓を装備している。見たところジョブはアーチャーなのだろう。彼女はサラとアークを見つけると笑顔で歩いてきて、クローバーと名乗った。


「サラさんですね。何度か〈シグマ〉の革命運動を手助けしてくれたようで。今回も頼りにしていますよ」


「はぁ。頼まれると断れないパーティというだけなんだけどね。ところでもしかして、王を討ったあとは、あなたがこの国を統治する考えなの?」


「革命の先のことは考えていませんよ」


 アークとしては、それは無責任すぎる気もする。とはいえ『部外者』であるサラに、すべてを明かすわけもないのか。

 サラも似たような結論に達したようで、余計なことは言わず、アークを抱き上げてつきつけるようにした。


「はい。こちらが、うちの自慢の猫。ミィくんです」


 とたんクローバーがくしゃみを連発しだす


「す、すみません、その猫を遠くにやってください。わたしは、猫が近くにいると、くしゃみがとまらなくなるのです」


「あ、すみません」


 アークを抱いたまま、そそくさとクローバーから離れるサラ。


「ミィくん。なんだか、嫌な雲行きだよね? そう思わない? 王城を落とせるかどうかはミィくんにかかっているのに、向こうのリーダーは猫と相性が悪いなんて。嫌なー、予感がー、する」


「にゃぁにゃあにゃあ(まぁ猫アレルギーは仕方ないだろ。体質だしな。というより、お前、いまのはアレだぞ)」


「ミィくんがいつものようににゃあにゃあ鳴いている。可愛い」


「にゃぁ(余計なフラグをたてたな)」

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