表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/79

40,治安維持part2。

 

 サラとアークは、つらなった建物内を移動することにした。これによって隠密裏に、次々とならず者たちを片付けていくことが可能。


 ならず者と一般市民の見分けかたとしては──まず序盤、サラは『自分を見かけて攻撃してきたら悪党でいいよね』という、それなりに筋の通った判断。


 しかしアークは、この考えに致命的な欠陥を見つけ、なんとか猫語で指摘。つまりサラは武器を持っているのだから、仮に善良な市民が紛れていても、今度はサラを『ならず者』と誤解し、先手必勝で攻撃してくる可能性もゼロではない。


「ふむ。ミィくん、心配性だなぁ。だけど、その可能性もゼロではないというのなら」


 サラは剣を鞘に納めて、両手を上げて移動。さすがにここまで無防備アピールしているところに攻撃してきたなら、それは『ならず者』でいいだろう。

 サラの抜剣速度は、敵からの攻撃を待ってからでも十分すぎる。少なくとも、ここにいる雑魚どもではサラを止めることはできず、彼女が通った後には、半殺しの目にあったならず者たちが転がっていた。


 ざっと8割ほど、この区画を回ったところで、サラは指摘した。


「ここ、悪人しかいない説」


「にゃいのにゃあ(ならず者たちの拠点になっているようだ。が、これが人里離れた地にある村とかならともかく、王都内の一区画というのは、これはどういうことだ。治安維持をつかさどる騎士団は何をしているのか)」


「……ミィくんさ。また猫のくせに難しいことを考えているようだけど──そんなに頭を難しく使っていると、あれだよ、ハゲるよ」


「にゃぁぁぁ(おれはまだ若い猫なんだから、ハゲてたまるか!)」


 建物内を確認し終えたところで、外に出た。この通称ならず者区画、治安レベル最低のこの区画は『コの字型』に建物が並んでおり、アークたちが出たのは、いわば中庭のような開けた場所。

 そこでは一般市民──の死体が転がっており、近くでは奪い取ったばかりの金目のものを数えている、大柄な男がいた。その男の近くには、大樹のような棍棒が置かれている。

 一目見て、これは今までの雑魚ではないな、と分かる。おそらく頭領だろう。


 その大男が、こちらに気付く。棍棒に手を伸ばしながら立ち上がった。


「てめぇか、さっきから殺気をばんばん飛ばしていやがったのは。オレ様の縄張りに入るとは、いい度胸だな。その身体、叩き潰して豚の餌にしてくれる」


「できたらねー」


 サラは軽く跳んでから、剣術スキルlevel3《斬撃飛ばし:昏》を発動。飛ばした斬撃を当てた敵に、五秒ほど『盲目』状態にする技。

 まともに食らった頭領は、「ぐぁぁ、これはどういうことだ!? 何も見えんぞ!!」などと、喚きだした。


 そこをサラのトドメの致命の斬撃がぶちあたる。頭領に限っては、容赦なく息の根を止める。


 アークはあくびした。

 確かにこれまでの雑魚たちとは違うが──いまさらサラの敵ではないのだ。


 サラは血を払ってから剣を納めた。


「さてと。ボランティアと食後の運動を同時に行い、一石二鳥の上機嫌さのまま帰宅するとしよっか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ