33,うまい話にはpart4。
先に合図がわりの『シャーマン撃破』をしてしまったので、すっかり手順が狂う。
シャーマンの配下たちが、混乱した様子で暴れ出すなか、ケイトがほかの囚われた人たちを先導。
一方、サラはどこに消えたかと思えば、自分の長剣を探しだして戻ってきた。自力で脱出し、奪われていた武器を取り戻してきた、というわけだ。
それから斬撃で手近の闇種族の手下を吹き飛ばし、アークのもとにくる。
「ミィくん。さっきの手順、忘れたの? もう、鶏じゃないんだから、三歩歩いて忘れないでよー」
「にゃぁ(屈辱だ)」
「もう冗談だよ、ミィくん。久しぶりにミィくんを呼吸しなければ」
アークを抱き上げて、すーはーしたがるサラ。
「にゃあ(やめろ!)」
「ミィくん。猫としてもっと素直でないとダメだよ。ところでこれからどうしよっか?」
シャーマンという司令塔を失ったことで、闇種族の戦闘員たちはそれぞれ勝手に動いているようだ。そういえばこの種族、グーダ族ではないか──といまさらながら該当種族に思いあたるアーク。
「にゃぁ!(よし、ついてこい!)」
「あ、ミィくん、出陣?」
囚われていた人たちも、まだ自力で逃げていくことができる者もいれば、歩くのもままならないくらい疲弊した人たちもいる。助けが必要な人たちのもとに行き、近くにいたグーダの戦闘員を排除していく。こうして遺跡跡地から、ほとんどの囚われ人が脱出できたころ、サラが別の問題を見つけてきた。
保管庫に、採掘された大量の魔石が、乱暴に山積みにされていた。まだ精製こそされていないが、これはだいぶ危険。
「さて、ミィくん。この魔石の山、どうしよう?」
魔石といえば、魔道具の材料になる。よくよく考えると、この地下遺跡から、これほど大量に採掘できたのも不可解。
「にゃいのにゃぁ(さてはこれらの魔石は天然ものではなく、錬金術で創られたものか。この遺跡そのものが、巨大な錬金釜の役割を担っていたのもかもしれない。かつて遠い昔だ)」
「ミィくん。また猫のくせに難しい顔をしちゃって。猫じゃらしで反応するくせに」
「にゃあ(それは一度だけだ!)」
あれは猫の本能に逆らえなかった。
それはそれとして、これらの魔石は仕方ないので、収納魔術で異空間に保管しておく。そのさいざっと数えたところ、総重量は185キロ。しかし、長期にわたって採掘されたのならば、これは最近の分だろう。ここにないのは、すでに闇ルートに流れたあとか。
「あ、ケイトだ。よし、ミィくん。わたしたちも脱出しよう。にしても、今回もタダ働きだったなぁ。まぁ囚われていた人たちを助け出すことができたのは良かったとげも。ところでミィくん、さっきの魔石って、もしかして売れたりするの?」
「にゃあ!(血迷うな)!」
「もう聞いただけだって」




