24,ごーごーpart1。
西方監獄にようやく到着。
西方山脈の奥深くに聳える堅固な石造りの建物。王都内にも監獄はあるが、こちらの西方山脈版は重罪人専用となっている。
それにしても、とアークは思った。しばらく顔を見せないと思っていたところ、まさかこんなところで収容されているとは。ドーグ当人は冤罪と主張しているらしいが、なんともいえない。
「にゃぁ(ここがドーグが収容されている監獄か……無駄に遠回りしたが、直線距離だと2日もかからないんだがな)」
「ふっふっふ。ミィくん。わたしの脱獄プランを聞きたいようだね。まずわたしたちにとって大事なのが、この脱獄に〈名前はまだない〉が関与していると、思わせないことだよ。せっかくパーティランクが上がってきたのに、ここで脱獄に手を貸したと知られて、ケチをつけたくないからね」
「にゃぁいの(とすると、そもそも〈名前はまだない〉の一員が収容されている時点で、だいぶ不名誉ではないか?)」
「とにかく脱獄させてから、冤罪を証明する。わたしたち、いつになったら悪魔退治にいけるのかなぁ?」
「にゃい(知らん)」
ところでサラのプランというのは、1,監獄内の様子を確認。2,冤罪で収容されているドーグを発見。3,壁に穴をあけて無事に脱出。
しかし、とアークはいまさらながら疑問に思った。ドーグは魔術を使えるはずだが、なぜ自力脱獄していないのか。それはこの監獄に何か裏があるからではないのか。
ということを考察していたときには、監獄敷地内に入っていた。というのもサラに抱きかかえられていたため。
「ミィくんが自分で歩かないから、抱っこしてあげている。だからここぞで魔術連発してよね」
「にぁ(ふぅむ)」
そんなサラだが、だんだん足取りが重くなっていく。
「うーん。なんだろう、身体が重くなってきた」
「にゃいの(これは、何かしらのセキュリティ魔術か? おそらく面会許可を得ていない者が監獄敷地内に入ると、妨害がかかるのだろうな)」
「うーん。ミィくん、これは何か妨害魔術を受けているの? 助け、てー」
想定よりも強い妨害がかかっているらしく、サラは自力で立っていられなくなった。それに警報の要素もあったようで、看守たちが駆けてくるのが見える。
「にゃぃぃぃぃ(解除魔術《開錠》)!」
「おっと、歩けるようになったよ」
「にゃぁぁぁ!!」
サラのもとから跳び、向かってきた看守たちに拳闘スキルlevel1《拳嵐》を連発し、全員ノックアウトした。武装こそしているが、それぞれたいした戦闘力はなかったのだ。
「にゃぁ(では行くぞ、サラ)」
「ミィくん、この働きものー。これは焼き魚のご褒美だね」




