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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第3章

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第91話 手紙


 トレバーとテイトに休日を全て使った翌日。

 いつものように出勤すると、珍しくレスリーが店の前で仁王立ちしていた。

 基本的に倉庫で何か作業をしていることが多いのだが、今日は誰かを待っているようでソワソワしているのが分かる。


「レスリー、店の前で何をやっているんだ?」

「おおっ! ジェイド、やっと来たか! ずっとジェイドを待っていたんだよ! とりあえず中に入ってくれ!」


 強い力で肩を組まれたかと思いきや、背中を押して店の中へと押し込んできた。

 誰かを待っているとは思ったが、どうやら俺を待っていたようだ。


 有無を言う間もなくレスリーに店内へと押されたのだが、中は特に変わった様子はなく、ヴェラがいつものように欠伸を噛み殺しながら毒煙玉の試作を行っているだけ。


「そんなに慌ててどうしたんだ? 何かあるようには見えないが」

「いいから、この手紙を読んでくれ! 話はそれからだ!」


 レスリーは机の上に置いてあった紙を取ると、俺に押し付けるように渡してきた。

 早速手紙の内容を確認してみると、どうやら以前煙玉を売ったダンジョン街の行商人からの手紙のようだ。


 内容を簡潔にまとめると、金を払うから煙玉の製造方法を教えてほしいとのこと。

 製造方法を教えるのが無理なようであれば、月に三百個の煙玉の購入する契約を結びたいらしい。


「これ、どうしたらいいんだ!? 流石に煙玉のレシピを教えるのはまずいよな?」

「いや、教えてもいいんじゃないか? 色々なことを考えたら、月に三百個作って売った方がいいんだろうが、今の俺達に三百個もの煙玉を作る労働力も材料もないからな」

「それじゃ……煙玉のレシピを教えちまっていいのかよ!」

「金額次第だが良いと思うぞ。コルペールの街で同じ製品を売り出されたとしても、こっちへの影響はあまりないだろうからな。それに煙玉以外にも色々と開発するつもりだから、仮に『シャ・ノワール』で煙玉が売れなくなったとしてもあまり痛くはない」


 そう説明すると、レスリーは腕を組みながら頭を捻り始めた。

 そして考えがまとまったのか、俺の目を真っすぐ見ると力強く頷いた。

 

「ジェイドがそう言うなら、アイデアを売却する方向で返事の手紙を書かせてもらう! いやぁ……まさかアイデアを売る側に回ることになるとは思ってもみなかったぞ!」

「煙玉に関しては販売してまだ日も浅いしな。俺も正直意外な提案だった。ローク草について、世間に知られていなかったのが大きかったのかもしれない」

「まぁ煙を多く出す植物だからなんだって話だもんな! ダンジョンでそんなに需要があるとは思ってもなかったわ!」

「ねね。それより……煙玉のアイデアを売ったとしたら、そのアイデア料は私も貰えるの?」


 ここまで静かに俺とレスリーの話を聞いていたヴェラだったが、そんな質問を投げかけてきた。

 完全に金を求める目となっていて、獲物を狙う魔物のような目にも見える。


「そ、そりゃ当たり前だろ! 俺のアイデアじゃなく、ジェイドの案だからな!」

「ジェイド? 私も少しは考えた」

「なら……ヴェラもか?」

「何割貰えるの?」


 畳みかけてくる質問に対し、レスリーは助けるような視線を俺を向けてきた。

 安くはあるけどアイデア料をすでに貰っているため、俺としては別にいらないのだが……それを言ってしまうと、ヴェラのやる気が一気に削がれるのが目に見えている。


「売れた際と同じく一割でいいんじゃないか? アイデア料を払ってレスリーが既に買い取っている状態でもあるからな」

「えっ! 一割? それは安すぎ」

「別に安くないだろ。白金貨十枚で買いたいって言ってきたら、白金貨一枚も貰えるんだぞ」

「……そんな値段を言ってくるの?」

「それは知らん。行商人との交渉次第だろ」


 がめついヴェラを説得し、アイデア料として行商人から貰った一割を受け取るということで落ち着いた。

 俺としてはレシピを売って得た金を俺達に払うより、新たなアイテム作りに充ててほしいところだが、一割程度なら額次第ではあるけど財布の紐が緩くなると踏んでいる。


 今の内に属性魔石で制作できるアイテムを、ヴェラと一緒に考え始めてもいいかもしれない。

 ヴェラが毒煙玉にこだわっているのが少々気になるけど、そっちも手伝いつつ新たなオリジナルアイテムに着手したいところ。


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