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【完結】勇者殺しの元暗殺者。~無職のおっさんから始まるセカンドライフ~  作者: 岡本剛也
第2章

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第72話 ゴブリンキング


「先週話していたゴブリンキングを止められなかったのか?」

「討伐隊は組んだのだけど恐らく失敗したね。ゴールドランクパーティを二組、プラチナランクパーティを一組向かわせたが、未だに帰ってきていないのだよ」

「ゴブリンなのにそんなに強いのか? ゴブリンと名についているせいで、未だに状況の危うさを理解できていない」

「とにかく数が多いのだよ。それに加えて、ゴブリンキングは周囲のゴブリンを強化する能力を持っている。……ただ、私もこの強さは少し異常だと思っているがね」


 魔物には疎いが、所詮ゴブリンという考えは捨て去った方がよさそうだ。

 数の暴力は本当に恐ろしく、どんな強者も数の前では無力になりうることがある。

 俺も数的不利の時は特に慎重に戦うし、敵が何百人単位の時は退く選択を取る時の方が多い。


「なるほど。総力戦が予想されるのか」

「ああ、そうだ。そのために今は冒険者を搔き集めているのだが……如何せん早朝で思っていたよりも集まっていないのだよ」


 冒険者のだらしなさが出た形になっている。

 このままでは討って出る前に、ゴブリンの群れにヨークウィッチを囲まれることになるのか。


 そうなったらゴブリンが街に雪崩れ込む危険もある訳で、俺としても絶対に避けたい。

 仕方がないが、ここは惜しまず協力した方がいいと判断した。


「……分かった。俺がゴブリンキングを討ってこよう」


 俺がそう言葉を漏らすと、マイケルは歓喜の表情を浮かべた。

 すぐに平静を取り戻そうとしているが、口角がヒクついているのが隠せていない。


「そ、それはありがたい提案だがね……冒険者ギルドとして、何の手助けも出せないのだよ。だから、君に全てを任せることは――できない」


 言葉ではそれっぽいことを言っているが、俺の戦闘を見ているからこそ、その眼差しは期待しか籠もっていない。

 元はと言えば、俺がディープオッソの死体を放置していたせいで、冒険者ギルドの動きを止めてしまった。

 それにこのヨークウィッチには守りたい人がたくさんいるし、俺が蒔いた種なら喜んでやらせてもらうつもり。


「隠密行動を取るつもりだから、手助けはかえって邪魔になる。ゴブリンキングのみに焦点を絞り、群れの頭だけをサクッと取ってくるだけだ」

「い、いや、でもね……お願いしてもいいのかね?」

「構わない。マイケルに恩を売れるしな」

「それではよろしく頼みたい! ……お礼は弾ませてもらうよ!」

「ああ。ゴブリンキングの予想位置だけ教えておいてくれ」


 それから西の森の地図を広げ、マイケルからゴブリンキングが今現在いるであろう場所の目星を聞いた。

 ゴブリンキング自体はまだ森の中心付近におり、ゴブリン達がちらほらと西の森からヨークウィッチに向かって来ているらしい。


 西の森から出られていたら難度は一気に跳ね上がっただろうが、森の中にいるのであれば容易くやれるはずだ。

 ゴブリンキングの強さを把握しておらず、群れの規模感も掴めていないのが唯一の不安要素ではあるが……失敗はないと断言できる。



 マイケルと話を行ったあと、俺はすぐに『シャ・ノワール』へと向かった。

 大通りも既に人で混雑していたが、門は絶対に開かないため立往生している状態。


 そんな人混みを見下ろしてから、俺は『シャ・ノワール』の中へと入る。

 中にはヴェラとニアの姿があり、もちろんながらレスリーの声も店の奥から聞こえてくた。


「あっ、ジェイドさん! この人混みの中、よく来れたっすね!」

「それはこっちの台詞だ。ヴェラもニアもよく出勤してたな」

「私もヴェラさんも家が近いっすから! 騒ぎがあってすぐに駆けつけて来たっす!」

「それより何の騒ぎ? 情報がいまいち入ってこない」

「どうやらゴブリンの群れが近づいてきているらしい。それでパニック状態になってる」


 俺のその返答に、ヴェラは大きく首を傾げた。


「ゴブリン? ゴブリンごときで何で混乱になる?」

「ゴブリンって言っても、ゴブリンキングが現れたって話だ。ヴェラは西の森でのことを覚えているか? ディープオッソが森の入口まで来ていたのは、ゴブリンキングに追いやられていたって話だ」

「へぇー。そこでディープオッソと繋がるんだ。街の外へは逃げた方がいいの?」

「いや、門は開けないと言っていたから逃げられない。二人はこの情報を家族に伝えた方がいいと思うぞ」

「家族は大丈夫っす! 家に待機するように言ってあるっすから!」

「私も大丈夫」


 ということであれば、余計な心配だったか。

 話が一段落したところで、奥からレスリーが出てきた。


「おお! ジェイドもよく来れたな! それにしてもよ……今日が煙玉の発売日ってのに、本当に最悪なタイミングだぜ!」


 手には大量の煙玉が入った箱が持たれており、分かりやすく落ち込んでいた。

 俺も悲しいが、こればかりは仕方のないことだからな。


「明日になれば騒動が収まって売りに出せると思う。焦らずとも良いものなら売れるからな」

「確かにそうだな! ……ん? それって、売れ残っている俺のアイテムが駄目って言ってねぇか?」

「それじゃ三人は騒動が収まるまでは大人しくしていてくれ。俺はスタナのところに行ってくる。スタナにも色々と伝えないといけないからな。――それと、煙玉と火炎瓶を少しだけ借りるぞ」

「おい、ジェイド! 俺の話を無視して行くな!」


 俺を呼び止めてくるレスリーの声を無視し、再び大通りの道へと出てきた。

 ここからはスタナが働く治療院へと向かい、事情を説明してから西の森へ直行する。


 トレバーやテイトにも知らせてやりたいが、二人の居場所が不明だし二人は冒険者。

 この機にゴブリンの討伐に出るのはアリだし、余計なおせっかいはしないようにする。



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