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転生魔王の配信生活  作者: 白神 怜司
最終章 集大成
199/201

【配信】後夜祭&重大発表 Ⅰ




 夢のように楽しい時間というのは、あっという間に過ぎていくものだ。

 気が付けばプログラムはライブ系が終わって、空もすっかり暗くなっている。


《――はい、という訳で、これで私たちジェムプロのプログラムは終了となります! みなさん、楽しんでいただけましたかー!?》


『すごかった』

『楽しかったよ!』

『フル視聴したw』

『マジで時代が変わる瞬間を見た気分』

『めっちゃ感動した!』

『おつかれさま!』


 エフィが司会を務めるジェムプロの最後の企画も終了して、締めの挨拶。

 クロクロのメンバーたちともVCで繋がっているため、そちらにも声をかけて感想を伝え合ったりとエンディングトークが進んでいく。


 そんな配信画面を観ながらも、私、そしてレイネが謁見の間にいる。

 一期生のメンバーたちとはVCで繋がりつつ、お互いにこの3日間を振り返ってはいるのだけれど、気が付けば反省会のようなものをしながらも、ジェムプロのこの配信が終了次第始まる予定となっている、ウチのチャンネルでの配信待機中という状況。


 そんな中、今回のイベントは3人にとっても印象的だったせいか、次回からはこうしたい、ああしたいという意見交換が白熱していたりもする。


《そういう訳で、この3日間、本当に夢のような時間を過ごせたのは、ウチのスタッフはもちろん、クロクロさんのスタッフさんたちのおかげ。そして何と言っても、この凄い設備と新技術を提供してくれた『魔王軍』のおかげ! そこで皆さん、忘れちゃダメですよー! この後、陛下のチャンネルで新技術カメラ、それにスタジオレンタルの詳細発表がありますからねー! マネちゃんガチでスタジオ予約よろ!》


『はーい』

『草』

『使う気まんまんw』

『いや、でもホントに凄かったからねw』

『マジでもう魔法か何かでしょ、これw』

『技術職ですが、さっぱり仕組みが分かりませんwwww』

『個人勢の推しも予約スタンバイ中で開始と同時に予約する予約配信しとるw』

『Vやってる人たちはみんなそうw』


 ジェムプロとクロクロのエンディングトークも終盤に差し掛かり、こちらの配信チャンネルの告知もしてくれたおかげか、放送用の枠に大量に待機人数が増えた。


《ひぇ》


《あららぁ……》


《た、たた、待機人数、だけで、もう50万……》


 リリシアちゃん、ルチアさん、ノアちゃんの3人も待機人数に気が付いたのか、会話が途切れた。

 そんな反応に思わず笑いが込み上がってきた。


「何を驚いておる。おぬしらはこの2日、この倍近い人数に観られている中でやっておったのじゃぞ? そもそも、視聴者がたとえ10人だろうが100万人だろうが、妾たちがやることは変わらんではないか。考えても無駄というものじゃろ?」


《極論過ぎますよっ!?》


《……でも、確かにそうなのよねぇ~》


《み、見えてなければ、い、いないのと一緒……幽霊理論……》


《いやいや、ノアちゃん、さすがにそれはちょっと違うような気ぃするよ!?》


《存在を否定するのとはちょっと違うわねぇ》


《ぇ、ぁ、べ、別にそういうつもりじゃ……!》


『草』

『こーれ気付いてる?w』

『マイク入ってるがww』

『大丈夫かww』

『これやったの陛下だろww』

『めっちゃわっるい笑顔じゃんw』


 急速に速度が上がったコメントの数々。

 対して、ウチの3人は何も気が付いていないようで、それぞれに会話を続けていく。


《でもでも、ノアちゃんって意外と肝が据わってるよねー》


《えっ? ず、図太い女、ってこと……?》


《違うよ!? そうじゃなくて、なんていうか、おどおどしてるけどしっかり台本通りにやれたりするじゃん? 視聴者の人数が多くてもそういうとこ、きっちりやれるんだもん》


《そ、それを言ったら、リリシアちゃんのパフォーマンスと歌の方が凄いよ……?》


《あははっ、私は歌とダンスが大好きだもん。誰にも負けたくないって思うけど、でも、歌とかダンスってそれぞれの良さみたいなのがあるからねー。十人十色っていうか、競い合って一番を選ぶものじゃないじゃん? だから、自分の色の中で、常に最高を目指してるんだー。ルチア姐だってそうでしょ?》


《え、私?》


《常に最高のプレイを目指してるって言ってたじゃん?》


《それはもちろんそうねぇ。特に私は、凄いプレイで魅せてこそ価値があるって思ったからプロだった訳だし?》


《ふぐぅ……っ、クソ雑魚ゴミ虫で配信してごめんなさい……》


《あら、いいのよぉ。ノアちゃんは配信者が寄り添って楽しめるんだもの。需要はしっかりあるんだから》


《うんうん。ルチア姐のは「すっご……!」って感じで、ノアちゃんは「がんばれー!」って感じで楽しいよ?》


《うぅ……ホント……?》


《ホントだよ! ノアちゃんは応援したくなる! 私、そういうノアちゃんの感じ羨ましいもん!》


《愛されているものねぇ。でも、リリシアちゃんのライブもホントに凄かったわよ? 切り抜きとかでもすっごいいっぱいあるでしょう?》


《う、うん、可愛くて、かっこよくて、すごかった》


《ホント!? ありがとー!》


『それはそう』

『わかる』

『え、これ気付いてんの?』

『てぇてぇ』

『気付いてないのにてぇてぇの? マ?』

『おーい、みってるぅー?』

『なんかもう、これだけ一生見ていたい』

『壁になりたいアレ』

『殴られて砕ける壁になるぞ』


 いやぁ、コメント欄の盛り上がり凄いんだけどね。

 3人とも、待機人数だけ見た感じでコメントをあんまり気にしていないというか、まだまだそういうところから情報を拾い上げるという意識が確立していないというか。


 基本的にウチは切り忘れ、ミュート忘れ対策として、VCで仕事前に喋る時はVtuberの名前を言ったり、プライベートの話題はナシというルールを徹底している。

 この辺りはそれぞれのマネージャーからも口を酸っぱくして言われているので、こういうちょっとしたイタズラというか、マイクをオンにしてしまってもリスクはほぼないと言える。


 まあ、うっかりで出てくるようなリスクまでも考えるとなると、そもそも生配信っていうそれそのものがリスクではあるからね。

 それを言ったらキリがないし、何かあったらカバーするつもりだ。


 ともあれ、そろそろ3人の会話も一段落ついたみたいだし、私から言ってあげよう。


「――どうじゃ、これがウチの一期生たちのてぇてぇぶりじゃ。普段からこんな感じなんじゃぞ?」


《え……?》


《ぁ……》


《え゛》


『やっぱり陛下ww』

『確信犯だわww』

『ありがとうございますありがとうございます!』

『なんかもう、この3日間の怒涛の展開の後のこれはホント癒やされた』

『いいね、こういうの好きw』

『楽しかったよ、ありがとー! ¥50,000』

『マジで凄かった! 感動をありがとう! ¥50,000』

『またお願いします! ¥39,000』

『ジェムプロとクロクロを繋げての大イベントヤバすぎ!! ¥50,000』


 最初を皮切りに投げられてくる、お金つきのスペシャルコメント。

 その多くは今回の御礼と、ジェムプロとクロクロの夢のコラボ企画なんかが目白押しだった御礼だったり、あるいは単純に私たちへの応援の意味だったりという形のようだ。


『エフィール・ルオネット〆:感動した! ¥50,000』


「いや、エフィおるではないか。おぬし、感動を与えた側であろう」


『エフィ草』

『これがエフィクオリティ』

『チャット早すぎて分からんかったww』

『というかヤベー量だな、これww』

『まだまだァ! ¥50,000』

『止まるんじゃねェぞ……! ¥50,000』


「いや、別に止まっても良いが。――さて、という訳で、リリシア、ルチア、そしてノアよ。配信はとっくに始まっておる。おぬしらのてぇてぇ会話はしっかりと全世界へと発信されておったぞ」


《あああぁぁぁ……!》


《やだ、ちょっと恥ずかしくなってきたわ……》


《へ、へへ……う、うぉえ……》


「ふむ、どうも致命傷のようじゃな」


『他人事で草なんよw』

『陛下ww』

『犯人は陛下なんだが??w』

『かすり傷のような扱いで致命傷宣言しとるやんけw』

『草』

『相変わらず自由だなww』


「まあそんな訳で、後夜祭アンド重大発表――まあ、新技術の一般予約開始と、スタジオのレンタル開始の告知を始めるぞー」


『もったいぶらない、だと!?』

『みんな知っていながらも待つあの感じをガン無視……!?』

『堂々とネタバレするやんw』

『型破りすぎるw』

『常識とかなにそれ美味しいのムーブが捗る』


 いや、発表するって前から言ってたじゃん。

 今更隠して引っ張ってもしょうがないよね??





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